ポジティブもフィルターの歪み? 「あいの里2」を観て
こんにちは。スピリチュアルネイティブのタケルです。
やっとネトフリの「あいの里2」を観終わった。シーズン1のまったり感がとても心地よくて、2も楽しみにしてたんだけど、思いの外サバイバル色強めで、最初は見てて疲れた。笑 それでも、恋愛をめぐって泣いている出演者の姿は胸を打つものがある。
で、ここからはネタバレになるから、見てない人は避けてもらうとして。結構ラストの方の話で、ちょっと気になることがあったので書いてみる。
ポジティブ解釈でずれる二人
メンバーの中に、「せん姉」という、いかにもバブル全盛時代にディスコでブイブイ言わしてた系のお姉様がいる。50代後半で、見た目はとても若くて美人で、スタイル抜群。
そんな彼女がラスト間際になって、「アロマ」という十四歳年下の男性に恋をする。で、彼とのやりとりの中で、「あああああ」と思わず声を上げてしまったシーンがあった。
会話の中で、「せん姉」が過去にとても苦労した話を、意中のアロマに打ち明ける。一人娘の子育てと介護の狭間でとても大変だったことをポツポツ語る名シーンで、あの明るい「せん姉」の思いがけない深さ、一面を知られるいい場面だったのだ。が。
それを聞いていた「アロマ」が、ふと、「せん姉と向き合うことは、きっと、あなたの娘さんと向き合うことでもあるんだね」「もし一緒になるのなら、娘さんを共に養う覚悟がいるんだろうね」という趣旨のことをいうのだ。
これは、同じ男としても共感できるセリフだった。直訳するとこんなところだろう。
あなたと恋愛するには、まず娘さんがいること、それを俺自身が許容できるか、養うことまで念頭に置いて考えていけるのかどうか、最初に考えないといけないんだね。
つまりここで「アロマ」は、彼女に対して「あなたと恋愛するためには、まず向き合わなくてはならないことがある」=「だから時間もエネルギーもいる」=「そのための時間が必要だ」ということを伝えようとしてるんだと思う。
彼はおそらく彼女にそれを伝えようとしているんじゃなくって、自分に言い聞かせるように言っているんだよね。それは当然、アロマがそれだけ責任感が強いからその発想になるんだろうし、男として無視できないことだよねと思った。
ただ。
この「アロマ」の宣言、気遣いを、なぜだかバブル姉さん「せん姉」はこう直訳する。
俺はあなたの娘さんにも会いたいし、なんなら娘さんのことも視野に入れて愛していくよ。
そして、「アロマ」に対して「娘のことまで考えてくれて嬉しい」と顔を綻ばせるのだが、これを受けてスタジオでは「ん??」という空気が漂う。「ん? アロマはそこまで言ってないよ?」「せん姉、ちょっと解釈をラブに広げすぎ?」という空気だ。
その後も、注意深く見ていると、せん姉がどんどん「アロマ」の言葉を微妙にポジティブ解釈してしまうことで、それが「アロマ」の本心と離れていく様子が映し出され(そこは番組としてはフォーカスされてないけど、よく見てたらわかる)、そのまません姉は告白、結果的には振られることになってしまう。
そして「せん姉」が、帰り際、まさか振られるとは思っていなかったらしく「マジかよ、びっくりした」と呟くシーンが映し出されるのだった。
相手を真っ直ぐ見ないと、恋愛はうまくいかない
俺はこの映像を見ながら、これがポジティブマインドのやっかりなところなんだよなあ、とつぶやいた。
恋愛相手の発言を、どんどん自分にとっていいように解釈する人って、いるよな。それだけじゃなくって、仕事でもプライベートでも、なぜか人の言葉を自己中心的に飲み込んでいってしまう人。被害妄想が強いタイプにも、結構多い傾向だと思う。
それがポジティブでもネガティブでも、いずれにせよ相手を見るときのフィルターがすごく厚い。一見、ポジティブな人も、実はフィルターが歪んでいることが結構多くって、これはもう単に、「相手のことを見ていない」。もっというと、自分の感情で精一杯。
それは別にいい悪いとかじゃないけど、こと恋愛においてはちょっと大変だろうなと思う。なんか壮大なドラマの中に自分たちを当てはめて、そこで大女優になって、肝心の、現実を生きている相手の気持ちとか実存を感じられなくなって、明後日の方向に飛んじゃってる、みたいなこと。
それも恋愛だし、全然いいと思うんだけど、ただ、「ひたすらに真っ直ぐ相手を見つめる」「相手の立場になって考えてみる」という発想に辿り着けないので、えてしてこの場合の恋愛ってうまくいかないんじゃないかな、と率直に感じた。
相手の言葉を自分にいいように解釈するって、まあリアリティーショーで見ている分にはかわいらしいんだけど、(実際個人的には、せん姉が観ていて1番楽しかったし、好きなキャラ。次がギタリん、あやかんが好きだった)通常の恋愛に当てはめると、むしろうまくいかない恋愛の原因は9割これだよなあ、とふと感じた。
もし、あのとき「せん姉」が、自分の見たいようにではなく、「アロマ」そのものを見て、彼の戸惑いや、迷いに気づけていたら、もっと素敵な展開も十分ありえたと思うから、余計に勿体無いなと感じた。なぜなら「せん姉」は明るくて逞しくて、本当に素敵な女性だったからさ。
ぜひこのタイプに当てはまる方には、エーリッヒ・フロム先輩の「愛すること」を読んでほしい所存。
読んでくれてありがとう。