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通信販売拡大の社会的背景
通信販売による課題や対策、品質管理、情報提供、消費者対応などの視点から論じる
近年衣料品の通信販売が拡大してきた社会的背景としては、IT技術の急速な発展と通信情報施設の整備が挙げられる。スマホの普及により誰でも、どこでも簡単に豊富な商品にアプローチすることが可能になり、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など様々な決済サービスの普及、高度化した物流体制により、店舗に行かずともいつでも自分の欲しいものを購入できるようになった。このような動向は店舗や在庫を持たずに販売できるため、人件費や固定費削減のメリットが大きく、地方や店舗のない地域への販売機会増加を後押しする。
また働き方改革やテレワークなどの就労形態の変化、女性の就業増加など買い物時間が制約された消費者にとってもネットから時間と場所を問わず買い物ができるメリットは大きい。
通信販売の多くは実物を見たり触ったりできない、試着できないことで生じる実物とのギャップに起因する。これを解消することとして積極的に以下のことに取り組むこととする。
品質管理では、素材、縫製等の商品の品質と安全性を店舗販売以上に担保する必要がある。近年多い海外製品においても生産国と連絡をとりまたは出向いて国内と同レベルの品質管理体制を整えチェックするよう指導する。
情報提供については、消費者に正しい製品情報、取り扱い方法を伝えることを最優先とし、伝えにくい色味や肌触り、シルエットなどには写真、動画言葉の他伝え方を工夫して、デメリット表示にも配慮する。特にクレームにつながりやすいサイズにおいてはJISサイズに他に商品の実寸を明記するなども挙げられる。
顧客対応窓口を設置しその連絡先、及び返品交換等のルールを明記し迅速にその情報をフィードバックさせるシステムの構築が必要である。
経済のグローバル化により繊維業界にも大きな変化が起きている。経済産業省の今後の大きな方向性として内需依存からの脱却、外需の取り込みが不可欠であるとしている。情報技術を活用した通信販売はまさに一つの方策と考えられITや配送システムの充実によりいつでも世界中のどこからでも利用できるこの販売形態は今後ますます内外需を拡大していくものと考えられる。
デザイン、サイズ、カラーなど品揃えの多様化や、流通コスト削減による低価格化、配達の即時性、高齢化、地域格差、ライフスタイルの変化などに伴い消費者が直面している購入の利便性、低価格志向へのの要求に応えるものでこれらも通信販売拡大の背景となっている。
しかし販売対面でない場合の苦情も少なくなく課題の認識と対応が求められる。
品質管理面では販売先行型の企業がおおく、意識が不足している。企業の中で自社ブランドの品質の基準となるものを設定し、企画生産、流通における理解周知を徹底する、品質の管理体制を構築する等を実践するとともに、企業の意識向上に向けた教育や組織作りを経営者に提言することも重要
情報提供面では過剰な性能表現や画像処理による誤認も散見される
消費者に必要な品質、機能、取り扱いに関する情報を適切にわかりやすく伝えることが必要である。また通信販売では苦情を申し立てる際の窓口が不明確な場合もあり対応窓口の明記が求められる。
顧客対応としてクレームには迅速、円滑に対応し、使用後でも商品に欠陥や問題点があれば返品交換するなどのルールを確立しクレームを速やかに生産現場へフィードバックして改善する体制づくりが必要である。
消費者のライフスタイル
価値観の多様化に伴う多様な品揃えへの要求拡大
接客など人との会話が煩わしい
IT技術の発達
プレゼンテーション技術の向上
流通コストの低減
決済手段が多様化、支払いの簡略化と信頼性
通信販売の課題と対応
品質管理と安全性の担保
表示ラベル等の情報提供
顧客のコンプレイン対応
法令遵守、CSR
個人情報の管理