ヴァイオレットエヴァーガーデンに学ぶ「共感」と「癒し」

※注意 アニメ・映画版ヴァイオレットエヴァーガーデンの内容に関する言及があります。未視聴の方はご注意ください。




お初にお目にかかります。旦那様がお望みなら、徒歩圏内くらいなら駆け付けます。立川茜です。

私はここ1年くらい、コミュニケーションスキルの勉強をしているのですが、その1つである「共感」について話したいと思います。

例えば、家族を失い悲しみに暮れている人の力になりたい時。

「共感」は悲しみの癒しに非常に有効です。

しかし、「共感」は簡単なようで実は奥深く、あるポイントを押さえているかどうかで気持ちを伝える側への癒しの効果がかなり違ってきます。

そのポイントを学べるのが、「ヴァイオレットエヴァーガーデン」です。


伝えたい気持ちを言葉にする

共感の話を始める前に、この作品のメインテーマに触れておきます。

今作品は、「手紙」という手段を使って気持ちを伝える物語でした。

”自動手記人形”=手紙の代筆業として主人公は依頼人の言葉にしたい気持ちを拾い上げます。

主人公と依頼人が会話をする中で、依頼人は自分でも気づいていなかった(もしくは押し込めていた)気持ちに気づいたりします。

言葉にしないと、共感のスキルも使えませんので会話は重要です。

しかし通常は、いきなり「気持ちを話せ」といっても逆効果ですので、話をしやすい環境や、十分な時間が必要です。


人の心はわからない

主人公であるヴァイオレットは、自身について「人の心が良くわからない」と評価しています。実は、ここが非常に重要なところです。

どんなに親しい相手でも、人の心はわからないものです。相手が気持ちを言葉にしてくれたとしても、全ての気持ちを表現できるわけではありません。

結局のところ、その人の考えたこと、感じたことはその人にしかわかりません。当然と言えば当然ですね。

大事なのは、その当然の事実を再認識することです。


安易な共感の言葉は逆効果?

「そのお気持ち……とてもよくわかります」

上記のセリフ、その人の気持ちに寄り添い、共感を示しているように見えます。

しかし、実は言われた側にはあまり響かないことがあります。

(簡単にわかりますというけれど……本当にわかってくれているのかな)

「私も同じような経験があって、それくらい落ち込みました。でもそこで頑張ったから今の自分が……」

(私の話を聞いてほしいのに、自分の話をしている……)

実際はこんな状況になっていないでしょうか。


真の共感とは?

ヴァイオレットは、時に依頼人の言葉をほとんどそのまま繰り返すことがあります。この「繰り返し」が、まず一番簡単に使えるポイントです。

「○○を伝えられなかったことを……後悔している」

「気持ちを伝えられなかったことを、強く後悔しているのですね」

たったこれだけで、相手は「この人は私の話をちゃんと聞いてくれている」と感じます。


2つ目は、「気持ち・希望を尋ねること」です。

「○○さんはお兄さんの行動について、どのように感じていらっしゃるのですか?」

「○○について、どうしたいとお考えですか?」

話をしていて、気持ちを推し量りきれなかったと感じたら、逐一確認して、少しでも相手の気持ちに近づけられるようにします。

希望を聞くときは、実現可能かどうかは気にしないでください。実現不可能と思われる希望を言ったとしても、「○○したいと考えているのですね」と繰り返すだけで大丈夫です。

最後に、相手が気持ちを十分に言葉にしてくれたと感じたら、そこで初めてちょっとだけ自分の気持ちを乗せた言葉を返します。あなたの気持ちを聞いて私はこう感じた、と(これは取ってつけた言葉にならないよう、難しいと感じたらしなくても構いません)。


やってはいけない、注意するポイント

・否定の言葉は使わない

その人の気持ちはその人のものですから、どんなに理解できない感情でも否定してはいけません。

「痛いよ」と泣いている子に「それくらい我慢できる!」と励ますようなものです。

地味にやってしまいがちなのが、「全部私のせいだ」に対し「そんなことはない」と言ってしまうことです。「強い責任を感じているんですね」でよいのです。

・解決策を探さない

そもそも容易に解決策が出るのであれば深くは悩みません。答えのない悩みもあります。でも、そこで「悩んでもしょうがない」と考えるのではなく、「答えが出ない苦しみ」に共感することが大事です。

・沈黙に慌てない

つい沈黙が続くと言葉をかけたくなりますが、相手が言葉を探しているのかもしれません。ぐっと我慢して待ってみましょう。


まとめ

共感とは、その人と同じ気持ちであることをアピールすることではありません。

人の心が分からないと自覚するヴァイオレットでもできる、もといヴァイオレットだからこそできたこと。

その人の苦しみ・悲しみをできるだけ言葉にしてもらい、その気持ちにできるだけ近づけるように努力し、

そして一緒に苦しみ・悲しみを噛みしめてやることです。

癒しとは、その人の苦しみを解決するゴールへ導くことで得られるものではありません。

その人の隣を一緒に歩いてあげることで、ずっと先に見つかる”かも”しれないものです。

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