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名物刀剣を読んで(読書感想文)

私がこの本を読もうと思ったのは、以前、東京国立博物館での講演会「刀とことば」を拝聴させて頂いたからです。

刀のことを少しづつ勉強してきたので、踏み込んだものを読んでみたいと思っていました。
そう言ったときに行った、講演会がとても興味深く、演者であった方の本を買って読み初めました。

「名物刀剣 武器 美 権威」は名物刀剣と言われる刀が一覧にしてある「享保名物帳」がどのようにして、なんの目的で作られたのかを様々な観点から考えるというものです。

この本で一番、気になったのが、茶道具と刀剣が近い関係にあると言うことです。
気になった理由としては、個々として知っていたのに、繋がっていなかったのが、すっと繋がったと言う点です。

例えば、茶の湯は嗜む人は商人でも多く、高価な茶器等は彼等も保有していたと言う点。
もうひとつは、博多藤四郎は商人が持っていた刀だという点。
このふたつの点を合わせると、商人は茶会で刀剣を鑑賞していたという線になりました。

深く考えると「それはそうだ!」となるのが、普段、研究されてる方はこう言う事を考えているのだなと思いました。
この本の中で博多藤四郎は登場してはいませんが、自分の知識と繋がる事はとても爽快感があります。

次に興味深かったのは、本全体の視点です。
今まで、鑑賞視点での本は何冊か読んできましたが、今回のは大きく見たら鑑定視点だと思います。
鑑賞と鑑定の絶妙な差と言う川を「どんなものかしら?」と覗いて見ている様な視点を、私は感じました。

読む前は鑑賞について書いてあるのかと思っていましたが、多方面からのアプローチにより興味深くあっという間に読み終わってしまいます。

現在、刀は観賞用として見ることが、ほとんどです。しかし、その歴史には武器として造られながらも、類稀な美しさを持ったことから、権力の象徴になったという少し不思議なものです。
どの視点を持って見るかは人それぞれですが、次、美術館などに行った時に、自分はどんな視点で見ているのか確認したくなる一冊でした。

ものが語るから物語。

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