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「KAEru coffee」 with FASTNER. (前編)
程よい日陰が心地よく、ゆっくりとした時の流れを感じる六条院公園の目の前には、午前中からたくさんの外国人のお客様で賑わうKAEru coffee。
店の前に置かれたブリキのカエルがこちらに微笑みかけるように私たちを迎えてくれた。
店内へと入ると外国人の家族にコーヒーとトーストを運ぶ一人の女性がいた。
「ちょっと待ってくださいね。すぐにスペースを空けますね。」明るくにこやかに声をかけてくれたのは店主のエミさん。
KAEru coffee は、京都の市営地下鉄烏丸線の五条駅から徒歩10 分、六条院公園の目の前にあるカフェ。
名前の通りカエルで溢れた可愛らしい店内で、FASTNER.メンバーが常連の方から外国人の観光客まで、たくさんの人々に愛されている秘密や、コーヒーに対するこだわりを聞いてみた。
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外国人に人気のカフェ?
ーお店入った時に外国のお客様が多かったと思うのですが、外国人のお客様は多くいらっしゃるのですか?
多いですね。ほとんど8割方外国のお客様ですね。
ーそうなんですね。なにか外国のお客様を集める活動みたいなのはされているんですか?
いや、してないです。なにもしてないですけど、googleのほうになんかたくさん外国の方が評価をあげてくださっているみたいで、googleマップ検索して、「これ見て来たよ」みたいな感じで。口コミで広がりました。
ーはじめから外国人の方に来てほしいというコンセプトではなかったんですね。元々はどんな人に来てほしいとかっていうのはありましたか?
平日はひとりでやっているので、ひとりでお店を回せる範囲でいらしてくださったらなと思っていました。地元の方、観光客の方、というのは特に決めていません。今日みたいに観光の方が多い時は、常連のお客様はそれを見て「あとで来るわ」とか「また今度にする」とか言ってくださるんです。
“かえる”場所
ー地元の方にも馴染み深い場所なんですね。
そうですね。お昼ぐらいは近所のサラリーマンの方がお昼ご飯のあとにコーヒーを飲みに来てくださるって感じですね。
ーそれはKAEru coffeeさんの「帰ってくる」みたいなイメージに近いんですか?
そうですね。たまに「ただいま」ってお店に来てくださる方もいらっしゃいますし、みなさんの帰って来られる場所になれば…まだなっていないですけれど、なればいいなと思っていますね。
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魅力を広めたい
ーお店の由来であったり、コンセプトを決めるにあたっての思いはどんなものだったのですか?
とにかく、エスプレッソに力を入れていて、ドリップもそうなんですけれど、エスプレッソって日本であんまり若い方は飲まれないじゃないですか。それをね、美味しいんだよって伝えたくって。
比較的リーズナブルなお値段で出していると思うんですよ。皆さんに気軽に飲んでいただいて、そのおいしさをわかっていただけたらなと思って。海外の方も多分ね、そのエスプレッソのしっかりとしたお味が好きな方が多いので、それで口コミとかで広がったんだと思います。
KAEruとカエル
ーカエルのモチーフっていうのはどこから来たものなんですか?
カエル、可愛いなって。(笑)カエルが好きで。でも、カエルをいつも身に付けるとかそういうのではないんですけれど、カエルさんって可愛いよねって。で、「帰る」って意味もあるし、縁起物でもあるので、いいねって。それでみなさんの帰って来られる場所を目指すにはいちばんいい名前だと思ったんです。
ー縁起物の中でもカエルっていちばん身近でとっつきやすさもありますもんね。
ここに置いてあるカエルさんはほとんどがお客様が持って来てくださったものなんです。自分で買ったのは、お店の角にあるピクルスちゃんっていうおっきいぬいぐるみと、ブリキのちょっとしたカエルさんを持っていただけで。なにかある度にお客様が持って来てくださるんです。海外の方も一日来られると、泊まっている間中ずっと通ってくださるんですよ。そうすると帰る日に「見つけてきたよ」って、くださるんです。カウンターの奥の棚にあるのは海外の方が京都を回っているときに見つけて持って来てくださったカエルさんなんですよ。嬉しいですよね。
よそで観光とかしているのに、カエルを見つけたらウチの店のことをちょっと思い出してくれるっていうのがすごく幸せで。すごくありがたいですね。
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こだわりが光るメニュー
ーお客様によってもおすすめするコーヒーとかも変わってくるんですか?
そうですね。お客様もご自分の好みを言ってくださる方もいらっしゃいますけれど、「おすすめはなんですか?」っていう方にはお好みを聞いて、それに合うコーヒーを提供できたらと思っています。
ーコーヒーが苦手な人でも飲みやすいものってありますか?
「得意じゃなかった」とか「飲めなかった」っておっしゃるお客様もいらっしゃるんですけれど、たいていウチのブレンドの「フルーティー」をおすすめするんです。華やかな感じで、飲みやすくて、ウチにしては軽めのコーヒーなんですけれども、それをお出ししたら、コーヒーを飲めるようになったとおっしゃる方が結構いらっしゃいますね。
あと、ウチはコーヒー豆を洗ってから焙煎しているんですよ。それが売りの一つでもあるんですけれども、雑味やらなんやらを落としてからコーヒーを焙煎しているので、すっきりとした味になって飲みやすくなるんです。これはウチのやり方ですね。
ーそれに合わせてフードやお菓子のメニューなどもこだわりはありますか?
すべてのコーヒーに合うってわけじゃないんですけれども、なるべくそれに近いお菓子が出せたらなと思って、カプチーノやラテに合うビスコッティとか、あとはドリップコーヒーに合うちょっとしたケーキだとか、そういうのは考えて出しています。色々試しましたけれど、今はガトーショコラとバナナケーキが決まって出しているケーキです。
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エスプレッソと師匠との出会い
ーエスプレッソの魅力を広めたいというきっかけでお店を始められたと思うのですが、なぜエスプレッソに注目したのですか?
コーヒーの知識は自分自身がコーヒーが好きだったっていうのと、お店をやるにあたって焙煎を教えていただいた方がいらっしゃるんですけれども、その人の影響ですね。その人もイタリアを行き来していて、エスプレッソにこだわっている師匠さんで。そしたらもう本場イタリアのエスプレッソですね。今あの、カプチーノとかラテとかはミルクに合うように、エスプレッソのブレンドを変えています。
ー学生時代からコーヒーを好まれたんですか?
大学生の頃からコーヒーをよく飲んではいましたけれど、ここまでのこだわりはなかったですね。休憩の時に飲むくらい。
常に納得のいくものを
ー師匠の方の影響が大きいと思うんですけれども、ご自身のコーヒーに対するこだわりとかはありますか?
そうですね、流行りに流されないで自分の納得のいくコーヒーをお出しできたらいいなと思っています。
ーどんどん追究していって味とかも少しずつ変わっていっているものもあるんですか?
そうですね。その年の状態も違いますし、マスターと一緒に考えながら、その都度少しずつ変わっていっていますね。
ーこだわりを持ち始めたのはいつ頃からなんですか?
コーヒーを習いだしてからですね。いろんなところに飲みに行ったりはしていたんですけれども、お店をやろうと決めてから一生懸命勉強したって感じですね。
元々学生相手に飲食をやっていたんです。とにかく飲食がやりたかったんです。そこでコーヒーがいいかなって。
ー学生をメインターゲットにしたかったのですか?
ううん。そういうのではないです。料理するのが大好きなんです。息子も二人いて。息子たちが美味しいって食べてくれるのを見てて、学生寮の近くとかで働いたら楽しいだろうなっていうのはずっと思っていたんですけれどね。京都は学生の街ですし。ただね、コーヒー屋さんでもね、学生さんも来てくれて、ほんとうに若い子から年配の方まで、色んな年齢層の方が来てくださるので、やってて楽しいですね。今ね、大学でもコーヒー部とかもあって、コーヒー好きのそういう子たちが通ってくれますね。ウチの焙煎機もシェアして使ってくださっているし、若い子たち増えてます。喫茶店だけれど居やすいのが、「お母さんみたいだから」って言われますけどね。(笑)
ーインスタグラムを見て、「文章がほっこりする」、「お母さんみたい」ってちょうどFASTNER.メンバーで話していて、そういう細かな部分からも「帰ってくる」という雰囲気作りをしているということですか?
ううん。なにかやっているというわけじゃなくって、素でやっているだけなんですよ。それが良いのか悪いのかはわかんないですけれど。それが親しみやすさだったりするのかもしれませんね。
ー学生さんのコーヒー部の方に焙煎機を貸しているとおっしゃっていたと思うんですけれども、詳しく聞いてもいいですか?
偶然私たちが習いに行ったところにいた学生さんで、師匠が同じという理由で今はひとりにお貸ししていて、やり方が一緒だからお貸しできるって感じかな。焙煎機って大事なものじゃないですか、やり方っていろいろあるんでね。学生さんって今はやっぱりネット販売とかされているかたもいらっしゃいますけれど、焙煎機ってなかなか買えないじゃないですか。だから彼が独立するまでは使ってくださいってことでお貸ししています。
ー人と人との繋がりの優しさみたいなところからきているものなんですね。アットホームな雰囲気があるので、コミュニケーションとかを大事にされているのかなと思いました。
そうですね。私も、人も、お話しするのも大好きですし、色んな相談とかされて。色んな方がいらっしゃいますね。なかなか好きなことを仕事にしている人って少ないじゃないですか。毎日楽しく通勤できるとか。私はそうなんですけれども、嫌だって思ったことがないんですよね。朝すっごい早く6時半には来ているんですけれども、辛いって思ったことがないですね。
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>>後編に続く
Interviewees/KAEru coffee @kaeru.coffee
Photographer/Natsuki Sugiyama@0371li
Write/Rena Okamoto@01re__na30
Edit/Honoka Kubo