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【お仕事図鑑 vol.11】 生産技術の仕事

工場のラインで製造される食品たち。
これまでお仕事図鑑では、配合やレシピを考える商品開発職や、安全と美味しさを守る品質管理・品質保証職、スムーズな生産を促す生産管理職など、ものづくりに関わる様々仕事を紹介してきました。

しかし、これだけでは食品の製造はできません。
材料が決まり、品質とスケジュールに配慮しても、実際に大量生産するための体制作りができていないからです。
そこで今回は、工場全体を統括する工場長の前に、製造体制を作る仕事、生産技術職について解説します!


生産技術はどんな仕事?

一言で言えば、大量生産を行うために、必要な設備やその配置を考え、物理的に生産体制を作り上げていく仕事です。
具体的には、ライン設計、設備開発、設備保全の3つに大別されます。

1) ライン設計

ラインとは、生産ラインのことです。
工場では、工程や商品ごとに設備やベルトコンベアで繋がれたラインが走っています。
ライン設計では、このライン上にどのような設備を、どのような順番で配置するのか、などを製造オペレーター(人)の動きも含めて考えていきます。

後述の設備開発と行き来しながら、製造ラインを作りあげ、時には実際に製造オペレーターや品質管理などの実務者の声を聞きながら、組み立てていきます。

製造ラインは商品に合わせて改良したり、新商品の際は売れ行きも見ながら少しずつ生産量を増やしていくこともあります。
一方で、期間限定商品や、早期にシェアを取るために最初から生産数を最大化する方法(垂直立ち上げ)などもあり、用途に合わせた設計・スケジュールが必要になります。

2) 設備開発

製造ラインのアウトラインが描けたら、ラインに配置する設備を考えます。
工場内では、原料(野菜や魚など)の下処理や調合、成形、焼成(焼くこと)、充填(容器詰め)、冷凍など、商品に合わせた様々な工程で専用の設備が導入されています。

例えば以下の動画は、山崎製パンの工場の様子です。
人の動きもありますが、多くの種類の設備が配置されていることがわかります。

設備開発の担当者は、設備のサイズや、必要な機能、製造できるキャパシティ(量・個数)などを決めて、適切な設備を選定・開発します。
基本的には設備メーカーに発注することが多いですが、大手メーカーでは独自技術を実現するため、自社で開発している場合もあります。
設備開発の担当者は、設備の設計や仕様決めだけでなく、ラインの導入時には、設備の設定や試運転にも立ち会い、不備があればすぐに修正に入ります。

山崎製パンの動画では、人が設備を動かしたり原料を運んでいますが、最近はAIやIoT技術を駆使して、全自動の無人ラインも作られています。
例えば日清食品は全自動工場を作り、設備や空調の稼働状況を中央監視室でモニタリングするだけにして、話題になりました。

3) 設備保全

設備保全の担当者は、稼働中のラインが正常に動き続けるように取り組んでいます。
ITエンジニアでいう保守・運用と同じような立場で、設備メンテナンスや不具合発生時の修理対応などを行います。

メンテナンスは、日々の簡易的なものから、半年〜1年に1回の定期メンテナンス、不具合発生時の緊急メンテナンスまで様々です。
設備が自社開発の場合は、自社で具体的な修理まで行います。
なお、日々の軽微なメンテナンスや清掃は、製造オペレーターが行うこともあります。

生産技術のやりがいと大変さ

生産技術職は、工場のレイアウトをはじめ、物理的な生産体制を作る仕事であるため、製造スタッフや製造に関わる様々な部署との連携が欠かせません。
また製造ラインの生産性は、ライン設計や設備の能力にも依存するため、自社の利益率にも大きな影響を与えます。
生産技術のやりがいと大変さは以下の通りです。

<やりがい>
・ものづくりの根幹に関われていると感じられる
・自身が設計・開発した設備・ラインが順調に稼働した時
・自身が設計・開発した設備・ラインで作られたものが出荷された時
・トラブルを乗り越え、製造ラインが稼働した時
・効率的な生産工程やライン設計ができた時

<大変さ>
・工場長やライン責任者、商品開発職などとの折衝が多い
・発売日に間に合わせるため、納期に遅れられない
・ラインを稼働させるまでは、大小のトラブルが発生しやすい
・ラインが稼働してもトラブルが発生する
・設備故障の際には休日でも対応しないといけない(24時間稼働の工場だと深夜・休日関係ないため)
・ふだん本社等にいる場合、工場への出張が多い

生産技術に必要なスキル・キャリアパス

生産技術で必要とされる(身につけられる)スキル

生産技術においては、品質管理を含めた食品製造の知識と、機械・設備の知識の両方が必要となります。

また、スケジュール通りに設備を手配し、ラインを立ち上げるため、社内外を巻き込むプロジェクト推進力や、調整力、製造現場に寄り添う柔軟性も必要です。

予想外のトラブルも発生しやすいため、論理的な思考で問題点を抽出し、1つずつ潰していく思考力と対応力も求められます。

生産技術職のキャリアパス

食品メーカーでは、機械・電気系の知識を持つ技術職は少ないため、生産技術職はスペシャリストとして活躍するケースが多いです。
生産技術の中で、保全から設備開発、設備や製造工程に関わる研究開発職を行き来するケースはあります。
またジョブローテーションの中で工程設計などを経験し、工場長を目指す場合もあります。

転職市場においては、食品の知識×設備の知識が求められるケースが多いですが、機械系の知識をより強く求める場合は、業界不問の設備開発やメンテナンスの経験者がチャレンジできる場合もあります。
また隣接業界として、医薬品や化粧品業界の生産技術職からキャリアチェンジする場合もあります。

まとめ

今回は、製造の体制を作り、守る生産技術職の仕事を解説しました。
物理的に生産体制を作るという点で、生産技術職の方々無しに、工場は動かないといっても過言ではありません。
また、食品業界でありながら、機械・電気の知識も必要とされる独特な技術職ですね。

次回こそは、「工場長&工場関連職のまとめ」を解説予定です。
お楽しみに!

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