小説『元 義親子の日常』#2
【空き家プロジェクト】
僕の実家は県内でも、とても山奥で近くには温泉街があり、別荘が建っているような土地で冬は雪が降るし、普通に生活となると少々不便な場所だ。
今は両親も住んでいないので、「空き家」になっている。
いつかは処分しなきゃとは考えてはいるが、まだ「いつか田舎暮らし」をしたい。と思う自分がいる。
時々、家の様子を見に行きガラスが割られていないか?動物に荒らされていないか?のチェックをする。
家の手入れをするにも一人では中々難しいので、裕二さんに何となく話をした。
「住まないにしても別に使い道があるんじゃないかなぁ。」
『一応、近くに温泉もあるので人が全くいない場所では無いんですけど…』
『観光名所があるか、検索してみますね』
《美術の祭典ビエンナーレ》
『これ、良いかもしれませんよ。裕二さん知ってますか?2年に一度、美術関係の人達が空き家や、旧校舎を使って、自分の作品を展示していたりするんですよ』
『美術に興味がある人が来たり、温泉ついでに観光したりと、結構街の活性化に役立ててくれています。』
「それ、良いアイデアだね。やってみようよ。」
裕二さんは、「また面白そうな事、見つけた!」と言わんばかりの顔をして前のめりになった。
そうと決まれば、地元の役場にも協力してもらえるかもしれない。
こうして、僕と裕二さんの「プロジェクト」が始まった。
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