静かなあなた
どこを見渡しても、真っ白な雪。
そこにあるのは『雪の優しい音』だけ。
ほかの音も、存在も、やわらかく消してくれる世界。
地球がゆっくりと深い眠りについた。
はじめから、何もかもが存在していなかったかのよう。
すべて消える。 意識も無意識も 存在しない。
優しい雪よ どうか、どこにもいかないで。
消えて 果てに埋もれないで。
しばらくすると、
深い眠りを強要された悔しさなのか、時に、怪物へと姿を変えて、
いとも簡単にすべてを飲み込む。
優しかったのに、、
雪が優しいなんて・・・ 人間は、見たいとこだけ見るのね。
雪よ ごめんね。でも …でも、
邪念を優しく払ってくれる”静かなあなた”を 待っています。
・・・そう願い続けてもいいですか。