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【お仕事図鑑 vol.8】 購買の仕事〜ものづくりを支える仕入れ担当〜

食品の値上げに、農作物の不足。
せっかくスーパーに行っても、値上げや品切れ、商品の品質が悪いといった理由で希望の食材が買えず、献立を変えたりすることはありませんか?

自炊をする上で、美味しい食材を、安く手に入れることは重要ですよね。

1家庭でも家計や満足度への影響が大きい、食材の購入。
企業に置き換えると、経営を揺るがしかねない大きな影響力を持ちます。

今日はそんな企業の経営に大きな影響力を持つ、スーパーの買い出し担当、購買の仕事について解説します!

購買の仕事を知ると、価格維持や安定供給の大変さと面白さがわかり、食品の見え方が少し変わるかもしれません。


購買はどんな仕事?

3種類の購買業務

購買は、一言で言えば「事業運営に必要なものを探して買う」人たちです。
購買業務は、買う目的と品物で以下のように分類されます。

購買業務は最初に、目的によって直接購買間接購買に分かれます。
直接購買は、商品のための買い物を指します。
食品業界の直接購買は、品物によってさらに食材購買資材購買の2つに分かれます。
 食材購買:商品を作るための食材や原料全般の購入
 資材購買:商品の容器や包装、外食業ではお手拭きやカトラリーなど

間接購買は、会社の運営のための買い物です。
会社の備品や、ペンなどの消耗品、社内システム、工場スタッフの制服、研究開発で使う実験器具や試薬、オフィスや工場の光熱費など、多岐にわたります。

ここからは、直接購買に焦点を当てて解説します。
直接購買は、食品業界特有の要素が詰まっており、直接購買の求人が多いからです。

メイン業務は仕入れ先の開拓と管理

既に取引をしている仕入れ先に対しては、定例の発注や納期管理を行いながら、経営状況や市場の動きに合わせて契約条件の見直しを交渉します。
※日常的な購入に関しては、調達部門が担当することもあります。
また、商品パッケージや調味料など、オーダーメイド品に関しては、生産計画から仕入れ先とすり合わせ、生産管理的な業務が入ることもあります。

購買業務の1番の醍醐味は、仕入れ先の新規開拓です。
以下のような理由から、購買担当者は新しい仕入れ先を探しにいきます。
そして気になる仕入れ先を見つけたら、品質や財務状況等の確認や、価格などの契約条件の交渉を行い、契約締結に繋げていきます。

<仕入れ先開拓の主な理由>
①既存の仕入れ先からの切り替え(品質、納品量、価格の改善など)
②生産量の増加により、既存の仕入れ先だけでは納品が追いつかない
③新商品・新規事業のために新たな原料が必要になった
④災害など有事の際のリスクヘッジで仕入れ先を分散させたい

①と②はイメージがつきやすいかと思います。
原価を抑えるために好条件の仕入れ先を探したり、ヒット商品が生まれて増産する際に、調達量を増やすために他の仕入れ先を確保します。

③については、商品起点の仕入れ先開拓と、原料起点の商品提案の両方があります。
商品起点の仕入れ先開拓では、例えばお菓子メーカーが、プレーンクッキーとチョコクッキーの2種類に、抹茶クッキーを新たに売り始める場合、粉末抹茶の仕入れ先を探す、というイメージです。

原料起点での商品開発は、ルビーチョコレートが登場した時の商品作りがわかりやすいでしょう。
購買担当者は、展示会や原料メーカーからの営業などを通じて、まだ世の中には無い食品原料に触れることができます。
こうした未知の原料は、原料メーカーから使い方を提案されることが多く、購買担当者が最初に商品化のイメージを持つことができます。
そこで、こうしたまだ世に出ていない食品原料を商品企画・開発者に提案し、いち早く流行を取り入れた商品作りを促します。

④のリスクヘッジは、最近特に重視されています。
一般的に、仕入れは分散させるより、1箇所から大量購入をした方がコストが低く、取引先の管理も楽です。
しかし安定的に仕入れるためには、地震や国際情勢の変化などによる仕入れ先の供給停止に備え、複数のエリアで仕入れ先を確保した方が確実です。
そのため、立地や物価も考慮して、品質や価格が類似した食品原料を仕入れられるよう、仕入れ先を探します。

業界による購買業務の違い

メーカーの購買業務は上記の通りですが、業界・企業によって購買職の担当範囲は異なります。

例えば食品商社では、営業担当が顧客のニーズに対する理解に基づき、適切な商品を探しに行きます。
また、外食産業では上記に加え、ホールディングス全体で一括購入をするため、グループ会社間の取りまとめを行うこともあります。

小売業では、購買職に似た職種としてバイヤーがあります。
商品の仕入れ先を探す点では購買と同じですが、材料・原料ではなく、自店舗に置く完成品をメインに探します。
自社店舗での売上状況から顧客のニーズに沿った商品を考え、商品ラインナップを充実させるための新商品を探します。
例えば酒販店で、どのようなワインをそろえるかを検討し、買い付けに行くイメージです。

購買のやりがいと大変さ

購買は、自社の利益と品質を左右する重要な職務です。
より自社に合う原料や新しい原料を求めて、国内外を飛び回る必要もあります。
そのため、やりがいも大変さも大きい仕事といえます。

<やりがい>
・自社商品に合う品質・単価の商品を発掘した時
・珍しい食品原料を見つけ、自社商品に活かせた時
・様々な食品原料や食のトレンドを知ることができる
・仕入れ先と一体となって良い商品作りができる

<大変さ>
・仕入れ条件の折り合いがつかない(納品数、価格、納期など)
・仕入れ先でトラブルが起き、クレームや商品の供給停止が発生したとき
・仕入れ先、物流、商品開発、製造(社内外)、マーケティングなど、社内外の利害関係者が多く、調整が難航する
・自社が仕入れの新規開拓に積極的で無い場合、マンネリ化しやすい

購買職に必要なスキル・キャリアパス

購買で必要とされる(身につけられる)スキル

購買業務で養われる力は、大きく3つあります。
1つ目は、食品原料や資材に関わる知識と相場観で、どのような商品あり、それぞれいくらぐらいで、どのくらいの量、出回っているのかを、常にアップデートしていきます。

こうした市場の最新情報を知るためには、リサーチ力が必要です。
業界誌や、展示会での情報収集、同業や卸とのネットワークやコミュニケーションが重要となります。

最後は交渉力です。
購買の仕事は交渉ごとの連続です。
自社と顧客の経営状態に影響を与えるからこそ、購買職が行う条件交渉は、かなりタフです。
そのため、WinーWinになるよう、着地点を見据えて話をもっていく交渉力が必要とされます。

さらに、企業や商材によっては海外から仕入れる必要もあり、ビジネス商談ができる英語力や、輸入の知識も必要な場合があります。

購買職のキャリアパス

購買職は、スペシャリストになるケースが多いです。
購買として成長すると、担当する品目が増えたり、より仕入れ量の多い(=経営へのインパクトが大きい)原料を担当できるようになっていきます。

転職市場においては、新規開拓や商談における交渉力の観点から、営業職から転身される方が多いです。
特に商社では、営業職として購買と営業を一気通貫で行うことが多いため、メーカーや外食産業で購買業務に絞って専門性を磨き、キャリアを積みたいという声も伺います。

また一部企業やポジションによっては、自社で使う食品原料に関する豊富な知識が求められることもありますが、資材購買であれば他業界からの転職も可能です。

まとめ

今回は、ものづくりの根幹を支える購買職について解説しました。
流通する食材の種類や量、相場に精通しているという点で、食品業界を俯瞰し、トレンドの最先端を見られる職種です。

交渉ごとの連続で、自社の利益率や生産ペース、完成品の品質など、仕事の影響力が大きいため、責任の重圧はあります。
しかし、多くの情報が入ってくることから、「食」が好きな方は楽しめる仕事でしょう。

次回は、「物流(SCM)」を解説予定です。
8月14日(水)更新予定です。お楽しみに!

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