蜘蛛はかわいい①
蜘蛛はかわいい。
まず足だ。あの四対八本の足は昆虫から仲間外れにされた証でもある。
あれをわさわさと動かす姿の愛らしさったらない。
そしてたまにぴょんっと跳ねると一瞬で僕たちの視界から消える。
彼らは、忍としての後継者たる能力も身に着けているのである。
次に綺麗好きなところだ。
彼らは獲物を食べる時は消化液で溶かしてから液状にして啜って食べるし、またその消化液を以て自らの身体を手入れしている。
僕らが部屋で見かけることがあっても、彼らはちゃんと身ぎれいにしてから上がっているのである。
なんといじましい姿であろうか。蜘蛛という生き物は、敷居を跨がせるに値する生き物であると言えるだろう。
ここで、僕の中では永久出禁ともいえる存在、ゴキブリの話をあえて比較対象としてしよう。
何も、見た目が嫌いだとかそういう理由で僕は嫌っているのではない。
奴らの生存環境は基本的に不潔である。そして、体表に油をまとっているから、汚れを吸着しながら生きている。そのまま部屋に無断であがってくるのだ。
例えばであるが、貴方は「道頓堀にダイブして泳いでたらきたくなっちゃったからきちゃった☆」だとか「トイレで水浴びしてから来たよ!まあ特に石鹸とか使ってないから全身油でギトギトだけど!」とかほざく友達を家にあげたりするだろうか?いや、しないであろう。
ちなみに、僕の家の衛生環境が下水や道頓堀の水質と同レベルであったとしてもこれはこれ、それはそれである。
なぜ、ゴキブリの話をしたかというと、蜘蛛はゴキブリを餌としている生き物であるからである。
つまり、蜘蛛は可愛いだけではなく、生まれながらにして人間の同盟者である、ということだ。(ゴキブリと共生することを良き事とする人間を除く)
可愛くて害虫も駆除してくれるアイドル、蜘蛛ちゃんを見かけたら、今まで見つけ次第殺してしまっていた貴君等も、是非、その前に一考いただきたい。
「蜘蛛を部屋で放し飼いしてるんだ」
こう言えば、パートナーやご家族、親類縁者に至るまで評価爆上がり待ったなし。
そんな正真正銘のステータスとなる未来も、そう遠くではないはずだ。
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