エスパルスアウェイ観戦記(vs秋田戦)
皆さま、ご無沙汰しております。横断バッグです。
今回は先週行われたアウェイ秋田戦の観戦記です。
前節、ホームで首位町田相手に劇的逆転勝利を挙げたエスパルス。
こうした劇的試合の後は気が緩みやすいが、逆転優勝のために絶対に落とせない一戦です。また、試合日は8月27日(日)、前日の26日(土)は大曲で花火大会があるため、宿泊先が取れない中で多くのサポーターが当日入りすることが見込まれる。かくいう私も途中で一泊して当日秋田入りする人間である。
8月26日(土)私は東京駅にいた。これから、鈍行で高崎線(上越方面)へ行く。そう、新幹線ではないのだ。夕方ごろに高崎駅に到着。高崎駅は人でごった返していた。8月最後の週末。この日は高崎でも花火大会が開催されていた。そんな中をスルスルと新幹線改札へ行き、長岡までの切符を購入。ここから長岡までは新幹線を使う。鈍行では高崎→長岡まで待ち時間を含めて4時間はかかる。明日も長距離移動が待っているため、課金してワープする。高崎駅から40分で上越国境を超え、長岡駅へ到着。やはり新幹線は早い。本日はここで一泊。近くにアイリッシュパブがあったのでウイスキーを注入。一緒に頼んだ地元産の枝豆がうまい。間髪入れずに枝豆を口に運んでいた。
8月27日(日)7時半。長岡駅から新幹線に乗る20分ほどで新潟駅に到着。
さて、ここからはもう新幹線は使わない。絶対に乗りたい列車、車両があった。8時22分発特急いなほ号秋田行のグリーン車。秋田戦の日程が分かったときに真っ先にこの列車での乗り込みを考えていた。このグリーン車は既存の車両を魔改造されたもので普通席2列分を1列にした贅沢仕様。足を伸ばしても壁に当たらない。YouTubeで見て一回は乗ってみたかった車両である。そして、新幹線からの乗り換えであれば割引が適用されるため、絶好の機会であった。特急は定刻通りに新潟駅を出発して日本海沿いを進む。同じ車両にも仲間(エスパルスサポーター)が何人もいた。さすがアタマオカシイ(褒めている)方々である。3時間半列車に揺られていたが、特に苦痛に感じることなく12時過ぎに終点の秋田駅に到着した。
スタジアムへ行くにはここで改札を出るべきだが、キックオフは18時。まだかなりの時間がある。そのため、別の列車に乗り換える。男鹿線が接続しており、これで男鹿半島へ向かう。この男鹿線で使われている車両もかなり独特なのだ。途中までは電化された区間を通るため、パンタグラフで電気を得るが、末端区間は非電化区間であるため、蓄電池で列車を動かす環境にやさしいハイブリット車。乗り心地も最適。なまはげが描かれた最新鋭の車両は13時過ぎに男鹿駅に到着した。ここでは昼食をとって、折り返し列車でとんぼ返り。14時前に男鹿を後にして、15時前に秋田駅に到着。
ここで今日のメインエベント、試合を見に行く。スタジアムは秋田県庁隣の運動公園にあり、秋田駅からスタジアムへは3㎞ほど。暑いので歩くのは避けて、路線バスを使う。路線バスの乗客は90%以上オレンジ(エスパルス)の方々だった。いま一度確認するが、ここは日曜日の秋田である。その中でこのバス内では静岡弁が通じる。もう、どっちのホームかがわからない。青の秋田サポの方も数名いらっしゃるのだが、やはりマイカーで来られる方が多いのだろう。清水サポお得意の「アウェイバスジャック芸」を披露し、バスはスタジアムの最寄バス停に到着した。
ちょうど、16時前、スタジアムの開門時間に着いたはいいものの、暑い。ふと見ると売店コーナーにババヘラアイスがあったので、早速購入。売り子のおばちゃんがヘラですくって、バラのような形で出してくれるリンゴ味のアイスでめっちゃうまいが溶けるのも早い。写真を撮るのも忘れてひたすら溶けるアイスと格闘していた。アイスも食べ終わり、スタジアムに入る。陸上トラックがあり、地元の草薙陸上競技場と同じ雰囲気を感じた。17時過ぎの選手の練習開始。応援を始めるアウェイゴール裏、どよめくホームゴール裏。この時、清水側は600人以上のサポーターが詰めかけていた。聞くところによると他のチーム平均の2倍以上らしい。そして、事前情報ではゴール裏(応援地帯)のチケット販売数ではホームよりもアウェイ側の方が多かった。まさしく、アタマオカシイ(褒めている)方々である。それだけ、この試合にかけるものがあった。この試合に勝てば、自動昇格圏の2位に上がれるのだ。そりゃあ、サポーターも熱が入る。みんな必死だった。
選手の練習が終わり、ロッカーに引き上げる。試合前の最終準備に入る中、ピッチではこの試合の冠スポンサーである秋田県トラック協会の代表者様のご挨拶が行われた。同法人で初めての冠スポンサーになったこと、ラジオで試合の告知をした際には熱心なファンから御礼があったこと、そして、清水サポーターへは7月の水害復興途中でありながらも秋田を楽しんでほしいとのことだった。すごく人の好さを感じるスピーチだった。スピーチが終わり、清水側からは「大いなる秋田の水害からの復興を願っています」の横断幕を掲示。有志による作成だったのだろう。相手側が被災された際にはこうした横断幕が掲示されることはある。ただ、これを受けての秋田側の対応は違った。「エスパルス」コールで返してきたのだ。こんな感動的な場面はなかなかない。今後にも残していきたい光景だった。
さて、スタジアムが一体となったところで選手入場。秋田の大地に試合の火ぶたが切って落とされた。秋田は完全に清水の攻撃の良さを消すサッカーをしてきている。そして、それが見事にはまった。ボールは持てるが攻め手を欠き、逆にミスからカウンターを仕掛けられる。スコアの動きはなかったが、相手の方がチャンスが多い中で、前半が終わってしまった。どうもやるせない。
勝負の後半、さらにギアを上げてくる秋田が開始早々にコーナーキックを獲得。高くゴール前に入れられたボールが誰かに当たって、えっ、ゴールに入った!?逆サイドなので、遠くて訳の分からない清水ゴール裏。歓喜する秋田側。映像を見ると清水のGKのパンチングが運悪くゴール方向に行ってしまい、オウンゴール。まじか。GKも勇気をもっていった結果であるし、責めることはできない。ただ、勝つために2点取らなくてはいけない。失点直後、清水は足の速い選手を投入し、速さで変化をつける。溜息ではなく、鼓舞するサポーター。その後はチャンスを作ることができ、コーナーキックを獲得。電光掲示板には秋田側が分析した清水の今までの得点パターンがパーセンテージで表示されていた。(こんなことするチームはほかにない)分析によれば、セットプレーからの得点が一番多い。これはチャンスだ。山原選手がボールを入れる。それに合わせたのがカルリーニョス・ジュニオ選手だった。相手を振り切ってフリーで走ってきた。ボールはゴールに吸い込まれる。歓喜する清水ゴール裏。あと20分ある。もう1点狙えるぞ!!
しかし、秋田の守備も手ごわい。終始チャンスを作っていくが、クロスがことごとくはじかれてしまう。決定的なチャンスが作れないまま、1-1で試合が終わってしまった。
前述したとおり、この試合に勝てば2位浮上できただけあって、試合終了直後は憤るサポーター。しかし、選手が挨拶のために近づくと「次は勝つぞ」「下向くな」とひたすら鼓舞して、最後はエスパルスコールで終わる。なんだかんだ言っても、このチームが好きなサポーターたち。まだ希望は残っている。残りは10試合。そのうちホームで6試合できる。これを生かして、あとはひたすら勝っていくしかない。
そんなことを思って、スタジアムを出ると、メインスタンドで観戦していた知り合いから誘いを受けて急遽、一緒に夕飯を食べることに。秋田出身のサポーターは、地元にオレンジの集団が大挙して押し寄せたことに大層感動されており、こちらの応援の迫力がいかにすごかったかを語ってくれた。今まで自分たちの応援をフィードバックされたことはなかったので、ありがたく、かつ他者からはこう見えていたのかとすごく新鮮だった。
こういっては人並みだが、人の温かさに触れた秋田旅であった。
日曜日の夜に秋田に行って、疲れて、試合にも勝てなくて、傍から見ればどうかしていると呆れられるかもしれないが、こちらとしては結果云々よりも行って後悔はしていない。これからも時間と経済的に許す限り、アウェイ遠征をしていきたいと思う。
それでは、また。
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