公的年金制度がやたらと複雑になっている理由
日本年金機構のHPによると、
20歳から60歳までの間、
欠かさず保険料を納めた人が
令和5年度に受け取れる国民年金(満額)は
月額6万6250円(67歳以下の場合)です。
(68歳以上は月額6万6050円)
厚生年金に加入していた方の場合は、
令和5年度の夫婦2人分の
標準的な厚生年金額(満額)が
月額22万4482円となっています。
※納付した年金保険料によって、
実際の受取額は異なります。
かつては物価や賃金が上昇した場合、
年金支給額も増えることになっていました。
しかし少子高齢化社会の進行により、
社会保障費は年々、増加の一途をたどっています。
国は、「このままでは現役の負担が増えるばかり」
と判断し、2005年に導入したのが
マクロ経済スライドでした。
マクロ経済スライドとは、簡単にいうと
年金支給額の伸びを抑える仕組みのことです。
ところが、この制度は賃金や物価が下落すると、
発動しないようになっていました。
マクロ経済スライドがほとんど機能しなかったため、
政府は2021年4月より新制度を導入しました。
年金の改定率を、物価よりも
賃金との連動性を強めることで、
現役世代に過度な負担が行かないようにしたのです。
しかし、年金額決定の基準として
「賃金」と「物価」という二つの軸ができてしまったために
令和5年度は、67歳以下の人と、68歳以上の人の
支給額が異なる事態になってしまいました。
世界的なインフレの影響により、日本でも
令和4年からインフレが本格化し、賃金も上昇。
これによって、令和5年度はマクロ経済スライドが
発動しましたが、さらに令和3年と4年に
繰り越したマクロ経済スライドの調整率も加わり、
結局、年金支給額が上昇した令和5年度も、
実質目減りとなっています。
ご覧のように、年金制度は複雑過ぎて、
「わかりにくい」の一言ですよね。
どうしてこんなに複雑になっているのかというと、
国は「何とかして少しでも給付額を減らしたい」
からです。
年金制度を崩壊させないためにも、
国は、給付額を抑制しつつ、
国民には少しでも長く働いてもらい、
社会保険料を納めてもらいたいのが本音なのです。
【参考文献】
日本年金機構HP、THE SANKEI NEWS:2023年1月20日、他
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FANGS Group【ファングスグループ】
HP:https://www.fangs-g.com
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