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EELS はじめまして!
EELSとは
「Electron Energy Loss Spectroscopy」,
「電子エネルギー損失分光法」
の略です。
電子が測定試料との相互作用によって失ったエネルギーを測定する分光法です。
つまり、上から落ちてきたe-君が試料の中を通って下から出てくるまでに、何eVのエネルギーが奪われたかな?を調べています。
EELSで着目する「電子と測定試料との相互作用」は主に電子励起過程です。
まず、高速電子が測定試料に入射します。すると、
・高速電子からあるエネルギーを得て試料内原子が励起され、
・高速電子は同じだけのエネルギーを失う
という現象が起こります。
その後、試料を透過し(エネルギーを失っ)た電子をエネルギー分光器に取り込みます。
この分光器はプリズムと同じ原理で、エネルギーによって電子を分け、EELSスペクトルを与えます。
EELSスペクトルは、大きく3つのエネルギー領域に分けられます。
Zero Loss Peak (ZLP)
Low Loss spectrum (価電子励起スペクトル)
Core Loss Spectrum (内殻励起スペクトル)
です。
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Zero Loss Peak (ZLP)
試料透過した際に全くエネルギーを損失しなかった大多数の電子による損失エネルギー0 eVの顕著なピークです。
装置の不安定性に由来するエネルギーシフト(スペクトルのずれ)を補正したり、
試料厚さを見積もったり、
エネルギー分解能を評価したりするのに使います。Low Loss Spectrum (価電子励起スペクトル)
0~50 eV程度のエネルギー領域に出るスペクトルのことです。
価電子帯の電子励起に由来します。
したがって、バンドギャップやプラズモンのエネルギーなどを調べられます。Core Loss Spectrum (内殻励起スペクトル)
50 eV以上のエネルギー領域に現れるスペクトルのことです。
内殻電子が伝導帯へ励起されるときのエネルギー吸収に由来します。
各元素種はそれぞれ異なる固有の励起エネルギーを有するため、元素分析が可能です。
また、吸収端近傍の微細構造(ELNES)には励起終状態の部分状態密度(pDOS)が反映され、電子状態が分かります。
EELSの概要はだいたいこんな感じです。
しかし、詳しく語ろうとすると、ひじょーーーーに奥が深いです。
透過型電子顕微鏡と組み合わせると、より複雑で興味深いです。
最初は概観と必要な部分だけを、その後に深堀と他の部分を、
少しずつ知って、仲良くしてください!
継続して投稿できるように応援してください!笑
今後もどうぞよろしくお願いします~