シードバンク見学…人類の最先端がそこにはあった
「種子が消えれば食べ物も消える。そして君も」
これはベント・スコウマンという、国際的な種子貯蔵庫を創設した人のメッセージ。
人間は、食料のすべてを直接あるいは間接的に植物に依存している
つまり種子によって生かされています。
そのため人類は長いあいだ、タネ=遺伝子を収集し、守り続けてきました。
作物の多様性を失わないように
無駄な植物はないと一つひとつ集め
集まった遺伝情報は人類の共有財産に
各国が巨額の予算を投じ、技術を集結させた施設を造り、種子の保護・保存を続けています。
そしてここ長野にも、多様な種子を守り未来へ繋げるための施設「シードバンク(ジーンバンク・種子銀行)」が!
ということで4月のイベントでは、シードバンク見学へ行ってきました。
今回、インスタで繋がり、FARMYを知り、来てくださった方がなんと二名も!
現代のSNSに感謝♪
そして、FARMYのインスタアカウントがじわじわ認知広がってきているようで、運用者としてはうれしい限り(^_^)
いずれはこの『note』ブログからもFARMYに興味を持って来てくれる方が現れると良いなぁ。
さて、今回の会場となるシードバンクは、北アルプスの見える安曇野の山麓にある、ゲストハウス「シャンティクティ」さん。
サンスクリット語でシャンティは『平和』を意味し、シャンティクティは『平和の家』という意味だそう。
自然との調和、心と体の調和した暮らしを共に学ぶ場
をモットーにゲストハウスの運営をされています。
シャンティクティはあくまでゲストハウス・宿泊施設。
シードバンクがメインではないけれど、オーナーの臼井健二さんはパーマカルチャーの第一人者のような方。
※パーマカルチャー:パーマネント(永続性)・アグリ(農業)・カルチャー(文化)を組み合わせた造語、自然と恒久的に共存していく、持続可能な生き方のひとつ。
いま日本では、「たね」が非常に危うい状況に置かれている。
そんななか、いのちを育む「たね」(=固定種・在来種)を残し、食や農、伝統、食文化などを情報共有したいという想いから、固定種や在来種を残す運動をされている。
そんな臼井さんに、種や農法、日本の現状について、シャンティクティの庭を案内してもらいながら、多くのことを語っていただきました。
食べられる庭
1940年代より、『緑の革命』という大規模農業による食糧増産を先進国主導で進め、それにより作物は大量生産が可能になりました。
しかし同時に問題点も。
化学肥料・農薬・除草剤を使うことで川や海から魚がいなくなったり、病気になるひとがふえたり、大型耕機が必要となるため経費がかさみ小規模農家さんは立ち行かなくなったり…
シャンティクティの庭はエディブルガーデン(食べられる庭)
”マンダラガーデン”と呼ばれる円形状に開墾された畑、中心にはティピ(竹で組まれた円錐型の構造物)、端にはコンポストトイレも。
耕さない、草も虫も敵としない、農薬・肥料も何もいらない。
そして必要なものは350円の鎌に150円の手袋。
ワンコインで畑は作れると言います。
一見すると「通路なのか?畝なのか?雑草なのか??野菜なのか??」
と思うような、自然体の畑がそこに広がってました。
耕さないこと、それは自然の力を信じること。
草や虫、そして土中の微生物たちが、すべて完璧にしてくれる。
『根穴構造』といって、雑草たちの根は土中を掘り進め、勝手に耕してくれる。
そして土の中で腐った根は空気や水の通り道になるので土が柔らかく、根が残っている畝は、雨が降っても土砂流出することもない。
循環のなか、無駄なものなどひとつもない。
人が勝手に「雑草は問題児だ」と、いらないものと決めつけ排除しようとする。
そして、そんな豊かな畑の作物たちは、採りすぎなければ、勝手に花をつけ種を落とし、来年また食べ物を実らせてくれる。
人間がやることは、自然の循環をほんの少し後押し・微調整するだけ。
例えば自然に任せて発芽・収穫しようとすると、種は淘汰され、1から1しかできない。
そこにほんの少し手をかけることで、ひと粒の種(米)から3000粒の種が収穫できる。
「人間がなんでもやろうとすると、逆にろくなことにならない」
もっと土の力、自然本来の力を信頼して良い。
というか「ほんの微調整」以上のことをしてはいけないのだ。
まさにパーマカルチャー、「持続可能な暮らし方」がそのまま実践されている場所でした。
私もヨメと共に自宅の庭を開拓中ですが、理想形・目標が見つかったような気がします。
100点を目指し60点で良しとする
臼井さんはこれまでたくさんの事を手掛けてきて、大抵のことはやっているそう。
しかし、そのどれも完璧などではない。
「100点を目指し60点で良しとする。掛け合わせ、トータルで150点になれば良いじゃないですか」
と、“総合点”を意識してやってきたと述べている。
生きていくのに重要なことは、総合点。
ひとつのことが完璧にできても、生きていくことはできない。
自給自足にはたくさんの技術や経験が必要になってくる。
むしろ完璧は目指さない、完璧は面白くないと言う。
自給自足も全然完璧なんかじゃない。
「電気は中部電力、ガスはプロパン使ってるよ(笑)」と。
日本の土地である以上、固定資産税だってかかる(それも本来おかしいものと言っていたけど)
こだわりすぎない、傾倒しすぎない、ゆるくいく。
シンプルに「心地よい」と感じる暮らしを営んでいく。
そのこだわりとゆるさのブレンド具合も、人によってそれぞれで良いのでしょうね。
シードバンクなんて無いほうが良い
現代は明らかにオーバーテクノロジー。
空飛ぶ車なんてホントに必要?
声でスイッチがはいる電子機器なんてホントに必要?
『豊かさ』を求めすぎた結果『便利さ』を追い求めることにすり替わり、本当は一番大切であるはずのコト・モノを置き去りにしてきた。
「シードバンクなんて、本当は無いほうが良いんですよ」
と、イベントの最後、臼井さんは言っていた。
これまでの時代、日本人は分かち合い生きてきた。
豊作の時はみんなで富み、モノが無い時はみんなで飢え助け合った。
わかちあい、分けて・合わせる
それが今は「分ける」ことだけ。
分断させることで競争を生み、そこにマーケットを作り出す。
そうして経済資本主義は発展してきた。
人間も自然の中で生かされている。
循環の中に生き、自然の恵みを少しだけいただき、また自然に還す。
これぞまさにサスティナブル。
「わかちあう、いずれまたそんな時代が来ると思いますよ」
シャンティクティの在り方は、これからもこの地球で生きていくための、ひとつの答えを指し示してくれている。
臼井さんの生き方は、これからの時代の最先端なのかもしれません。
PS:イベントの様子はインスタ(動画)でも載せてあります、良ければそちらもご覧ください♪
https://www.instagram.com/reel/CrrTepxL3Yc/?igshid=MDI2Mzg4NTI=
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