小説『元 義親子の日常』#3
【学生との出会い】
僕と裕二さんの『空き家再生プロジェクト』が決まり、地元役場の協力も取付けて数週間後、美術関係の学生が手伝ってくれる事になった。
まずは庭の《草刈り》から。
当日、役場の担当者が車で学生3名を連れてやってきた。
2人は男性、1人は女性だった。
私に「くれぐれも怪我が無いように注意してやって下さい」と担当者から言われ、私と裕二さんが刈り取った草をビニール袋に入れてもらう作業をお願いした。
学生の一人が、記録用に撮影してもいいですか?と聞いてきたので快く受け入れた。
こちらとしても記録になるし有り難い。
午前中の作業も順調に進み、お昼休憩に。
私がこしらえてきた弁当を皆んなで食べ、女性が「この卵焼き、とても美味しい!」と言ってくれて、レシピを教えた。
裕二さんも学生との雑談が楽しそうだ。
僕も学生の頃に戻ったようで、楽しい時間を過ごせて幸せな気分だった。
休憩もそこそこにして、午後の作業を始め夕方16時になり、役場の人が彼らを迎えに来た。
今日は「有難うございました。」と挨拶をして、この日は終了となった。
「若い人が来てくれて助かったなぁ」と裕二さんが嬉しそうな顔をして、車の助手席でウトウトしていた。
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