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会社員生活12年。わたし、会社員辞めます

いきなりですが、私は「2024年末で会社員を辞める」と決めました。
会社員(とくに正社員)は毎月のお給料が約束され、ボーナスもあり、福利厚生も整っています。仕事に困ることもありません。社会的な信用も高いし、税金や社会保険なども会社がほぼ代わりにやってくれるし、当たり前ですが、仕事に必要なモノは会社が用意してくれます。

調べれば調べるほど、正社員は最強だと思います。
なのに、どうして辞めたいのか。
自分でもうまく言葉になるかわからないのですが、つづってみます。


「編集者」としてのこれまでのキャリア

私はこれまで、キャリアの大半を「編集者/エディター」として過ごしてきました。20代は新卒で入った出版社で女性誌の「編集者」として、30代を迎えてから現在までは、IT企業でBtoBコンテンツの「エディター」として。

やること自体はそれほど変わっていません。コンテンツの中身を設計して、取材し、雑誌の発売日や記事の公開に向けてあれやこれやと奔走します。同時に何本か抱えているので、締切に向かって常に動き続けなければならないのは、編集者の宿命だと思っています(書籍はちょっと違うかもですが)。

自由度は比較的高い仕事です。例えば店舗窓口の接客業務のように、「シフト制で、何時から何時までここにいなければならない」という縛りはほとんどありません。

定例のMTGや会議はあるものの、やるべきことをやっていれば、働き方についてはそれほどとやかく言われません。とはいえ、「締切」が必ずついて回る仕事なので、自分でスケジュールを管理し、自律的に動けない人にとっては結構しんどいかもしれません。

とくに、2022年にIT企業に転職してからはもう激動の日々で、作っては公開を繰り返し、合間にいろんなMTGや商談が詰め込まれ、いろんなプロジェクトにアサインされ、時間の流れがガラッと変わりました。ありがたいことに収入は増えましたが、成果を出し続けないといけないプレッシャーは常にあります。

思うところあって出版社を辞めたわけで、「転職しないほうがよかった」と思ったことはないのですが、今思えば、出版社時代はどこか牧歌的だったと思います。

通勤の往復に2時間以上。あと何年続けられる?

今は週のうち2日在宅、3日出社という会社のルールに則って働いているのですが、これがとにかくしんどい(楽しいと思っている人のほうが少ないと思いますが)。

自宅から都内中心部にあるオフィスまでは、ドアtoドアで1時間強。往復で2時間以上費やしていることになります。座れはしないものの、「行き」はまだいいです。人が少ないうちに乗車するので、吊り革をつかめる位置まで入りこめます。

つらいのは「帰り」。乗降者の多いターミナル駅かつ18時前後のラッシュの時間に乗るので、基本的にぎゅうっぎゅうです。もう競技のように自分の体をいいポジションにつけるようにやりくりし、知らない人と密着して何十分も過ごすこの時間を、あと何回繰り返せばいいのだろう、と思ってしまうのです。

出版社時代はありがたいことに、自転車中心の通勤生活をしていたので、それほど「通勤がしんどい」と思ったことはありませんでした。

私は東北のど田舎出身ですが、ずっと関東近郊で生活してきた人にとっては通勤に1時間ちょっとなんて、当たり前のことかもしれません。ほぼ乗り換えがなく目的の駅まで行けるし、自宅から最寄り駅までは歩いて12分ほど。決してひどい環境ではないと思います。

でも、この通勤電車に乗り続ける生活をあと30年できるかといったら、できない。帰りの車内、いつもそんなことを考えながら乗っています。「この2時間があれば、もっといろんなことができるのに」と考えてしまう自分をやり込める術がないのです。

娘を明るいうちに迎えに行き、手を繋いで帰りたい

働くのは好きで、これからもずっと何らかの形で仕事は続けていきたいと思っています。今よりも収入が下がってもいい、とは思っていません。むしろ「今よりももっと稼いでやる」と青い炎を静かに燃やしています。

でも、私は自分の人生の「主人公」である一方で、娘の人生の重要な「登場人物」でもあります。娘がいつか家を巣立つその日まで、できる限り充実した時間を過ごしたいと思っているのに、日々の忙しさに絡め取られ、それがなかなかできていません。

娘が通うこども園は、18時半が最終退園時刻。幼稚園が母体なので、そもそも大半の子はお昼過ぎには帰宅します。

先日、自分がお迎え担当の日に、取材が長引いて、到着が18時半ギリギリになってしまったことがありました。自転車を爆走して園に着くと、出迎えの場所で先生と娘が立って待っています。とっくに日が暮れて真っ暗ななか、ポツンと立っている娘を見て、「ああ、これが本当に自分が望んでいる働き方なのだろうか」と。

娘をまだ夕日が沈む前に迎えに行き、今日園で起きたことを聞きながら、手を繋いで帰りたい。娘が望めば、道中の公園にも立ち寄って。いつもは「もう暗いから、早くお風呂に入んなきゃ」と通り過ぎてきた公園。

私は今のところ第二子の予定はなく、おそらくこれが最後の子育てになります。娘は今4歳。18歳で家を出るとしてあと14年ありますが、母親の後ろをくっついて、「ママ、ママ」と寄ってきてくれる期間はきっとそんなに長くないでしょう。あとほんの数年かもしれない。

私の親は共働きで忙しかったですが、祖父母と同居していたし、兄と弟もいました。だから学校から帰ってきても、寂しさを感じたことはなかった。でも、娘の場合はどうだろう。娘が帰ってきたときに、毎日ではなくても「おかえり」と言ってあげる環境を整えたい。小学生に上がるまで、あと3年もない。

娘の手が離れたとき、「もっとこんなことをすればよかった、してあげたかった」と後悔だけはしたくない。

一生フリーランス、と決めたわけじゃない

来年からはフリーランスにキャリアチェンジするわけですが、「会社員もう嫌!フリーランス一択!」とは思っていません。

1社目も今の会社も、同僚に恵まれ、「この人たちになら何を話しても大丈夫」という心理的安全性のなかで働けているのは、決して当たり前ではないと思います。

フリーランスのうち、独立して1年以内に廃業を選ぶ割合は30%にも上ると言われます。私は「成功」と呼べる段階まで、諦めずにトライし続けようと思っていますが、それでもどうにもならないなと思ったときには、迷わず就職活動を選びます。娘を育て上げる責任があるからです。

フリーランスとして活動するなかで、心底共感できるビジョンやサービスを持った会社に出会うかもしれないし、「会社員じゃないと見られない景色がある」と考え方が変わることもあるかもしれない。

甘い考えだと思われるかもしれないけれど、今の自分にはこの考え方がフィットする。

2024年が終わるまで、残りはあと3カ月弱。できる限りの準備はして、でも余白も少しは持たせつつ、残りの会社員生活を駆け抜けていきます。



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