オーバーサイズ服の落とし穴 - アパレルの陰謀
自分を好きになるための理系ファッションアドバイザー、Kaoriです。元はダサめの理系オタク、IT企業を退職し、とある強い思いからファッションの仕事をしています。
最近ちらほら流行っているオーバーサイズの服について。
特定のブランドに肩入れも何もない私の立場だからこそ、言える本音を語ります。オーバーサイズのお洋服。以下の理由から、私は好きではありません。
理由① だらしなくなりやすいから
想像に難くないと思います。オーバーサイズの服は、肩や胴体周りがゆったり、またはブカブカです。締め付けがなくて、楽かもしれません。
けれど、楽さの代償は小さくない。
ブカブカな分、パジャマのようにだらしなく見える。お腹周りがゆったりした服を着ていると、体の緊張感もなくなりお腹がたるんで来ます。
2回目の産後のこと。私自身、楽だから!とウエストがゴムのパンツばかり履いてた時期がありました。以前していたベリーダンスの腹筋も完全になくなり、緩んだウエストは「だらしない」の一言に尽きる。焦った私は、たとえボタンやファスナーが面倒でも、少しキツめの服を着直しました。そのおかげか、段々とお腹も引っ込んで来て、今は産前の服もバッチリ着れます。
オーバーサイズのワイシャツの人と、サイズがぴしっと合ってるワイシャツの人。どちらとお仕事をしたいですか?
相手に与える印象も、自分の意識もだらしなくなりやすい。それがオーバーサイズによる「楽」の代償です。
理由② アパレル業界の陰謀が見えるから
どんな会社も、人も、楽して儲かる方法があるなら、それを知りたいでしょう。アパレル業界にとっては、オーバーサイズは楽に量産できる服なのです。
7号、9号、11号、
S、M、L、
32、34、36、
洋服のサイズ表記には何種類もある。近年登場したのが「Free size」というもの。「全てのサイズ対応」という意味にも取れる。
なぜ Free size なんてものが登場したのか。それは生産も在庫管理も楽になるからです。
size別に生産する必要も、在庫管理する必要もない。 Free sizeは作る側にとっては楽なのです。
「どんな体型に人でも合う服」とは、結局のところ「誰にも合わない服」。
全ての人にとっての理想の恋人像に一致する人、いるでしょうか?そんな人がいるとしたら、キリスト教徒にとってのイエス・キリストであり、イスラム教徒のアッラーであり、神道にとっての天照大神であり…要するに、実存しないのです。
全ての体型に適応するサイズは存在しない
Aさんは肩幅がキツイ、Bさんは袖丈が長い、Cさんは身頃がゆるい。Free size の服は、皆必ず、どこかしらが「微妙に合わない」状態になる。
それがどうでしょう。オーバーサイズの服だったら、多少ブカブカでも、「そういうデザインなの〜♪」と売れる。
ボディラインが出る服が似合う人もいるし、ちょっとオーバーサイズが似合う人もいる。そういう人も、いる。
あなたは、当てはまる人でしょうか?
「これが流行ってるから〜」とショッピングに走る前に、雑誌に踊らされる前に、考えてみてください。
先日、男性Aさんに柄・形・素材のトータルファッション診断をしていた時も、ありました。男性向け雑誌には「大きめのオーバーサイズの服を着て、男らしく魅せる」という雑誌ページ。洗練感がテーマの A さまには、スマートかつコンパクトなシルエットが似合う。オーバーサイズの服は全く合いませんでした。
理由③ 男性らしさも女性らしさも、埋もれてしまうから
先日電車に乗っていた時のことです。とある駅で乗車してきた客がいました。
申し訳ありませんが、チラッと見ただけでは、その人が男性か女性かわからなかったのです。少し観察すると、女性であることが判明。そんな彼女が着ていたのはオーバーサイズのシャツワンピースでした。色は白。
なぜ女性であることがわからなかったのか?それは、女性らしさを感じる部分が全て隠れていたからです。
胸、ウエスト、お尻、手首など、すべてがオーバーサイズの白い服にボワッと包まれている。決して太ってる人ではなかったのに、ベイマックスを連想させる出で立ち。
全ての部位において、女性らしさが強調される服だと、いやらしい印象も与えかねませんが、全てを隠すのはいかがなものでしょう。たとえ美しい女性が立っていたとしても、一瞬ベイマックスだと勘違いされてしまう。損ではありませんか?
男性においても同じです。すっと伸びた背筋も、肩も、オーバーサイズの服には埋もれてしまいます。太い人がオーバーサイズを着れば余分に膨張して見えるし(ベイマックス)、細い人が着れば体が貧相に見えます。モヤシっ子感が倍増。
服ではなく、貴方が主役
ベイマックスに罪はない。ベイマックスはかわいい。けどやっぱり彼は人間ではないからこその魅力。
あなたの魅力は、オーバーサイズの服で隠してしまうには勿体ない。そこに魅力があるのに、蓋をしているようなもの。
太っている、痩せすぎている。
足が短い、首が短い。皆それぞれ、色んな悩みがある。
コンプレックスとする部分を隠すのではない。あなたの魅力を引き出すシルエットの服が、必ずある。
アパレル業界が「売りたい」とするも商品に自分を合わせるのではなく、服の方を自分に合わせましょう。
服ではなく、貴方が主役。私はこれを伝えるために活動しています。自分が主役であること。忘れないでくださいね。
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