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この人、ガチでかっこいいから‼️

読了しました!気になってたんですよ、西加奈子さんが絶賛してたので。
書評にある「苛烈」という言葉がまさにしっくりきます。
とにかく、生半可じゃないんですよ。
人間はここまで、赤の他人に対して無条件にあったかくなれるものか。分け隔てないにも、ほどがある。
今の私にはまだまだ無理だからこそ、手に取った気がしてます。

今も大阪で活動されている、西田好子さんという女性の牧師さん。
そして、彼女の教会に集まる人々。
西田さんは私とは違う宗派の方のようですが、プロテスタント系だと女性が牧師になれるんですね。この本のおかげで初めて知りました。色々とあるんじゃのぅ。

大阪のあいりん地区というところで、犯罪歴のある方、路上生活者、障がいを家族にも受け入れてもらえず行き場のない方など、
社会から弾き出されて
誰もが「できれば関わりたくない」と思うような人たち。事実、実の家族が遺骨すら引き取りを拒否するという、そんな、
本当に孤独な人たち。

西田牧師はそんな人たちに自ら近づき、支援し、教会の住居に招き入れる。
救われたおじさんたちは、ミサに出ても「キリストさんはよくわからん」などと言っているが、ギリギリのところで命を救ってくれた西田さんへの信頼は絶対的。
これは、ありがちな「布教」とはまた一線を画するものなんじゃないかな。
信じようが信じまいがそれは二の次。とにかくあなたを助けに来た
そんな、火傷しそうな熱を西田さんの生き方に感じます。
カルカッタの最底辺に、か細い女性1人身を投じた、マザーテレサにも重なるものがあるような。

私の苦手な「無職のおじさん」という層

この本を覚悟して手に取ったのにはある理由があって、
私個人は、じつはやや男性嫌悪傾向。
ま、過去の記事を読んでいただければなんとなくわかってもらえそうだけど、この世の男女の醜い部分を人十倍体験してますんでね。

色々ありましたんでね…

しかも、

「無職」「60代以上」「男性」「無敵」

これらの要素が入ると、とっても無理。
ごめんなさい。
近づいてくると、サッと逃げるレベルなんです。これに「昭和の風情」なんかがプラスされるともう致死量なんですね。

私の中の、冷淡で本当はすごく自信のない私、

そいつがこう言います。

「嫌われ、弾かれ、孤独になるにはそれなりの理由があるんじゃないの?
野垂れ死したとしても自己責任じゃん」

賛同してくれる人も少なくないでしょう。
実際、家族からも弾かれたおじさんは、とんでもない毒親だった可能性もあり、遺骨を引き取りたくない気持ち、私には想像できます。

かく言う私も、毒親育ちですんでね。

幼少時、最初の異性の象徴であるはずの父親にとことん失望した経験が、あちこちで私の足を引っ張ります。

しかし、西田牧師はかれら無敵のおじさんたちを
「うちの子たち」と呼び

頭をポンポンして可愛がり、死の間際まで見捨てることなく見届ける。
いや、死んだ後も
本来なら無縁仏になるはずだった彼らのお骨を引き取って、
遺影とともに大切に保管しているのです。

中でも度肝を抜かれたのが、

誰もが知るあの大事件の犯人の遺骨を、

家族さえも引き取りを拒否した、
世の憎しみを一手に受けたその骨を、
憐れんで進んで引き取りに行ったという事実。

正直、私はまだ人間ができてませんので、
自分の親すら許せていないし、
前述の遺骨の犯人にも嫌悪感しか感じない。

しかし、西田牧師の「正しさ」を、頭では理解している。

では、自分も今日から実践できるか? 
昨日まで嫌悪していた対象を、こんな風に愛せるか?

できない。なんなら、護身用のナイフでも持たないと、彼らを信頼して対峙することなんて出来ない。

西田牧師はすごい。
憧れはある。
でも、ずいぶん遠い憧れだなあ。
この本を読んで、何日か自分で自分が情けなくて
「いつまで人のせいにする?許せ」
と命令してみる。  

そうでないと、愛をばらまくなんてできない。
惜しみなく、心から、あふれるほどにゆすり入れるのが、愛の本質なんだから。

もし良かったら、動画もあるので西田牧師の説教も聴いてみてね。

めちゃくちゃロックだから。🎸

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