#ファンドリ 第8回セミナー:演出ディレクター 小林哲平氏 × 放送作家 細川拓郎氏
期待の若手テレビディレクター&放送作家が語る「バズるコンテンツ」のヒント
Twitterを活用し、誰でも簡単にファンクラブを開設できるプラットフォーム「Fans’(ファンズ)」が、次世代のエンタテインメント業界のスターを育成するプロジェクト『Fans’ Dream Project(#ファンドリ)』をスタートさせた。
その第1期生たちに、エンタメ業界で活躍するプロフェッショナルを特別講師として招き、様々なテーマで講義を実施。第8回目となる今回は、「日テレアックスオン」でディレクターをつとめる小林哲平さん、放送作家の細川拓朗さんに、「バズるコンテンツ」について話してもらった。
<小林哲平さんプロフィール>
株式会社日テレアックスオン ディレクター。バラエティ番組や大手携帯キャリアの5G動画コンテンツの監督、YouTubeなど多岐にわたって手がける。2018年、日本映像事業連盟優秀新人賞を受賞。
<細川拓朗さんプロフィール>
1993年山形県生まれ。大学時代はお笑いサークルに入り、トリオで活動。学生向けの大会に出場した際、交流が生まれた浅井企画に「作家の手伝いをさせてほしい」と直談判したことで、現在の道に。『ホソカワ・ザ・ムービー』と題されたYouTubeも運営中。
■裏方だってSNSを駆使する時代
小林「日テレアックスオンという会社でバラエティ番組のディレクターをしている小林です。テレビ以外にも様々なYouTubeチャンネルをお手伝いしていて、日々ヒットコンテンツを生み出そうと頑張っております。いままでの講師の方より、フランクに、“ファミレストーク感覚“で聞いていただければなと(笑)」
細川「放送作家の細川です。テレビですと、『お笑いの日』『ザ・ベストワン』だったり、芸人さんが関わる番組が多いですね。またYouTubeは『おるたなチャンネル』の企画であったり、コカ・コーラさんのCMでNiziUが出ていたと思うんですが、それにも携わったり、メディアに合わせて企画しています」
小林「僕らは現場でバリバリやっている人間なので、事例をもとにヒットコンテンツのことをお話できたらなと思います。ちなみに細川くんは裏方にもかかわらずTikTokの投稿で何百万回も再生されてるんですよね?(笑)」
細川「はい(笑)。日常の“あるあるコント“を撮って、それに声を入れています。マックスで270万回再生のもあるんですが、まだ流行る前の過渡期にはじめたのが大きいかもしれません。裏方ではあるんですけど、いまってSNSで影響力を持っていると仕事がやりやすい時代になっていて。『あの人が影響力あるから頼んでみよう』っていう仕事のきっかけも多い。僕はコントが大好きなので、それをアピールするために投稿し続けて、かつバズったことによって、いまお笑い番組を担当できていると思っています」
■セオリーを逆手に取ったことでネットニュースに
小林「なにか得意なことがあるんだったら、ブレずに突き詰めて、オリジナリティとなる何かを“掛け算“することで、良い化学反応が生まれると思います」
細川「あらゆるSNSで発信することに越したことはないですよね。僕らも一般の方のSNSのプロフィール欄を見て、オファーすることが多々あります」
小林「この前、細川くんと『とろサーモン久保田、テレビ局の枠を買う』っていう番組を担当したんですが、それは “お金を出しているスポンサーさんの意向に沿う“という、僕らのセオリーを逆手に取った企画でした。個人が枠を買うんだったら、どんな過激なことしても怒られないじゃん、っていうことで、破天荒な芸人の久保田さんに買ってもらって。千葉テレビというローカル局で、さらには深夜帯だったのですが、各ネットニュースに掲載されて、プレビュー動画が350万回再生と話題を生むことができました」
細川「『当たるかわからない』と不安になるかもしれないですが、新しい企画であればあるほど当たる可能性は高いんですよね。以前『おるたなチャンネル』で“バターまるごと” をテーマにした企画がバズったんですが、いまでは色んな人が動画に上げている。おそらく“〇〇まるごと“は元祖なんじゃないかなと」
■“バズっている人の真似“をするだけでも力はついていく
小林「僕は、就職するまで企画書なんてものを書いたことがなかったので、最初はTwitterのDMで、同世代の放送作家にひたすら連絡して『一緒に企画書を作ってくれませんか?』と助けを求めていました。2年目でようやく選ばれたのが『芸能人と結婚する方法』を紹介する番組。きっかけは、会ってくれた作家さんが『芸能人と結婚したいから放送作家をはじめた』という不順な動機を話していたから。いろいろと焦ったり壁にぶつかったりすることがあると思いますが、いまはSNSがあるので、積極的にアクションしてみてほしいですね」
細川「仲間をつくることも大事ですけど、ひとりで戦っても勝つことはできる時代です。何もない人が、どういった企画を考えるかってなったとき、“バズっている人の真似“をするだけでも力はついていくはず。ただなぞるだけじゃなくて、YouTubeだったらタイトルの付け方、尺、オープニングデザインなど、再生されている理由を分析することが必要。そこに少しのオリジナリティを加えるだけで唯一無二のコンテンツになるはずです」
小林「フワちゃんも、もともと事務所をやめて、ひとりでYouTuberをはじめて、それを指原さんが見つけたことでテレビに出ていった。いつ、誰の目に留まるかはわからないから、皆さんも打席に立ち続けてほしいです。もちろん、情報収集は常に怠らないように」
細川「YouTubeなんかを見ていると、キャンプ、筋トレ動画とジャンルはいつの間にか“スキマ産業“になってきています。ただ何であろうと、最終的にはどれだけ情熱を注いでコンテンツを作り続けられるかが勝負。いつかどこかの現場で今日の講義のことをお話したいですね」
■#ファンドリ参加者からの質問タイム
――アナウンサーを志望している大学生なんですが、TikTokを3〜4年前からやっています。いまはみんな同じようなことをやってバズっているように思えるんですが、そうじゃない方法で、ひとつ上に行く方法ってありますか?
細川「ひとまず『真似されるコンテンツ』をつくることですね。言い換えると、自分がオリジナルになること。アナウンサーだったら、元NHKの登坂淳一さんがCreepy Nutsの曲にある過激な歌詞を淡々と読み上げるという動画がバズっていましたね。特技を活かしたり、バズっている動画を2つ組み合わせた企画をしてみたり、産みの苦しみはありますが、そういった作業の繰り返しになっていくかと思います」
――将来はアーティスト、歌手を目指しています。メインはYouTubeでリトグリのカバーを投稿していて、なかなか反応がありません。どうすればもっと見てもらえるようになるでしょうか?
細川「リトグリファンじゃない層に刺さる企画を考えていきましょう。たとえば、King Gnuファンにも見てもらえるように、『リトグリ大好き女子が白日歌ってみた』といったタイトルを付けると絶対目に付きますよね」
小林「『リトグリ好きなJKが六甲おろしを歌ってみた』なんていうのも、阪神ファンの老若男女から見てもらえる可能性が高くなりますよね(笑)。12月にアップするんだったら『M-1の登場曲にリトグリ風の歌詞を付けてみた』とか、その時その時のトレンドに合わせると面白いと思います」
<#ファンドリとは?>
「Fans' Dream Project(#ファンドリ)」とは、Twitter連動型ファンクラブサービス「Fans'(ファンズ)」で獲得したファン数に応じて、全29社の程プロダクションからのオファーを受けることができる育成型オーディションプロジェクトです。