さらさらトン茶
東大の駒場キャンパスの生協食堂に、ご飯とトンカツに冷たい出汁をかけた夏限定のメニューがあったな、と急に思い出しました。
なんか独自の名前があった気がする、と思って調べたら「さらさらトン茶」でした。
「さらさら食べれること」が名前の半分以上を占めているとは思いませんでした。あと大学問わず生協がやってる食堂にあるメニューだそう。
これ、めちゃくちゃ食べてました。名前の通りさらさらも食べれる上に、カツの満足感もあります。徐々に出汁に染みてくる梅干しの酸味も、飽きを感じさせない工夫だと思います。
実際、かなり人気だった記憶があります。
美味しいから?夏場にちょうどいいから?期間限定の特別感?
人気の理由について、当時からずっと確信していたものがあります。
気付きませんか?
お教えしましょう。
「このメニューのために用意されたものが多いから」です。
生協食堂の特徴として、「同じ素材を様々なメニューで使いまわしている」という点があります。
これは必要なことです。そうすることでコストを下げることが出来る。もしかしたら提供スピードも上がっているかもしれません。
僕は生協のこの「使いまわし」がかなり好きでした。創意工夫が感じられて好感が持てます。ご飯の上に乗った唐揚げ(いろんなところにいる)と千切りキャベツ(いろんなところにいる)の上からねぎ塩タレ(いろんなところにいる)がかけられた"生協のキメラ"みたいな丼が確かあって、ギュッと生協を感じられてこれも好きでした。
「さらさらトン茶」を構成しているのは大きく分けて6つ。ご飯・カツ・水菜・大根おろし・梅干し・出汁です。
当たり前ですがご飯は他のメニューでも使われています。カツも、ヒレカツ丼のカツと共通だったかと思います。大根おろしも、おろしがかかった唐揚げがあった気がします。
一方、出汁は確実に「さらさらトン茶」のためのものです。この出汁を流用し出したら、「さらさらトン茶」の独自性を消してしまうことになります。
そして梅干し、これも他で使われていなかったと記憶しています。丼や定食が主なメニューですが、梅干しが入り込む余地はなかったはずです。
そして地味に大きい存在が、水菜です。これ、他の丼や定食だと、この位置には千切りキャベツがいるわけです。そこを敢えて水菜にしている。このことによって、「さらさらトン茶」をグンと「さらさらトン茶」たらしめ、大きな付加価値となっているわけです。これに気付いた生協の担当者の方は相当頭が切れる方だと思います。
ここまで生協の使いまわしに関心がある学生も少ないと思いますが、毎日のように通う生協食堂ですから、自然と「このメニューには使い回されていない要素が多い」=「特別だ!」という式が頭に浮かんでいたのだと思うのです。
君が最大の功労者だ。ありがとう水菜。
なぜ「さらさらトン茶」を思い出したのかというと、先ほどガストで「オ・ソーレ・ミーオ」を頼んだからです。
マジで今日までこのメニューの存在に気付きませんでした。ファミレスも生協ほどではないですが使いまわしによるコスト削減を行っていて、ガストだともちろんチーズインハンバーグから多くのメニューが派生していますし、最近だとから好しの唐揚げにかかっているハニーマスタードソースが他のメニューに出現しています。その中で、ナポリタン単品のメニューがないのにオ・ソーレ・ミーオがあるというのはこれはかなりの特別感があります。なんでこんなすごいメニューに気付かなかったんだ。
「ガストのさらさらトン茶」オ・ソーレ・ミーオ
こう、言えるでしょう。