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「はつ恋」を読んだ

ついさっき読んだのでその感想を。思いっきりネタバレするので、その点は注意を。

著者はイワン・ツルゲーネフ。聞いたことはなかったが、モスクワ大学に15歳で入学した天才で、ロシアを代表する文豪の一人(Wikipediaより)らしい。ロシア文学というものをこれまで一度も読んでこなかったので、これが初めてのロシア文学作品だった。

ロシア文学と言うと、罪と罰に始まり、カラマーゾフの兄弟やオネーギンなどが挙がると思う。僕のイメージは、読み応えありそうだけどとっつきにくくて難解そう。

そんなわけで敬遠していたロシア文学だったが、ふと読んでみたくなり短中編小説を探していたところこの本を見つけた。

好きなところ

この小説の一番の魅力は、読ませる力にあったような気がする。あと、主人公である16歳の少年(40代になった主人公が過去を回想する形で物語が始まる)がなかなかに可愛くて読んでいて面白かった。

そして、それよりもお気に入りなのはヒロイン?である公爵令嬢ジナイーダ。まさにドSな年上お姉さんという感じ。個人的には、年上というよりかは、主人公と同年代くらいの雰囲気を感じたけど。

かなりキツイことも言うし、主人公への扱いもひどいけど、嫌いになれないし、なんならちょっと好きになってしまう魅力があった。まあこれは普段強気な子が、時折見せる弱さだったり隙を見せることでギャップ萌えするのと同じだと思う。実際ちょっと好きになったのは、終盤で弱気になったところだし。主人公は全然そんなことなくて、一目惚れだったけど。大丈夫か主人公。

純朴な少年のひと夏の記憶って感じで、かなり好みのテイストだった。なにより文章が美しくて、読んでいて楽しいし、ストーリーも先へ先へと読みたくなるようなものでよかった。

あと、翻訳文学というものはほとんど読まないので(というか日本文学ですらあまり読まないが)、考えたこともなかったけど海外文学ですごいのは訳者ではないかとふと思った。

翻訳というと、村上春樹が実は翻訳家だというのを最近知ったし、ノルウェイの森や海辺のカフカ、1Q84あたりを読もうと思ってまだ読んでないことを思い出した。

意外と予想通りの結末

ジナイーダの好きな人が、主人公の父親だったのはちょっとわかりやすすぎるんじゃないかとも思う。そりゃここで今まで出てこなかったやつが出てきて、実はこの男性に恋焦がれてましたと言われても冷めるけれど。
とはいえ、ジナイーダの性格を鑑みるに、ありえなさそうだが、主人公以外の崇拝者のことが好きだったら意外性はあったかもしれない。

ロシア文学面白いかも

比喩表現は格別に上手いし、丁寧な心情描写は主人公に感情移入するのに十分だった。最後、ジナイーダと別れたところで物語が終わらずに数年後ジナイーダが亡くなったことまでさらっと話されたことで、主人公が回想してたと思い出した。それくらい作品に没入してた気がする。

イメージから読んでなかったロシア文学だけど、結構いいかもと思わせてくれた小説だった。文化面ではかなり親日との噂があるロシアだが、僕も文化面では親露だと思う。特に音楽と絵画では。
おすすめは、ベタだけどチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番第一楽章とか、白鳥の湖。絵画だと、アイヴァゾフスキーとかクラムスコイ。忘れえぬ女とかは、誰が見ても感動する。
1、2年の間にロシアに行くのが今の、人生でやりたいことナンバーワン。トレチャコフ美術館、エカテリーナ宮殿なんかに行きたいものです。

青空文庫↓

縦書きでも読めるので、本は紙で読むタイプの人は青空 in Browsersで読むことをおすすめする。

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