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パーパス、なんでス?(後編)

おはようございます、こんにちは、こんばんは。FantaRegista尾田です。
身内に不幸がありまして、だいぶ間が空いてしまいましたが、
いよいよ「パーパス編」最終回となります。

僕は26年お世話になった大手広告代理店を退職するにあたり、
敬愛するK先輩から『独立するからにはキミのパーパス(社会に対する存在意義)をキチンと定めた方がいい』とご助言頂いたのですが、そもそも自分は何をしたかったんだっけ? を思い出すため、自分の深海に潜り、「何かが伝わる瞬間が好きだ」ということを思い出したのでした、、、

ぶくぶくぶく、、、

さて、何かが伝わる瞬間が好きだ、ということは分かった。
で、それをどうしたいんだっけ、、、?? 

深海から浮上しつつ、僕は自問自答を繰り返す。

伝わる。通じ合う。

書くとカンタンだけど、いかに困難なことか、、。
長年の友人やチームメイトだって、
お互いの意図や真意は伝わらないことの方が多い。

コミュニケーションのプロ集団のはずの広告代理店に入ってからも
そんなシーンばかりだった。プレゼンで先輩がクライアントさんに
案のご説明をする。その人らしい、個性あふれる話し方。
昨晩みんなでさんざん盛り上がった案だ。

あれ? クライアントさん、笑ってない。いたって真顔。
どうした、、? こんなに面白いのに、、え?
みるみる先輩のトーンが下がってゆく、、、。
ちょっと待って、、、なんで、、、?

そんなことの繰り返し。社内の打ち合わせでも、スタッフさんとの
会話でも、表面上は伝わっているていではあるが、どうも実際は、
伝わっていないことの方が多い。少なくとも、僕にはそう思えた。

そんな時、めちゃくちゃ間に入りたくなる。通訳してあげたくなる。
頼まれてもいないのに(笑)。 仕方ない。そんな性分なのだ。

思えば自分が職業としているコピーライターも、ある企業や商品の価値を
まだ知らない人に分かってもらったり、その結果買ってもらったり、
好きになってもらったりすることを目的として、言葉を尽くす人。
つまり伝えたいことを伝わるように頑張る人だ。

要はそういう手助けが、好きなんだな。
大学で同時通訳の授業をとっていたのも、きっとそう。

だって、、、、伝わらないの、悲しいじゃない。

せっかくみんなで一生懸命考えた案なのに、、。
伝わったうえで好きじゃない、要らないと言われるのは、まあ、仕方ない。
でも真意が通じ合っていないのは許せない、というか、単純にキモチ悪い。

待てよ。

そう思ってやってきたはずなのに、、、。 
最近のお前、どうした? ベテランと言われる年齢になり、CDとかいう
地位を与えて頂き、なんか、、後ろでふんぞり返ってサボってないか??
ふと思った。

ぶくぶくぶく、、、


そもそもに、立ち返ってみる。


そうだ、「伝わるを、支えたい」。


広告であれ、なにか事業やプロジェクトであれ、
はたまた演劇の様なものであれ、なにか伝えたいメッセージがあって、
それがたいていうまく伝わらなくて、みんなあがいている。

そのために、言葉を尽くす。
自分が前に出て通訳する。あるいは代弁する。

人には自分でも言語化できていない思いがあったりする。
それを引っ張り出して、言葉にして、伝わるようにしよう。
それこそが、やりたかったことなんじゃないかな。
そのために、全身全霊を使おう。

僕は両親のおかげで、体格に恵まれた。そのデカいカラダのおかげで
内部で響くからなのか、「深くていいね」と声も褒めて頂けることが多い。
それだって伝わるを支えるための武器になるんじゃないのか? 

自分にありうる潜在能力を、全部出し切ってみよう。
それが今まで育ててくださった皆さんへの恩返しになると思うし、
まあそもそも、それしかできんしな(笑)。

クリエイティブディレクターとか、肩書に胡坐かいてる場合じゃない。
僕みたいなんはともかくカラダをはらないと。
チームのために、あくせく走り回ろう。もともとヘタクソなんだから。

ぶくぶくぶく、、、
ぷはぁ――――!

そんなわけで、ようやく海面に浮上。

目をこらすと、凪いだ水面がキラキラと光っていて、
僕の右手には「I先輩」の教え通り、一枚の紙が握られていて、
そこにちゃんと、書いてありました。

『、、、と、いうことで、僕のパーパスは、

 カラダを張って「伝わる」を支える。

 にしたいと思います!』

卒業論文代わりにと、再び、そして恐る恐る、K先輩に提出。

しばしの沈黙の後、
彼は勇者ヒン〇ルのようなとびっきりの笑顔で、
にっこりと送り出してくれました、、、、

とさ。

(おわり)

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