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貞宗を見比べる

先日、三振りの貞宗を近日で見られる機会があった。

亀甲貞宗 太鼓鐘貞宗 物吉貞宗の三振りである。

刀工縛りで展示をしない限り、見比べることはあまりないと思うので、いい機会に恵まれた。

貞宗と言う刀工は
「天下三作」の1人と呼ばれる正宗の養子とされている。
正宗をよく踏襲し、地鉄には沸がよくつく。
地景や湯走り(地鉄に現れる模様)が多く見られ、
刃文は湾刃に、砂流し(砂地を掃いたような縞模様)、金筋(沸が重なって輝く線)がよく出ると言う。
正宗に匹敵する技量と人気があり、刀身彫刻を得意としたらしい。


私が一言で言うなら「全体的に派手」である。
人で言うなら、パーティーピーポーではなく、良家のおしゃれ好きの人のように感じた。
華美と書いている方がいて、言い得ていているなと思う。

今回、見に行った三振りを見比べていきたい。

以下、個人的意見なのであしからず。

亀甲貞宗
元は太刀だったようだが、擦り上げによって今は打刀とされている。

湾刃がとても綺麗。
ゆったりとした湾主調が全体的に付いていた。
相州伝得意らしい、刃中の働きが、分かりやすく見えた。中でも、初心者にも分かりやすく二重刃を見つけることが出来る。

太鼓鐘貞宗
短刀にしても小振りだったように見えた。

ライティングの所為もあるだろうが、沸の付き方が他の二振りよりも見やすい。
帽子の返り方もとてもスッキリ見える。

物吉貞宗
地鉄や、刃文は綺麗なのだが、他と比べると少し見にくい。
と言うのも、瑶珞、素剣、鍬形、梵字、蓮華と言った彫刻が、表裏に掘られているためである。
貞宗お得意と言われている、刀身彫刻のオンパレードである為、そちらに目がいってしまう。


相州伝の特徴と言われる、沸のつき方や、刃中の盛んな動きが勉強になり、貞宗特徴の刀身彫刻の多さにも面白さを感じた。
(調べたところ、正宗には二筋樋がほぼないらしい。)

刀工揃えで見ると、特徴を把握する事ができる為、とても勉強になる。
一般美術館でも開催していただけると、初心者大喜びだろう。

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