#ファンドリ 第4回セミナー:株式会社For you代表取締役 野田爽介氏
一貫性のあるブランディングで「影響力」をUP!For you野田爽介が考える“プロデュース“とは
Twitterを活用し、誰でも簡単にファンクラブを開設できるプラットフォーム「Fans’(ファンズ)」が、次世代のエンタテインメント業界のスターを育成するプロジェクト『Fans’ Dream Project(#ファンドリ)』をスタートさせた。
今回その第1期生たちに、エンタメ業界で活躍するプロフェッショナルの特別講師を招き、様々なテーマで講義。第4回となる今回は、広告・制作事業、芸能事業を展開する「株式会社For you」代表取締役で、自身もタレントのマネージャーを務める野田爽介氏に、“芸能事務所が考えるプロデュース“について語ってもらった。
〈野田爽介氏プロフィール〉
大学時代にクリエイタープロダクションとしてFor youを創業。制作プロダクション事業に加え、SNS中心の広告代理事業、芸能事業を設立。SNSを中心とした施策全般の企画立案や、インフルエンサー関連の企画やサービス開発なども手がける。芸能事業では、まつきりな・雪見みと、田久保夏鈴などを担当。
■デジタルでの得意領域を武器に、夢だったエンタメ業界へ進出
まずは、プロフィールからお話しします。幼い頃から芸能・エンタメ業界に興味を持っておりまして、大学生の時にまずクリエイタープロダクションをつくり、その後芸能事務所を立ち上げました。ネットのコンテンツやデータを活かしたデジタル的な戦いが得意領域で、芸能事務所の方では現在、数名をマネージャーとしても担当責任を持っています。
会社の紹介もさせていただきますと、今年で7年目になる会社で、YouTubeやInstagramなどのSNSメディアを主戦場に、Z世代やミレニアル世代と言われるような若年層向けのコンセプトや仕掛けをつくることを得意としています。広告・制作の事業や、企業のアカウント運用などで業績を伸ばし、キャスティングなどの仕事を自分たちでも持ってこられるように力を付けてから、夢だった芸能事務所を立ち上げたという感じです。まだまだ実績もあるわけでもない事務所ですので、人生預かった子を二人三脚でしっかりと責任を持ってマネージメントするため、大規模にタレント採用をするのではなく、マネージャー人数とのバランスを見ながら一人ひとり慎重に採用していく形を取っています。
最近の流れの大枠としては、芸能界に入るための足がかりとして、「個人の影響力を上げることでチャンスを掴む」という動きになってきていると感じます。「Fans’」もそのひとつですよね。そこでまずは「影響力」「インフルエンス力」というものについて一緒に考えていきたいと思います。
■影響力を上げることでチャンスをつかむ!インフルエンス力とは
「インフルエンスする」=「人が人に情報を伝え、影響を与える」という歴史を紐解いてみると、「1:1」のコミュニケーションが始まりです。そこから活版印刷のような技術の発達で共通言語が生まれ「1:大勢」のコミュニケーションが生まれました。その後新聞(文字)や雑誌(写真)、テレビ(映像)などの「1:n」での情報伝達が可能になりましたね。文字、写真、映像は今で言うとそれぞれTwitter、Instagram、YouTubeでしょうか。情報は視聴者側と出演者側に二分されていったため、インターネットが登場する前は、話題を独占できる芸能人が神格化していた時代がありました。
インターネットが登場してからは、SNSや動画サービスが発達して人々の24時間の使われ方が多様化していきました。加えて情報を小まめに取れるようになり、一大ニュースのようなものが作りづらくなっていく中で、芸能人が神格化されていく動きは弱まっていきました。自分自身で情報発信できる人たちはネット上で可視化されたフォロワーという数字を持ち、インフルエンサーと呼ばれ影響力を持つようになりました。ただし、その数にも質の差があり、本当に影響力を持つには、やみくもに発信していても強い興味を持たれることは難しいです。重要なのは「自分に合った一貫性のあるブランディングと必要な露出の設計と実行」だと思います。
例えば私が担当しているまつきりなというタレントの場合は、売り出すにあたり、まず本人に関するキーワードを3つ決めました。「バラエティ」「岡山」「恋愛」という3つのキーワードで情報発信や関連する仕事を狙い、フォロワー数を上げながらブランディングの構築を図りました。
SNSの数字で見ると、Twitterやインスタの合計フォロワー数が10万人程度だったところから、YouTubeやTikTok、中国のWeiboなどの発信も始めて、現在のフォロワー数は計65万人に。仕事の幅も広がり、現在はBSフジにて番組を2つ持たせていただいたり、CMに2、3本出演したりと露出を増やしています。
■好きなこと、得意なことは何?自分の才能を探そう
さきほどの3つのキーワードを考えるにあたり、事務所側・マネージャー側の立場として、芸能界を目指す人にぜひやってもらいたいことを以下のようにまとめてみました。
〈好きなことは何かを知ろう〉
1 好きで得意なことを探そう
2 好きで得意なことはビジネスになりそうか
3 発信しよう
4 好きまたは得意でフォロワーを伸ばそう
5 世の中から需要がありそうか試そう
6 相対的に自分の位置を知って常に改善しよう
7 類似で伸びている人をしっかりと分析しよう
8 需要があるなら得意なことをしっかり磨こう
9 発信あるのみ、人に知られよう
需要と供給のバランスの中でメディアに出るということは、好きなことや得意なことを武器に起用されることが多いと思います。例えば、女優の本田翼さんは「ゲーム好き」という発信をしたことによって新しい一面が見え、ゲームフェスのMCやゲームのCMの仕事などゲーム関連の方面にも仕事の幅を広げました。
まずは“好き“で”得意なこと“を探してください。上には上がいすぎる世界なので、ずっと腕を磨けて伸ばせるようなことだと、なお良いと思います。
そして、好きなことや得意なことを書き出し、テレビやSNSの世界でその領域の仕事があるかを自分なりに調べてみると良いですね。「これはイケる!」となれば、その情報をたくさん発信しましょう。競合のどんな投稿がバズっているかを調べ、自分の立ち位置を相対的に知ることも重要。目標に対して改善を図りながら、世の中の需要がありそうか試し続けていくことが大切です。
その上で事務所側はどう見ているかというと、
1 どんな価値・魅力があるか
2 その価値や魅力は5年後どうなっているか
3 どうやって周りの人を稼がせてくれるのか
この3点をスカウトの人は見ていると思います。プラスアルファが多ければ多いほど、ビジネスも広がるので、よりその人の魅力が増すということになります。
■#ファンドリ参加者からの質問タイム
「SNSのフォロワーが少ないと、芸能事務所には所属できないのでしょうか?」
野田:フォロワー数が多いことはマストではないと思います。ただ、わかりやすいアピールポイントがあった方が良いのは確かです。例えば100万人のフォロワーがいれば、1%の人がチケットを購入したとして、すでに1万人を動かす力があるということ。面談してみようかなと思わせるアピールポイントになりますよね。
「現在、ライバーとして活動しています。ライバーから、テレビに出られるようなタレントとして事務所に所属することは難しいですか?」
野田:そんなことはないと思います。ライバーとして芸能界に入っていくというよりも、喋る技術を磨いて、次のステップにつながる実力を身に付けることで、事務所から声がかかるような魅力的な人になれると思います。どんなプラットフォームであれ、ファンを育んで発信し続けるということは、芸能人になる前進だと思います。
「撮影会モデルをしているのですが、将来的にはバラエティタレントになりたいです。今年で25歳になることもあって、このままで良いのか不安です」
野田:年齢はあまり気にする必要ないと思います。大事なのは、その人にどんな魅力があるかです。バラエティタレントを目指すのであれば、現在の延長線上に夢を掴むチャンスがあるかどうか確かめてみると良いですね。例えば同じような仕事をしていた人の中から、現在バラエティで成功している人のキャリアステップを調べてみましょう。今の自分が夢に近づけているかを確認することで、自信が持てるようになると思います。
<#ファンドリ事務局より>
#ファンドリではプロジェクト参加者を対象にエンタメ業界の表と裏で活躍されている方をお招きしたセミナーを定期的に実施しています。
次回セミナーは【9月16日(木)】に実施予定です。こちらも後日レポートを掲載いたしますので、お楽しみに!
<#ファンドリとは?>
「Fans' Dream Project(#ファンドリ)」とは、Twitter連動型ファンクラブサービス「Fans'(ファンズ)」で獲得したファン数に応じて、全29社の程プロダクションからのオファーを受けることができる育成型オーディションプロジェクトです。