いずれやってくる大災害に、私たちはどう備えるべきか?
なぜ、大地震が発生した際、円高に振れたのでしょうか。
要因は、一つだけとは限りません。
まず、考えられるのが、日本の損害保険会社が、
地震発生に対する保険金支払いのために、
海外の資産を日本に戻そうとして円に両替した、という説。
確かにありそうな話ですが、
ゴールドマン・サックス証券の試算によると、
国内損保業界の支払い予想額が6000億円強だったのに対して、
損保大手3社の手元資金は1兆円近くあり、
海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低かった
と分析しています。
次は、投機筋が行っていた円キャリー取引が逆回転した、という説。
円キャリー取引とは、低金利の円で資金を調達し、
高金利の通貨に両替して運用する、という投資法です。
ヘッジファンドなどの間で盛んに行われていましたが、
地震発生でリスクが高まり、取引を解消したことで
円高になったというのは、あり得る話でしょう。
当時、日本円は安全通貨と見なされ、
資産の逃避先の一つと考えられていたことも
影響しているのではないかと見られています。
災害などで為替が不安定になると、
残念ながら、そこを狙った輩も多く参入します。
東日本大震災(311)の時は、
1ドル76円台の最高値をつけた翌18日、
急激な円高を見かねたG7が協調介入を実施し、
81円台に戻しています。
「みんなが手放しているのだから、
自分も運用を中止したほうがいいのではないか」とか、
逆に「混乱期はチャンスだから、この機に乗じれば、
大きなリターンを得られるかもしれない」などと
考える人がいるかもしれません。
しかし私たちは、そうした声に耳を貸してはいけません。
市場が極端に振れた時は、たいてい後になって
大きな揺り戻しが起きるものです。
偏った運用を行えば、後でその対処に追われて、
右往左往することになりかねません。
結局のところ、「災害への備え」とは、
普段から、資産形成にきちんと取り組むことです。
FANでお勧めしている長期運用に
分散投資などを組み合わせれば、
ほとんどのリスクに対応できるはずなのです。
「備えあれば憂いなし」。
まだの人は、今すぐ準備を始めましょう。
【参考文献】
日経新聞Web版:2011年3月17日、REUTERS:2011年3月14日、imidas:2011年4月22日、他
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