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【2020.05.28】文章のプロが本気で遊んでいる姿はそれだけでひとつの作品になる。

『キングダム』の連載更新がない木曜日も今日で終わり。来週から新編が始まると思うと、梅雨入りしてしまう6月も眩しく感じる。

1ヶ月更新なしの精神状態を、正直かなり危惧していた。やはり水曜の夜になるたびに「そうだよね、ないんだよね」と空虚な気持ちにもなった。

けれどこの1カ月をトータルして俯瞰すると、思っていたよりもずっとヘルシーに暮らせたと感じる。推し進めたいプロジェクトを持てたことが良かったのだろうな。

とはいえ我慢してきたご褒美、明日は実写版『キングダム』が放送される。周りの『キングダム』好きと4人(このなかでは僕が一番新参者)で劇場まで観に行ったのが懐かしい。鑑賞後はもちろん中華料理屋へ流れた。

この映画の「ナイス!」と思った演出がいくつかあるのだけど、まだ観ていない人にとってはネタバレになるので書くのはやめておこうと思う。『キングダム』名物の「論戦」の良さが活きる映画版の素敵な工夫がある。


今日は午前中に、計画してきたもののプロトタイプをようやく一つ作り終えることができ、一歩前進。お披露目が待ち遠しい。16人のみに対するクローズドのものだけど。

午後は3回目となるオンラインABD(読書会)。今日は3月に出版した『両利きの組織をつくる──大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』(加藤雅則著、英治出版)をみんなで読んだ。

オンライン開催になってから回数を重ね、大きなトラブルが起きる心配はなくなり、細かいところでの改善が積み重なってきた。この形式の読書会には、自身が担当するパートを読んでサマリーを書く作業がある。これはリアルイベントだとかなり手間のかかるところなのだけど、オンラインだと入力が楽だし、作成したサマリーが画面に共有されるのでとても見やすい。

いつか同僚が「『仕方なくオンライン』ではなく、『オンラインならでは』を見つけていくことが大事」と言っていた。それがだんだん見えてきた気がする。

参加者が毎回良い方々ばかりなのも嬉しい。今日ゲストで来ていただいた著者も驚いていた。運営も安心感を持って集中できる。

イベントが終わるとドッと疲れが来るけれど、気分は晴れやかだし、心地良い疲れ。日記書いていないで寝たいくらいだけど、今日はもうひと踏ん張り。


昨晩、昨日の日記でも紹介したこの本を読み始めてみた。

こーーーれがとんでもなく面白い。夜遅いのに声を出して大笑いしながら読んでしまった。

横光利一さんの『機械』という原稿用紙50枚ほどの短篇小説を、なんと11年かけて読んだ記録を綴った本。とはいえ単なる感想文や批評ではない。

一言で言うならば、「読書の実況中継」。作品の一言ひとことでいちいち立ち止まって、その瞬間の感覚や、「どんな思考回路をしてるんだよ」と驚くようなとんでもない仮説が描かれていく。その立ち止まりや脱線があまりにも多く(一行ごとにいちいち反応するレベル)、肝心の『機械』のストーリーが全然進んでいかない。

冒頭なんて、「これから『機械』を読んでいこうと思う」と言いながら、数章かけてまったく関係ない作品の話をし始める。「次回こそは『機械』を読もうと思う。たぶん」といった調子で意気込みを語りながら、全然本題に入っていかない。

のだけど、このぐずぐず感が最高に面白い。文章のプロが本気で遊んでいる姿はそれだけでひとつの作品になる。そうしてぐずぐずするなかにも、随所にちゃんと作品への鋭い分析が入ってくる。

こういう一言一句にいちいち立ち止まる読書の楽しみ方は、割と本気でいいな~と思っている。11年はやりすぎだと思うが......。

これだけの時間と苦労(遊んでいるようにも見えるけれど)を費やして書き上げた作品なのだから、もっと多くの人に発見されてほしいなと思う。今年笑えた本ランキング1位だな~。

早く続きが読みたい。

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