VRChat初心者、興味がある方のための始めかたNote
VRChatは、VRC上級者が思っているより遥かに初心者に優しくない
これは、最初にVRChatに触れようとして、色々調べたり、実際にVRChatを始めてみた自分が感じた素直な実情です。
VRChatで遊び慣れている人と、最近始めたような初心者さんの間の認識には致命的かつ大きな認識の隔たりがあると思います。
なんでこんな強気な言を宣うのかといえば、それこそが、ついこの間まで初心者だった自分が初心者やVRChatに興味を持って調べている人のためにこれを書くべきだと決意した理由であると同時に、このnoteが今もっとも初心者がVRCを楽しめるようになる情報を記載しているという確信の根拠だからです。
まずVRChatって何をして何が楽しい場所なのさ?
VRChatには、この世界の''てにをは''を教えてくれる心優しき案内人が数多くいますが、経験者が最初に答えるべき疑問がこれであると気づいている人の割合は決して多くないでしょう。
彼等は意地の悪さからその答えを隠すのではありません。
「何をする場所なのか」という本題の答えにも繋がりますので、少しだけ副題にお付き合いください。
そもそも、VRChatは『メタバースと呼ばれる仮想空間を舞台にしたバーチャル・リアリティプラットフォームである』らしいです。
中身はどうでも良いのですが、感じてほしいのは説明のために並ぶ文字の耳馴染みのなさとSFっぽさであり、エンジニアと呼ばれる業種との親和性のイメージです。
事実として、VRChatの興りと発展は有志のエンジニア達の尽力無しでは成しえず、6年以上VRCにいるという方と何人かお話しましたが、彼等の話でも、エンジニアリングは常にVRChat文化の中心にありました。
エンジニアは、ナニカを(出来るように)するためのモノや仕組みを、自分たちで作り出すことを生業とする者たちです。
だからこそ 「何をするの?」と問われても「色々できるよ?だからやりたいことを考えて自分でそれを実現するのさ!」が彼等の答えであり(事実彼等はそうしてVRCの世界を拡げてきた)
初心者向けの解説ではシステムの設定と説明がまず何より全てに先立ち(JPTも既存の初心者向け情報のもかなり多くがまずこれの説明からですよね。JPTはそういう役割の場所だから必要だとは思いますが)
二の句となる「JPTに行こう」「初心者イベントに行こう」以上のガイドラインはあまり語られないというのが、現状で数多い初心者向けの各種説明の実態です。
基本的なシステムと操作に加えて、あとは困った時の参照先だけ提示して「ここから先は人によってやりたいこと違うから都度自分で調べなよ」というこのスタンスは
新しいソフトウェアを触ろうとしてるエンジニア相手なら最適な情報群だけど、新しい''コンテンツ''に手を出そうとしている一般の初心者にはかなり風圧高めですよ!!!!!!!
それじゃ無理だから!!!!!
と、自分は感じています。
VRChatの風土にはVRC特有の文化が自然のものとして一部定着しており、
長くそこに染まっている人ほどその異質さに対して鈍くなっていきます。
類は友を呼ぶ、同気相求む。
今までは界隈の露出の少なさから自然とその風土に対する順応性が高い人達が芋づる式に新規参入していたVRCも、露出の機会が増えるとともに、これまでにはなかった機会と方向性からの、言わば「違う畑」からの新規参入が急増しました。
自分はそれこそが、既に遊び慣れている経験者と、最近始めた初心者の間に存在する「認識の隔たり」の大きな原因の一つだと推測しています。この記事はアンチテーゼでもあります。
12/18 補遺・追記
たくさんの反応を頂く中で、当該部分について様々なお声を頂きました。
ターゲットが本記事主旨の初心者に向けたものではなくなってしまうので別ページにはなりますが、『VRCの気質とその外側にいる人たち』について、以下で補足しようと思います。
特に批判的な目線に立っている方にこそ一読頂きたいと思っています
https://note.com/fancy_liger9692/n/ne33ed91f0ffa
"僕らはそれの使い方よりも、それが僕らをどう笑顔にしてくれるかを知りたいんだ"
スタンミさんの配信がVRChatの人口を大きく増加させた一因は間違いなくここにあり、彼こそがほぼ初めて「VRChatで普通に遊ぶとはどういうことで、それの何が面白いのか」を体現してみせたのです。
私も彼に倣い、違う畑からここに馴染んだ一人として
皆さんに興味を持っていただくために、VRChatの他にない特筆的な面白さを2つご紹介しようと思います。
初心者のためのチュートリアルは後ほどご紹介しますので、なんとなく知ってる方はここ飛ばしちゃってください。
①手軽すぎる非日常の原体験
VRChatは仮想空間を舞台にしているので、有志によって作られた数多くの仮想空間(これをワールドと呼びます)が数十秒で貴方を非日常へと誘います。
多様なギミックと遊び心を満載にしたゲームワールドで、一人で、時にはフレンドと遊んでも良いですし
日常では簡単に見ることの叶わない幻想的な風景や美しい景観、あるいは未来や過去の世界の姿を描いたワールドに赴いて、それを写真に収めたり、ただそこに佇んで心を休めても良いでしょう。
驚きと恐怖に満ちたホラーワールドはまさに非日常の宝庫と言えますし、飲み屋街を模したワールドで、遠く離れている人とお酒を飲み交わす「ちょっとした非日常」を味わうのも楽しいかも。
自宅と、会社と学校と、そこを往復する最短ルートに電車と愛車。同じクラスメイトに同じワークメンバー。
今日もいつもと同じ席につき、 いつもと同じ生活をする。
毎日ほとんど変わらない景色を左から右へ流しては、帰り道にたまに見かける野良猫程度の非日常ですら頬が緩む。
いつも同じ娯楽に手を伸ばし、それすらなんとなく食傷気味で、何かをやり残した感覚で夜を無駄に過ごしては、次の日の朝に絶望する。
そんな人がもしいたら、VRChatはとてもおすすめです。
私の知り合いはろくにフレンドを作らず一人で綺麗な景色のワールドで写真を撮ったり本を読むだけで3年半遊べたと言ってました。
VRChat内で仮想デスクトップを開けるんですよね、森の木漏れ日の中や薪の弾ける暖炉の隣で、安楽椅子に寛ぎながら本を読んだっていい。
あるいは旅行や、友人と遊びに行くのが好きな人にもおすすめです。
それも、結局は非日常を楽しめる才能ですから、VRChatを楽しむ素質に他なりません。
②アバター文化とメタバースが生む、温かすぎて独特な交友の輪
アバターという、自分の仮想空間内での身代わりを操作して動かすという点と、VRゴーグルとモーショントラッキングによって現実と同じ視野角で実際に手足を動かしてVRChatを楽しんでいる人が多い点から
VRChatの中では、本人性が保持されつつもリアルの姿形との自己同一性が希薄になりがちです。
そしてそれは、性別レベルでのアイデンティティをすらも洗浄し
かわいい女の子のアバターから平然と成人男性の声が出るし(これに違和感を覚えないって本来異常ですからね)
女声と男声の両方の声を使って時と場合によって性自認が女性になったり男性になったりする人もいます。メス堕ちする男性もよく居ます。
アバターがある関係上、容姿や身体的美醜という、人間が人間を評価付けて判断するための最初の基準がアテにならないので、自然と相手の内面的な性質への理解と共鳴を重視しますし、その多様性が大いに尊重されています。
人と仲良くなったときに、内面的な部分が共鳴したと断定できるのがVRChatでの人間関係にリアルにはない安心感や信頼感を覚える人が多い理由でしょうか。
''お砂糖''文化(VRC内での恋愛関係に近い)などはまさに、不要な印象材料の度外視と多様性の尊重からなるVRChatの人間関係固有のものであり、ほかでは見られないものでしょう。
スタンミさんの、お砂糖文化を知る動画切り抜きでは、男性同士のお砂糖や、お砂糖からリアルでの結婚に発展した人が登場しますし
エンジンかずみさんのインタビュー動画では、アメリカ人とお砂糖した方や、3人でお砂糖関係になっている方達が出演しています。
それからVRゴーグルは最低価格帯が5万以上とけっこー高ぇので、年齢層が比較的高く(場所にもよる)無法地帯と治安を安定させるところの棲み分けをできる知能を持っている人が多いというのもあると思います。
さて、始めようか迷っていて調べていたらここにたどり着けたような方の少しは、VRCに対するモチベーションを高めてくれたでしょうか。
それでは、実際にVRCの世界に潜ったら、どうしたら「VRCでの日常を楽しむ」段階に行けるのか、現状で最も芯を喰ったつもりのチュートリアルをお届けします。
興が乗って実際に始めてみた方向けのチュートリアル
記事の方針上、VRChatの文化並びに他人との交流を楽しむ糸口になるための解説をします。
なのでEscapeキーを押すことで開くLaunch Padの使い方やログインとアカウント作成周りのものはここでは省きますが、SteamアカウントでログインせずVRChatのアカウントを新規作成してそれでログインするのだけはお間違いないようにお気をつけください。
それ以外は触っているうちに自然とわかるし、他の方の解説もあるし、なにか操作を誤っても他人に迷惑をかけたり凄く面倒くさいことになる可能性は少ないので、気負わず行きましょう。
①JPT(ジャパンチュートリアルワールドに行く)
まずはJPTワールドに行って必要な初期設定や機能の確認をしてください。
JPTに入れさえすれば後はワールド内の説明の指示に従えばいいので、ここでは下記の注意点を把握してください。
注意1:初心者案内人は最近はあまり居ない
というよりは、人口の急激な増加に手が回っていない、とかが正解な気がします。
タイミングと運が良ければそういう有志の方に出会えるかもしれませんが、正直あまり期待しない方が良いです。
その代わり高確率でVRCの住民に助けてもらえる方法を後述します。
VRChatの始め方や初心者向けの解説などをしているYouTube動画や記事、サイトが少ないのは
「そもそも知り合いに誘われた等で始める人が多いマイナーな界隈だった」
「初心者案内文化によってそんなものが必要無かった」
などが理由と思われ、故に既存の解説で「JPTに行こう」以上の説明があまりされないのは、そこまで伝えれば後はどうとでもなっていた側面があるのだと思います(あとエンジニアは分からないことがあったらとりあえず自分で調べてみる癖がついています。検索エンジンを活用するのも慣れています)
この現状は、VRCに十分に馴染んで、もうほとんどJPTなんか行かないよっていう人ほど知らないと思います。
初心者と経験者の、認識の隔たりポイント①です。
注意点2:JPTでアバターを変えない方が良い
JPTの各種説明コーナーの中にはアバターに関するコーナーがあり、そこではいくつかの種類のサンプルアバターが展示されています。
しかしアバターを変更するなら、アバターミュージアムというアバター展示専用のワールドが存在しますので、そちらの方が遥かに多数のサンプルから使うアバターを選べます。
選択肢の少ないJPTでサンプルアバターを変えるよりは、初心者の可能性が極めて高いことが伝わる初期アバターを保持する事が、前述した「高確率でVRCの住民に助けてもらえる方法」に繋がってくるので、チュートリアル的には変えない事をオススメします。変えたかったら変えても大丈夫です。
②FUJIYAMAに行く
FUJIYAMAという日本語話者向け集会所があります。日本語話者であることを確かめるクイズに答えたあとに現れる扉に潜ることで集会所に移動できますが転移先の真後ろにタグを付与できるシステムがあるので、まず後ろを振り向いてください。
知らないと気付けません。マジで。
これは自分が付けたいタグを選ぶことで、自分のネームタグの上に該当のタグが表示される仕組みです。ここに「初心者」というタグと「話しかけられたい」というタグがあると思うので、最低その2つと、あとは自分がつけたいタグを選択してください。
FUJIYAMAで、初期のロボットアバターで、「初心者」と「話しかけられたい」のタグをつけて歩き回っている人がいたら、相当運が悪くない限り誰かしら声を掛けます。
このnoteを見ていて多少の親切心があるVRC民の相当数が「確かにそれは話しかけるわ…………」って今なってると思います。親切な人が食いつく釣り針としてデカすぎる。
そしたら「何も分からないから下手にいじったり自分で頑張ったりするより誰かに助けてもらった方が良いと思って〜」ってぶっちゃければ良いんです。
おそらくその人はあなたの為に色々と説明した後に、アバターミュージアムのポータルを開いて「一緒にアバター探しに行きますか?」って言ってくれます(多分)
そのくらいの性善説が成立するくらいには優しい場所です、VRChatは。
※認識の隔たりポイント②
初心者向けの解説で、FUJIYAMAに行けば人と交流出来るよ!と何の気なしにオススメしてる人が結構数います。FUJIYAMAのような集会所パブリックは他人と会話したい人が行く場所であるという共通認識があるのですが、初心者だとそんな共通認識への肌感も無いでしょうから、実際に行ってみると「既にグループが成立してて、話も進んでて全く輪に入れない……」と、結構面食らうと思います。
実のところ、その輪の中に「こんにちは〜!!そのアバター可愛いですね〜! 何の話してたんですか?」って入りに行って良い場所なのですが、誰もが最初からそれが出来たら苦労しないですよね。(一生できないよそんな事……って人もいると思います)
安心してください、そういう人でも楽しく交流出来る手段がちゃんとあります。
もし誰も助けてくれなかった場合は以下を参照してください。
方法①
FUJIYAMAの中にはイベントカレンダーというものがあります。集会所に転送されたらガラス扉とか全部無視して真っ直ぐ突っこんでください。
目の前に現れる壁にイベントカレンダーが掲示されてます。
イベントカレンダーで初心者向けイベントにだけチェックを付ければ、初心者向け(初心者歓迎)のイベントが表示されると思うので、そこから気になるイベントを見つけましょう。
自分のお眼鏡に適ったイベントがあったら、それを選んで詳細を確認することで、そのイベントへの参加方法などが書かれていると思います。
※認識の隔たりポイント③
おそらく大多数のイベントが主催者にフレンド申請を送る事で参加出来る仕組みになっていると思います。
これも別ゲーや別SNSから来ると結構面食らうポイントです。
これはフレンド限定にすることで、事前にヤバそうな人を弾ける+荒らしなどがイベントに参加する確率を下げるための予防措置です。
臆せず送りましょう、大丈夫です。安心してください。
そもそもVRCのフレンドって他のゲームなどに比べて遥かに軽率に送り合う(Twitterの公開垢の相互フォロー並に軽い、人によってはそれより軽い)のですが、その辺の空気感もやがて自分で確認できると思います。
自分が行った初心者向け交流イベントでは、「とりあえず参加者同士で無作為にフレンド送りあってくださいね〜」と、半ば強制のような空気感でフレンドの交換が推奨されていました。どれだけVRCのフレンド申請が軽めのニュアンスだったとしても、それは些か価値観の押し付けであろうと思います。
イベント参加が怖い人やFUJIYAMAで自分から交流する勇気がなかった人は
方法②
NAGiSAというワールドに行ってください。
ここ1年くらいで出来たワールドなので紹介している人が少ないですが、現状自分はここが最も初心者におすすめなワールドであると断言出来ます。
NAGiSAは、同じサーバーにいる人と5分間ずつランダムで1:1で会話するという仕組みのワールドです。
ノリや雰囲気が合わないな、苦手だな、と思っても5分でバイバイできますし、1対1なのでFUJIYAMAのように、既に出来てる会話に割って入る必要もありません。会話の始まりはシステムによってよーいドンされるので、出鼻で沈黙が生まれて気まずくなるパターンもほぼ無いです(ちゃんと一言目に挨拶さえすれば)
NAGiSAにいるのはあなたと同じようにパブリックよりもNAGiSAで人と話す方が馴染む人や、赤の他人と話すのが楽しくて好んでNAGiSAに篭ってる人ですので、あなたが初心者である事を察知したら色々と助けて貰えます。
同じような初心者さんに出会ったら、初心者同士で「なんもわかんないね〜〜」って言いながら仲良くなってください。それはそれで楽しいですよ。
現実から逃げてきただけで誰とも交流する気力もないです…という方は
方法③
ウシヲポートというワールドに行きましょう。
ここは、アバターミュージアムのワールド版のようなもので、ここから他の様々なワールドに移動する事ができます。VRChat界の東京駅みたいなとこです。
ここで、自分が気になった景色が綺麗なワールドや、1人で遊べるゲームワールドなどを見つけて暮らすのが良いと思います。
もしここまで読んでもどうしようもなかったら、
自分に連絡をください。友達になりましょう。
皆さんがVRCで新しい居場所を見つけて、幸福なVRCライフを送れるようにお祈りしております。