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ブローチ

私の中の、ひそかな名著「BROOCH(ブローチ)」。
繊細な透ける紙に渡邉良重さんの美しい絵と、
内田也哉子さんの美しい文章。

とても美しい本。

ある大好きな美術館に置いてあって、
これは出会いなんだ!と思って買って帰り、
それからは、家に飾り、
誰かにもプレゼントしたり。

このきれいな絵本を読みたくなる時は、
自分が結局疲れている時なので、
何だかわからないけど、
読みながら胸がいっぱいになる。
涙が出たりもする。
何でなんだろう。不思議。

この本の理解はそれぞれにまかされている、
と私は思う。
そういう本は余白、あそび、隙間があって、私はとても好きだ。

そして、この、今の、私はこう読み取るのだ。
(また別の時には違う風に読むだろうけれど)

つまり、
色々に過ごしてるうちに、
いつしか私たちは大事なことを、
忘れてしまい、

荒波の現実に出向いては、
何かを求めて、結果、
同じようなことを繰り返して、
情けなくなったり、馬鹿らしくなったり、やけくそになったり。

自分でやってるのに、
勝手にとても孤独になったり。
自分を見失ったり。

でも、立ち戻ると、
大事なものや、大事なことは、
きっとこの自分の胸にあるんだ。

それがブローチに集約され象徴されてている。
さいごのページに広がる、
曼荼羅のようにとても美しいブローチの絵に、
私は毎回、こころが震える。

そしてまた、明日も、少しづづ、
自分のブローチを確かめながら、
歩いていこうかなと、
ちょっと思えるのだ。


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