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デザインの力でどう医療の未来を創るか 〜現場視点で描くUXの可能性〜

今回は、現在デザイングループのマネージャーとして活躍している黒田 千明さんのインタビュー記事です。制作会社、広告代理店でデザイナーとしての経験を経て、現在は医療DX業界で新たな挑戦をしている黒田さん。「現場の近く」にいるデザイナーとしての今とその未来について語ってくれました。

黒田 千明(くろだ ちあき) プロフィール

東京造形大学を卒業後、WEB制作会社を経て、インターネット広告代理店に転職。
広告クリエイティブ制作の部署にデザイナーとして5年ほど従事した後、自社サービスを扱う部署に異動。デザイナー兼プロジェクトマネージャーとしてアジャイル開発のもとUIUXの改善を実施。
社会貢献をもっと身近に感じられる環境を求めて、2023年1月にファストドクターに入社。主に患者様向けプロダクトのUI/UXをメインで担当。


「ユーザーとの距離が0」という魅力に惹かれて

前職まで多くのデザイン業務に携わってきた中で、転職のきっかけになった経緯を教えていただけますか?
――黒田:デザイナーになって社会人としてキャリアを重ねていく中で、目前の案件ごとの目的や数値目標よりも、もっと手前の「本質的な目的」を追求したいという思いが強くなっていったんです。自分の培ってきたスキルやこれからの人生を、自分自身が深く共感できることのために使いたい。特に自分自身もユーザーになり得て、家族や友人など身近な人にも繋がる社会貢献性のある仕事に携わりたいと考えるようになりました。

ファストドクターへの転職を決めた理由を聞かせていただけますか?
――黒田: ファストドクターの「1億人のかかりつけ機能を担う」というビジョンに強く共感したことが最大の理由です。医療業界の抱える社会課題はメディアでも度々取り上げられていましたし、コロナ禍を経験したことで自分の中での関心が高まっていた時期でもありました。
もう一つの大きな理由はユーザーと近い距離で働けることでした。前職の広告業界では多くの経験を積ませていただきましたが、UI/UXデザイナーとして、ユーザーの反応やその後の行動をより直接的に理解できる環境で働きたいという思いが徐々に強くなっていったんです。そこで、これまでの経験を活かしながらユーザーにより直接的な価値を提供できる仕事に携わりたいと考えるようになりました。

ファストドクターの特徴は、患者様、医師だけでなく、オペレーターや ドクターアテンダント(ドライバー)など、診療オペレーションを支える全ての方々と直接対話できる環境があることです。さらに往診現場への同行をしたり、実際にオペレーターとして患者様からの電話対応業務を経験することで、私たちは単なる観察者ではなく実際のユーザーとして体験を深く理解することもできます。ファストドクターであればUI/UXデザインの専門性を活かしながら、プロダクトを通じて医療の抱える課題に貢献できるのではないかーーと思い、入社を決めました。


デザインアプローチと組織のバリュー

ファストドクターでは「現場を重視する」アプローチが根強いと思いますが、黒田さんはどのようにお考えですか?
――黒田:そうですね、デザイン思考では、ユーザーの課題を深く理解し解決策を作り、その効果を確認するという一連のサイクルを重視します。具体的には、ユーザーへのインタビューや現場経験を通じて本質的な課題を見出し、プロトタイプを作って検証を重ね、実装後も継続的に効果を測定していきます。
このサイクルをより緻密に回せば回すほど、ユーザーへの価値提供の質が高まっていきます。UXデザインではユーザーの気持ちを想像し理解する「共感」が重視されますが、それに加えて、自らが実際に体験することで得られる「実感」がある。共感に加え「実感」すると、さらに深くユーザーを理解できますよね。

このような観点から、ファストドクターの「Go,GEMBA」というバリューに強く共感しています。「答えは常に現場にある」という信念のもと、現場から解決の糸口を見つけ出す。このような価値観が組織文化として根付いていることは、デザイナーとして本質的な課題解決を目指す上で、非常に重要な基盤になっていると考えています。


「Go,GEMBA」は社内でもよく使われるワードの一つですよね。社内での他チームとの協働について教えていただけますか?

――黒田:デザイングループは、Fast DOCTOR Technologies (注:ファストドクターの開発組織。以下FDTとする) に所属しており、FDTに属するPMやエンジニア、DX担当、オペレーションチームなど、様々なチームと連携しています。ファストドクターで特徴的なのは、医師、看護師、薬剤師など、医療の知識を持つメンバーが社内に在籍していることですが、事前問診やカルテ等の機能開発においても、医療の知識を持つメンバーに監修してもらうという連携ケースも多くあります。

また、オペレーションチームとの連携も重要な特徴です。 ファストドクターのサービスは、集患から受付、医師の手配、支払い、そして現場のオペレーション管理まで、非常に長いバリューチェーンを持っていて、 各工程が密接に関連しているため、前後の流れを深く理解することが不可欠です。それを助けてくれるのが診療オペレーションを担当するチームで、実際の運用フローの詳細な説明や、現場での課題・理想についての議論を通じて、私たちの理解を深めてくれます。さらに、コールセンターでの研修や実際の運用フローの体験機会も提供してくれており、現場の実態をより深く把握することができています。これはバリューチェーンが長いファストドクターならではの面白いところです。

こうしたチーム間の連携を大切にしながら、担当領域に壁をつくらず枠を超え、当事者意識を持って関わり合っているんです。これもファストドクターの大事なバリューの一つ「Tsunageru Team」という価値観に基づいていると思います。

チーム間だけでなくFDT内でも多職種のコラボレーションが多く、出来上がったデザイン案に対してPMやエンジニアから建設的なフィードバックをもらえたり、アイデアを出し合いながらソリューションを作り上げていける環境があります。例えばエンジニアは、患者様の受付や診療の進行状況などを管理する基幹システムの仕組みを踏まえた実現可能な改善案を提示してくれますし、複雑な仕様やユースケースの理解をサポートしてくれる頼もしい存在です。
リリース後も、目標の指標やサービス品質を維持するために設定しているガードレール指標を一緒にモニタリングしています。先日も、ある機能のリリース後に、患者様から診療後の評価をいただくアンケートの回答率がリリース前よりも低下してしまっている事がPMから相談されて分かりました。そのため、アンケートの表示位置を見直して1〜2日後に再リリースを行い、回答率を以前の数値に戻すことができたんです。こうして迅速に動けるのも、普段から担当領域に壁をつくらず、チーム全体で近い距離で関わり合っているからこそだと思います。

デザイングループ 黒田さん(左)・ PMグループ 湯尾さん(右)


デザイナーとしてのやりがい

デザイナーとして感じるやりがいを教えていただけますか? 
――黒田:デザイナーとして感じるやりがいは3つあって、最も大きなやりがいは、私たちの取り組みが患者様の役に立っていると実感できることです。

「夜間で病院が開いていなくて困っていたが、ファストドクターに診てもらえて本当に助かった」
「急な発熱で不安だったが、すぐに往診に来てもらえて安心できた」

といった患者様から直接的なフィードバックをいただけることは、デザイナーとして大きな励みになっています。

2つ目は、ファストドクターの組織全体でデザインの価値が深く理解されており、かつ期待をされていることです。会議の中でも「患者様の体験からみるとこの導線の方が分かりやすいのでは」「オペレーターの作業効率を考えるとこのUIの方が良い」といった具体的なUX視点での議論が活発に行われています。このように、デザインが単なる見た目の改善ではなく、サービス価値の向上や生産性の改善に直結する重要な要素として認識されていることは、デザイナーとして大きなやりがいを感じる点です。


そして3つ目のやりがいは、デザインの基盤づくりに携われることです。現在、私たちはデザインシステムの構築・運用を始めたところで、アプリやWebサイト、社内システムなど、様々なプロダクトで一貫性のある体験を提供できるよう取り組んでいます。また、ブランドの構築もこれからの重要な課題です。デザインやブランドの土台を作り、育てていけるこの環境は、今のフェーズだからこそ経験できる貴重な機会だと捉えており、このチャレンジを楽しめる方にはぴったりだと感じます。


組織の成長とデザインの進化

デザイングループの現状と課題についてはいかがでしょうか。
 ――黒田:事業の成長スピードが非常に速く、その変化に合わせてデザイングループも進化を続けています。一方、成長に伴い取り組むべき課題も増えており、現在のチーム体制では十分に対応しきれていない状況です。
これまでは事業の急速な成長とともに歩んできましたが、その過程で様々な改善機会も見えてきました。今後は新しい機能や価値の提供と並行して、より良いユーザー体験の実現に向けた取り組みも進めていきたいと考えています。プロダクト全体の一貫性を保ちながら、事業の更なる成長にも対応できる基盤を整えていきたいですね。
このような背景から、私たちは一緒に働いていただけるデザイナーの仲間を探しています。

今後のデザイングループとしてのビジョンについて聞かせてください。 
――黒田:社会環境の変化に伴って、医療業界全体は大きな変革期を迎えていると思います。マイナ保険証による情報管理や電子カルテの普及、薬局とのデータ連携など、デジタル化が急速に進んでいるのもその一つですよね。私たちはユーザー視点でこれらの技術をより使いやすく、より価値のあるものにしていく役割を担っていると自負しています。
ファストドクターが掲げる「1億人のかかりつけ機能を担う」というビジョンの実現に向けて、デザインの力で医療体験をより身近で使いやすいものにしていきたいです。例えばデジタル技術を活用しながらも、人々が安心して医療サービスを受けられる仕組みづくりや、医療従事者の方々の業務効率化など、具体的な価値提案を行っていきたいと考えています。

黒田さんご自身についてはいかがですか? 
――黒田:現在は主にプロダクトデザインの実務に携わっていますが、今後はデザイングループの基盤づくりにももっと注力していきたいです。具体的には、デザインシステムの整備やデザインプロセスの確立を通じて、チームメンバーが最大限に力を発揮できる環境を作っていきたいと思います。またプロダクトの改善、ユーザーリサーチ、チーム間のコミュニケーションなど、自分の経験と知識を活かせる場面であれば、引き続き積極的に取り組んでいきたいですね。

とても素敵な考えですね。最後に、未来の仲間へのメッセージをお願いします。
――黒田:医療のデジタル化が急速に進む中、私たちは新しい医療体験の創造に携わることができる貴重なフェーズにいます。
 ファストドクターも今、大きな成長期を迎えており、生活者や医療者へ直接的な価値を届けられることは、デザイナーとして大きなやりがいです。プロダクトを通じて、より多くの方々の医療体験をより良いものにしていく。そんな私たちのミッションに共感いただける方、医療業界未経験でも変化を楽しみながら成長したい方、ぜひ一緒に働けることを楽しみにしています。



黒田さんありがとうございました。
少しでもご興味をお持ちいただけた方はぜひ以下よりファストドクターの扉を叩いてみてください。

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