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小説『元 義親子の日常』#1

《はじめに》
主人公『直人』35歳。小料理屋店主。
元妻の父『裕二』65歳。
直人の元妻『ひかり』35歳。

直人と、裕二は似た者同士。
家庭よりも自分の好きな事を優先してしまうタイプ。
直人は小料理屋をやっていて、裕二は会社を定年退職している。

二人は、互いに妻に呆れられて離婚。
裕二とは『元親子』だが、小料理屋に通っている友達のような存在。


【やりたい事はやめられない】

直人の小料理屋に裕二がいつものように来店した。
お酒は飲めない人なので、温かいお茶と、直人のオススメを食べるのが通常だ。

ひかりと結婚していた当時は、「お義父さん」と呼んでいたが、いつからか「裕二さん」と呼び名を変えていった。

裕二さんの趣味は、登山、自転車、釣りで、若い頃は、早朝から登山に行き、ひかりが起きてくる前には、出掛けてしまっていたそうだ。
そんな父と、余り遊んだ事が無い。とひかりは不満そうに言っていた。

今は、冬の登山も危ないから「禁止」されている。と裕二さんが話していた。

自転車も、近くの山まで行ってしまうほどの脚力の持ち主だから、まだまだ元気いっぱいだ。

ギャンブルはしないが、「やりたい事」が沢山ある人で、僕と似ている。

僕も、小料理屋をやっているから知り合いで酒蔵を持っているから「試飲に来ないか?」と言われれば、直ぐに行ってしまうし。
川の綺麗な場所で「豆腐」が美味しいと評判の店が出来たよ。なんて聞けばリサーチをしたくなってしまう。

ひかりも最初の頃は「デート」感覚で着いてきてくれたが、休みが1日しか無いので「ゆっくりしたい…」と、次第に一緒には行動しなくなった。

そんな事もあり、ひかりに呆れられて別れる事になった。

裕二さんも、僕とひかりが結婚した直後に、「熟年離婚」をした。


『裕二さん、今度の月曜日、釣りに行きませんか?』

「いいねぇ。是非一緒に行こうよ。」

『実は、その近くでワインを作っている所があって…試飲をしたいので…お願い出来ないかな?って…』

「あ〜。そういう事?運転ね。大丈夫だよ。」

『ありがとうございます。助かります!』

「じゃあ、直人君がいない間は釣りしてるからさ、終ったら連絡してよ。」

『はい。わかりました。』

こんな感じの二人の日常が始まりました。


#小説
#親子



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