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【お仕事図鑑】 食品業界の営業職〜提案力×⚪︎⚪︎の力が身につく仕事〜

商品を売るだけではなく、顧客と一緒に作り上げる営業。
「きつい」とも言われがちな食品業界の営業職ですが、こう聞くと、なんだか素敵な響きではありませんか?

元転職エージェントがお伝えするお仕事図鑑シリーズ。
第1回目の今回は、食品メーカーの営業職について、解説します。

お仕事図鑑シリーズとは?
 元転職エージェントの立場から、様々な職種の仕事内容を解説。
 食品業界の仕事が中心になりますが、他業界にも応用できる話もしていく予定です。業務内容だけではなく、キャリアステップや転職活動も視野に入れた解説をしていきます。


食品メーカーの営業職は大きく分けて2種類

食品業界の営業は、売り先と商材によって、大きく2つに分かれます。
家庭用商品を扱う営業と、業務用商品を扱う営業です

例えば同じ調味料メーカーの営業職でも、
スーパーやコンビニの棚に自社商品を置いてもらえるよう提案するなら家庭用商品の営業職。
居酒屋で味付けに使ってもらうための提案をするなら、業務用商品の営業職、となります。

一見同じ商品でも、用途や提案先によって営業スタイルは大きく変わります。
それぞれ、どんな特徴があるのか、見てみましょう。

1)家庭用営業

どんな仕事?

一言で言えば、顧客の店舗で自社商品をたくさん売ってもらうための提案営業です。
提案先は、本社のバイヤーがメインとなります。

扱う商品は、いわゆるスーパーや小売店に売っている商品で、飲料、酒類、生鮮食品、インスタント食品、調味料、冷蔵スイーツ、冷凍食品などがあります。

営業担当は、顧客に対し、自社商品の良さを伝えながら、店頭での販売促進や商品の並べ方などを提案していきます。
そのため、「売り方」や「お店作り」などマーケティングに近い領域に興味のある方に向いている営業職です。

営業の重要な仕事の一つに、「棚割り提案」があります。
これは、「割り当てられた商品棚に対し、どのような商品ラインナップを配置するか」を提案する、営業の重要業務の1つです。

下の写真は、某スーパーのカップ麺の棚(一部)です。
日清食品が1段目と3段目を占有し、2段目にサンヨー食品(サッポロ一番)、4段目はスーパーのプライベートブランドとなっています。

メーカー各社は、自社商品を売るため、陳列スペースを他社より少しでも多く確保しようとします。
写真の例では、日清食品が2列以上を占有し、圧倒的なシェアを得ています。

棚が決まったら、今度は棚に置く商品の内訳を考えます。
日清食品は占有面積が大きいので、段ごとにブランドを統一し、各ブランドでは1列ずつ味を変えています。
一方サンヨー食品は、3列という限られた中で、定番の「塩」2列+「しょうゆ」1列の構成にしています。

この棚割りは、自社商品や顧客店舗の売り上げを左右する重要な業務です。
自社のマーケティング戦略を踏まえながら、顧客店舗の客層や売上構成も加味して、定番商品、新商品、一押し商品のバランス、それぞれの見え方を検討します。
戦略を考える際は、POSデータなどの各種データが重要な指標になります。

なお、メジャーな食品カテゴリーでは、シェアや売上の高いメーカーや、卸商社が「カテゴリーリーダー」として、担当カテゴリーのメーカーごとの棚割りを決めることがあります。

この仕事のやりがいと大変さ

家庭用商品の営業は、売り場作りや棚割り、各店舗への納品手配などがメインとなります。
こうした特徴を踏まえ、やりがいと大変さは以下のようになります。

<やりがい>
・商品も顧客も生活圏内で目にすることが多く、日常生活の中で、自分の仕事の成果を感じやすい
・顧客と一体となって売り方を考え、時には店舗の装飾にも関われる
・販売促進や棚割りの提案が顧客の売上拡大に直結するので、役に立っている実感が持てる
・既存顧客が中心なので、顧客と長期スパンで関係を築ける

<大変さ>
・生鮮食品や乳製品などの賞味期限が短い日配品は、少量の受注で頻繁に納品する必要があるため、忙しくなりがち
・人気商品は欠品が発生するため、顧客のための在庫確保(社内調整)や、顧客への謝罪と他商品を含めた穴埋めのフォローが大変
・(大手メーカーの場合)全国に営業拠点があり、転勤必須の企業が多い
・棚割りの見直しは半年に1回なので、一度他社に棚を取られると、半年間、挽回が難しくなる

家庭用営業職で身につくスキル・キャリアパス

このポジションはデータに基づいた売り場作りや販売促進の提案をするため、提案力に加え、マーケティング的な視点を学びやすいのが特徴です。

そのため、営業職としてマネジメントなどのキャリアアップをする他、社内異動でマーケティング部門や販売促進の部門にチャレンジする方もいらっしゃいます。

また、このポジションを目指す場合、若手であれば広く間口が開かれています。
同じような顧客を持つ化粧品、日用品などの消費財メーカーだけでなく、データに基づいた提案力を持つ点で、IT業界などの”無形商材”の営業からキャリアチェンジする方もいらっしゃいます。

2)業務用商品の営業

どんな仕事?

一言で言えば、顧客の美味しく安全な食品作りのために、自社商品を使ってもらうよう提案営業をする仕事です。
提案先は、メーカーや飲食店の商品開発者、または購買担当者が多いです。

自社商品と一言で言っても、メーカーごとに商材は多様です。
野菜や肉などのいわゆる「食材」だけでなく、パン生地やお米、小麦粉や唐揚げ粉などの粉物、賞味期限を延ばしたり栄養素をプラスする食品添加剤など多岐に渡ります。

「売り方」を提案する家庭用商品の営業職に対し、こちらの業務用商品の営業職は「使い方」を提案すると言えます。
そのため、提案内容の幅が広く、時には顧客と試作しながら商品作りにも携われるます。
商品作りや料理が好きな方、柔軟な提案をしたい方に向いています。

例えば、カフェチェーン店にコーヒーシロップを提案するなら、コーヒーの苦味や濃さを知り、ラテと合うのか、どのようなフレーバーシロップと合うのか、などをプレゼンします。
その際、自社や顧客のキッチンで、実際にドリンクを作ることもあります。反対に新商品に合うシロップが無いか、と問い合わせがあった場合は、自社の開発担当者とも相談しながら、顧客のニーズに応えていきます。

この仕事のやりがいと大変さ

業務用商品の営業は、顧客がより良い商品を消費者に届けられるように自社商品を提案していきます。
そのため、以下のようなやりがいと大変さがあります。

<やりがい>
・顧客と一緒に商品開発に取り組み、自分のアイデアが新商品に採用されることがある
・自社の開発者と連携して、顧客の高い要望に応えられた時の達成感
・完成品でないからこそ、幅広い提案が可能

<大変さ>
・顧客が飲食店の場合、お店で客層やメニューをリサーチすることもあり、夜の会食などが増えがち。
・客先で試作やデモンストレーションをする機会が多く、料理のスキルが求められる
・調理スタッフへ調理指導をすることもあり、商材・顧客によっては土日の出勤が発生しやすい。

業務用営業職で身につくスキル・キャリアパス

「使い方を提案する」という仕事柄、提案力に加え、食材の特性に関する専門知識を身につけられることが特徴です。

キャリアパスとしては、営業としてのキャリアアップだけでなく、専門知識を活かして購買職に転職したり、購買職から業務用営業職にチャレンジする方も多いです。

まとめ

以上、長くなりましたが、食品業界の営業職の概要を解説しました。
漠然と「食品業界の営業」を考えていた方にとっては、イメージよりも色々なタイプがあると感じられたのではないでしょうか。
また、いま食品業界の営業としてモヤモヤしている方にとっては、視野が広がるきっかけになれば嬉しいです。

食品の営業職は、提案商材に応じて、ここでは書ききれないほど様々な営業スタイルがあります。
この辺りは、ご要望があれば個別にお話させていただければと思います。

お仕事図鑑シリーズでは、マーケティングや品質保証などの技術職も含め紹介していきたいと思います。
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