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十五夜タイムスリップ
我が家では、次男を寝かしつけてからリビングにいる長男を寝室に連れて行って寝かしつけを行っている。
そうしないと次男のテンションがいつまでもMAXで、長男も呼応して寝かしつけが終わらないからだ。
昨日もいつものように次男を寝かしつけた。布団の上で大の字でスースーと寝息を立てる次男を見ながら、さあ次は長男だ、と階段を降りた。
ふと、そういえば十五夜か、と思い出し、リビングでテレビを見ていた長男に「お月様を見に行こうか」と言ってみた。
寝間着を着ていた長男も「行く!」というので、抱っこで家の外に出た。
月はいつもよりも白く、大きく、輝いて見えた。
街灯が少しまぶしかったので、抱っこから肩車に変形して暗そうなところまで歩いた。
「お月様は、地球のかけらが集まってできたんだって」
と不意に長男が言った。保育園でそういう話をしてもらったらしい。
「お父さんや君が生まれるもっとずっとずっと前に、地球に大きな岩がぶつかって、削れたかけらが集まったんだよ」
という話をした(そういう話なんだっけ?)。長男は「へー、そうなんだー」とわかったような、わかっていないような返事をした。
一通り月を眺めて、今度はお団子作りたいな、という長男を寝かしつけ、ベランダで洗濯物を干しながらもう一度月を見上げ、自分が子供の頃に見た月を思い出していた。
せっかくの十五夜なのに雨が降ってしまい、黄色い画用紙をカーテンの上の方に貼って即席のお月見をした日のこと、今は家が立ち並ぶ場所がまだ広い空き地で、そこで母親と一緒に自分の背丈よりも高いススキを取った日のこと、姉がお団子を作る!と張り切ったけど水の分量を間違えてドロドロになってしまって泣いていた日のこと、いろんな光景を思い出した。
いつか自分の子供も、孫と一緒に月を見るのだろうか。
その時、子供の頃に私と月を見上げた日のことを思い出すだろうか。
「お父さんが子供の時にね」と私と同じ口上で孫に話しかけるだろうか。
30年前と、今と、30年後の月が点になり、思い出が一本の線となってつながったような気がした。そんな夜だった。