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文明は農業で滅ぶ

文明は農業で滅ぶ

…と聞いたらどう思いますか?

『世界四大文明』と呼ばれる、エジプト文明・インダス文明・メソポタミア文明・黄河文明。

現在、これらが栄えた土地はすべて砂漠化しているけれど、なんとその原因は「農業をやりすぎたから」なんて説もあるのです。

四大文明の地は、はじめは豊かな森林に恵まれていたそう。

ピラミッドは緑あふれるオアシスに建設され、サハラ砂漠もかつては緑が生い茂る豊かな土地だったといわれています。

農耕の発達で食に困らなくなり、余裕ができたことで食べること以外にも技術力がつき、文明はどんどん栄えていった。

…が、それは土中の資源を食いつぶしながらの繁栄。

さながら貯金を切り崩して便利なものを買い続ける生活。

貯金を使い果たしたら…当然破産します。


なにがいけなかったのか?

なにが土中の資源を食いつぶしていったのか?
それは『耕す』という行為。

実は土って、むやみやたらと耕してはいけないのです。

大型農機が土壌を踏み付けることで、耕盤(こうばん)と呼ばれる硬い層を増やしてしまう。

耕盤には水も空気も通りにくいため、水はけ・水もちが悪くなり、乾燥しやすい土になる。

土の中には、地上すべての樹木と大気を合わせたよりも多くの二酸化炭素が含まれていると言われ、乾燥して土壌にひびが入ると、大量の温室効果ガスが放出される可能性があるのです。

さらに乾燥した土は、雨や風により流されやすくなる。
そして海中まで流された土はもう戻せません。

土って、たった1cm回復させるのに、なんと100年かかるそうです。

近年『ゲリラ豪雨』なんて言葉が当たり前になってしまい、大雨による土砂崩れなんてニュースをよく見るけれど、崩れてしまった山が元の形に戻るまでどれだけの年月が必要か…想像もつきません。

土壌の破壊は気候の変動を加速させ、おかしくなった気候はさらに土をどんどん流してしまうという悪循環。


また雑草にも大切な役割があり、土から養分や水分を吸収するため根を伸ばす際、土を掘り進めることでやわらかくしてくれます。

さらに雑草の根は、土の中で枯れると微生物によって分解され畑の養分になり、しかも根のあった場所は空洞として残るため、栄養と空気を含んだフカフカの土壌になる。

そんな雑草たちを、土を耕すことで根ごと引き抜いてしまうと、抜かれた部分の空洞はなくなり、土が締まって固くなっていく。

固くて根を伸ばしにくい土壌には根張りの強いガンコな雑草ばかりが育ち、それを抜くとさらに土が固くなるという、これまた悪循環。

雑草も、栄養豊富でやわらかい土を作るため、一役買ってくれていたわけなのです。

そして、数千年にわたる品種改良によって、味が良く大量生産できるようになった現代の作物たち。

彼らはその収量と引き換えに、昔に比べはるかに多くの水と養分が必要となり、さらに生命力が落ち病気に対する強さを失ったそう。

これは人間に置き換えてみるとイメージしやすいでしょう。

部屋の中でぬくぬく高カロリーの食事だけ食べていたら、ぶくぶく太り、自らエサをとるための筋力も知力も衰え、免疫力が低下して病気にかかりやすくなっていくことなんて、容易に想像できます。

収量を増やした代わりに生命力が落ちた野菜たち。

それを補うため農薬・化成肥料を使い、そのせいで虫に食われていく野菜や微生物たちが死んで衰えていく土を補うため、さらに農薬と化成肥料を注入していく悪循環。

虫や病気、雑草に対処するために農薬を撒いて土中の微生物を殺しておいて、作物が育たないから肥料を撒く…

人体に例えると、抗生物質で体内の微生物を殺し、消化できなくなったので、点滴や胃瘻(いろう:お腹に穴を開けチューブで直接胃に食べ物を流し込む方法)で生きているようなもの。

これって、生き物として不自然ですよね。

不自然なものを食べていたら、身体がおかしくなるのも当然。 

もちろん、そんな農薬や除草剤たっぷりの土地から流れ出した水も、森や海や大気を汚染し、やがて我々の身体へと影響してきます。


人類はこんな農業を、何百年もおこなってきました。

結果として、いま地球上の土の1/3が失われ、残っている2/3も砂漠化が進み、このままではあと60年ほどで地球上から土がなくなるという試算まで。

60年後って先のように思えて子や孫の世代…
なんならこの記事読んでる当人も生きてません?

余談ですが、聖書にある『ノアの大洪水』の物語って、メソポタミア文明のチグリス・ユーフラテスの両河川が幾度となく洪水を引き起こしていたことが元ネタ。

日本各地で連日起こる、土砂崩れを含む大水害の報道…
ノアの大洪水がすでに始まってるのかも。

現文明の崩壊ってもしかすると、ヤバいぐらいもうすぐそこまで迫ってきているのかもしれません。

リジェネラティブ・オーガニック

しかし、その今この地球最大のピンチに気付いている人たちも少なからずいて、それに対応するため現在大きく2つの流れがあります。

ひとつは人工肉や昆虫食、水耕栽培といった、自然環境がなくても食料を作れるようにする流れ。

そしてもうひとつは、農業によって破壊された自然を、農業によって再生させていくという流れ。

これを「リジェネラティブオーガニック」や「リジェネラティブ農業」
日本では「再生型農業」などと呼ばれています。

リジェネラティブとは「自己再生可能な」という意味。

SDGsで「持続可能な」という言葉が浸透してきましたが、『維持・継続』よりもさらに健全な状態『再生・回復』を目指すリジェネラティブオーガニック。

こちらのほうが、ゴールとしてしっくりきます。
我々は、土地を、地球を、次世代に繋いでいかなければいけないのですから。


FARMYが取り組んでいる農法は、栄養(肥料)を土にいれるのではなく、土中ミネラルや微量成分を微生物たちに栄養素へ変えてもらうことで植物を育てる、という考え方。

微力ながら我々も、農業を通し一歩ずつ土を再生させていきます(^O^)


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