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土から育てるスパイスカレー #5 種とか品種とか選び方とか

~前置き~

お庭でカレーライスの食材を栽培して、その食材を使ってカレーライスを作ろう、という内容で情報発信しています。何故そのような情報発信をするのか、というと、

土からカレーライスを作るのは単純に面白いのでお勧めしたい。結果的にカレーライスの味の向上につながればいい。

という理由です。土からカレーライスを作るのは本当に面白いので、宜しければお気軽にお付き合い下さい。

~結論~

  1. 種はインターネットやホームセンターで購入できます。一つの植物に複数の呼び名がある場合は、いろんな呼び名で検索すると、きっと見つかります。

  2. wild curryのレシピで使うスパイスは、そのまま種として使えます。但し、他品種との交雑の可能性があるので、2~3年毎に新しくするのが良いです。

  3. 種は固定種とか在来種を選びます。

  4. 品種が沢山ある場合は、用途を確認して、世の中に広く出回っている品種を選ぶとよいです。

~説明~

1.について、種子はいろんな所で販売されています。ただ、知っている名前で販売されていないケースもあります。例えばカロンジはブラッククミンとかニゲラとかブラックシードとかいろんな名前で呼ばれています。フェヌグリークも発音によりフェネグリークとなったり、或いはメティと呼ばれたり、また種ではなく葉や茎をスパイスとして使う場合は、同じ植物でもカスリメティと呼ばれます。

同じような植物でも食用ではない品種もありますので、食用植物の種であることの確認も大切です。

2.については、wild curryで使う植物系食材は玉ねぎを除き、全て翌年も種として使えます。種を毎年繋ぐのです。ターメリックや生姜はそのまま種として植えることが出来ます。

毎年種を繋ぐことで注意が必要な場合もあります。例えばマスタードはアブラナ科ですが同じアブラナ科の植物と交雑しやすい植物です。食用油として菜種油を栽培する場合は特に交雑の可能性を前提として取り組むのが良いと思います。wild curryでは、アブラナ科同士の交雑を避けるため、食用油は菜種ではなく胡麻油を検討しています。交雑に関しては、風や昆虫が花粉を運んだり制御不可能ですので、2~3年毎に種子を購入し直すのが良い方法でしょう。

マスタード

3.については、固定種や在来種のことを少し知っておく必要があります。簡単に言えば、その実から採れた種を翌年蒔いて同じものができる品種が固定種や在来種です。そうでないものは例えばF1とか〇〇交配とか種袋に表記されています。そのような種を蒔くと、来年は同じものができない可能性があります。2.のように毎年種を繋ぎますので、交雑しない限り来年も同じものができる固定種や在来種がお勧めです。

また難しい話になりますが、品種が登録されている場合もあります。品種登録されている種を蒔いて、その種を繋ぐことは禁止されています。

4.について。まずフェンネルを例に挙げたいと思います。フェンネルは一般的には西洋野菜のフェンネルが知られています。株元が白く膨らんだ美しい野菜で、フローレンス・フェンネルと呼ばれる香味野菜です。このフローレンス・フェンネルはスパイス用のフェンネルではありません。スパイスとしてつかわれるフェンネルは別の品種です。フェンネル・シードという呼び名であれば間違いありません。

フェンネル・シード

次に生姜を例に説明したいと思います。実は2024年にレシピの農場で栽培したのは幻の生姜と言われる生姜でした。幻という言葉に魅力を感じて栽培したのですが、流石に幻だけあり「風味が強い」のです。カレーライスにはその風味は強すぎでした。wild curryには生姜を15g使いますが、15gでカレー全体の味を支配してしまいました。良かれと思い栽培した幻の生姜ですが、その品種の特徴が食材としてどうなのかを確認するのはとても大事であるということを学びました。2025年は一般的にスーパーで販売されている大生姜を栽培します。

左は普通の大生姜、右は幻の生姜

トマトは沢山の種類があります。その中から選ぶ際の選択肢ですが、まずは固定種や在来種である、ということです。次に加熱調理に適した品種である、ということです。サラダとして生で美味しい品種もあれば、ソースなどに使われるトマトもあります。カレーライス作りで使うのは、加熱調理に適した品種です。お勧めはサンマルツァーノというイタリア品種のトマトです。完熟させて加熱すると真っ赤なトマトピュレができます。

熟す前のサンマルツァーノ

次はパプリカです。パプリカは栽培が難しい食材です。大きな実が赤く色付くまでにかなりの日数を要し、大きくて真っ赤なパプリカができるまでに、虫にやられてしまいます。しかも家庭菜園でパプリカを育てようとすると、一株にせいぜい5つの実がなる程度で、その内3つが虫食いに合うと残り2つとなります。

そうならないよう、お勧めは小さなパプリカです。一株に小さなパプリカが20~30個成ります。これならば3つ虫食いにあっても残りまだ沢山あります。ただし小さなパプリカを一つ一つ収穫して種取りして、という手間はかかります。

大きなパプリカと小さなパプリカ