どくあおむしの冒険

　どくあおむしはある日突然虚しさに襲われることがあった。訳も分からず泣きたくなることがあった。無理して笑ってる自分に気付いて絶望したことがあった。色んなことをリセットしたくなることがあった。自分が分からなくなることがあった。

　自分が全て悪い。自分さえいなければ。死にたい。消えたい。

　行き着くとこまで行ったどくあおむしの思考。死ぬことばかり考えていた。生きていたくないのに死ぬことも出来ない。疲れた。なんでこんなに苦しいのか。辛いのか。

　その原因を知るために、意を決したどくあおむし探検隊はどくあおむしの心の中へと歩を進めるのであった。

　どくあおむしは心の中を進んだ。かなり深い穴だった。嫌なこと、見たくないこと、知りたくなかったこと。どくあおむしの中からはゴミがいっぱい出てきた。心の中からゴミを出すことによって、どくあおむしはちょっと楽になった。

　どくあおむしは自分の心をやっと見つけた。見つけるまで長い時間を要した。どくあおむしは死ななくてよかったと思った。これからどくあおむしの人生が始まる。好きなことをしていこう。楽しいことをしていこう。どくあおむしの人生はどくあおむしのものだ。