見出し画像

妊娠中汚部屋で過ごすと小児湿疹リスクが上昇する

※この記事は約7分で読めます

「夜中に何度も起きて、かゆがる娘の姿を見るのがつらくて...」

3歳の娘のアトピー性皮膚炎に悩むお母さんは、肩を落としながら話します。

「いろいろ調べて食事に気を付けたりしているのに、なかなか良くならなくて。薬もあまり良くないって聞くし。どうしたらいいのかわからなくなっていました」

このお母さんのように、お子さんの湿疹に悩む人は少なくありません。実は、小児湿疹の予防に重要な要素として見落とされがちなのが「妊娠中に過ごす部屋の環境」なのです。

今回は、妊娠中からできる小児湿疹の予防方法について、最新の研究結果をもとにお伝えします。赤ちゃんの健康を守るために、ぜひ参考にしてくださいね。


この記事がおすすめの人

  • 妊娠中の方、これから妊活を考えている方

  • 生まれてくる赤ちゃんには健康に過ごしてほしい方

  • 健康的な室内環境づくりに興味がある方

注意事項

この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。心配な症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。


小児湿疹と妊娠中の室内環境の関係

小児湿疹は、乳幼児によく見られる皮膚の炎症を伴う慢性的な症状です。日本小児アレルギー学会のガイドラインによると、小児湿疹の一つである「アトピー性皮膚炎」の幼児の罹患率は約13%とされています。8人に1人がアトピー性皮膚炎にかかっているというのは、意外と多いと思いませんか?

最近の研究で、妊娠中に過ごす部屋の環境が生まれてくる赤ちゃんの湿疹発症リスクに大きく関わっていることがわかってきました。つまり、妊娠中から室内環境を整えることで、赤ちゃんの小児湿疹リスクを減らすことができる可能性があるのです。

小児湿疹のリスクを高める室内環境要因

日本の大規模な調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の結果、次の要因が小児湿疹のリスクを高めることがわかりました。

  • カビの存在

  • ガスヒーターの使用

  • 複合フローリングの使用

  • 頻繁な殺虫剤の使用

生まれてくる子どもに、ご自身のアレルギー体質が遺伝しないか心配な方も少なくないはず。そんな方はこの4点に気をつけることがおすすめです。
そしてこれらの要因のうち、「カビの存在」と「複合フローリングの使用」は、親にアレルギーがない場合でも、生まれてくる赤ちゃんの小児湿疹発症リスクを高めるそうです。

特に複合フローリングについては、多くの方が初めて聞く情報かもしれません。複合フローリングとは、表面が薄い天然木で、下地に合板や樹脂を使用した床材のことです。コストが抑えられる反面、化学物質の放出が懸念される場合があります。

小児湿疹を予防するための妊娠中の室内環境づくり

では、具体的にどのような対策を取れば良いのでしょうか?以下に4つのポイントをまとめました。

1. カビ退治大作戦

  • 毎日15分以上、窓を開けて換気しましょう

  • 除湿機を使って、部屋の湿度を50-60%に保ちましょう

  • お風呂場やキッチンは使用後に乾拭きを習慣づけましょう

  • カビが生えやすい場所には、重曹水をスプレーするのもおすすめです

2. 暖房器具を見直そう

  • ガスヒーターは控えめに。可能ならエアコンや電気ヒーターを使いましょう

  • 部屋を優しく温めてくれるオイルヒーターもおすすめ

  • 暖房を使う時も、1時間に5分程度の換気を忘れずに

3. 床材の選び方と対策

  • 新築やリフォームの際は、無垢材のフローリングの使用を検討しましょ

  • 複合フローリングを使用する場合は、低VOC(揮発性有機化合物)製品を選びましょう

4. 虫対策は自然派で

  • 網戸や防虫カーテンで虫の侵入を防ぎましょう

  • 殺虫剤の代わりに、ハーブのアロマスプレーを使うのもおすすめ

いかがですか?すぐにできそうなことがいくつかありましたか?全部を一度にやるのは大変かもしれません。できることから少しずつ始めてみましょう。

まとめ

妊娠中から室内環境を整えることは、生まれてくる赤ちゃんの湿疹予防に重要です。これらの対策に少しずつ取り組むことで、赤ちゃんの健康を守る準備を整えることができるのです。

最後に、不安を抱えている妊婦さんへ。完璧を目指す必要はありません。できることから少しずつ、赤ちゃんを迎える準備を始めてみてください。そして、心配なことがあれば、いつでも医療機関や薬剤師に相談してくださいね。健康的な環境づくりを通じて、これから生まれてくる赤ちゃんの笑顔のために、一緒に頑張りましょう!

参考文献

  • 日本小児アレルギー学会. (2021). アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021.

  • Ait Bamai, Yu et al. “Prenatal risk factors of indoor environment and incidence of childhood eczema in the Japan Environment and Children's Study.” Environmental research vol. 252,Pt 2 (2024): 118871. doi:10.1016/j.envres.2024.118871

いいなと思ったら応援しよう!