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クイズの作問って凄い!① 東兄弟のクイズ大会 まるで新明解国語辞典!と思った話

QuizKnockサブチャンネルで、東兄弟が仲間とクイズ大会を主催したよ、という紹介動画があった。

動画内で、問題集販売しているので、興味ある方は是非ご覧ください、とのことだったので買ってみた。

これは、動画内での下記のやり取りが気になったためだ。
伊沢さん「なぞなぞは全然出たし、クイズかわかんない問題も出てた」
東言さん「問いと答えがあれば全部クイズですよ」


普通はそろえる問題文のトーン等について、あえてそのままにして
伊沢さん「問題食った瞬間に誰(が作った問題な)のかわかる」
とまで言っているので、そこまで個性的なら素人でも差がわかるもんなのかな、と。
結果、クイズの問題文には個性が出るということが、はっきりと理解できた。初手であまりにもわかりやすいものに触れることができたことで、その後、問題文そのものに興味を持つようになった、まさにきっかけの話。



購入した問題集を見て、一切の論理的な説明抜きで、第一感こう思った。
何という新明解!(新明解国語辞典。私はこう呼ぶ)

なんでそんなこと思ったんだろう。
新明解国語辞典=説明文が独特で、熱量がある の代名詞として私の頭の中にあったんだろうな。
国語辞典の中で一番売れていて、非常にファンの多い、そしてほぼ読み物として楽しめるとまで言われている。
有名なのは、恋愛、凡人、はまぐり、などの説明文(特に恋愛は古い版のものが強烈に有名)。ご興味あればぜひ上記の語と『新明解』というワードで検索していただきたい。
ちなみに、私は国語辞典編纂者の飯間浩明先生のファンで『三省堂国語辞典』派だけど。

クイズの構造は、辞書と似ているんだな、と気が付いた。
QuizKnockや他のYouTuberさんのチャンネルでも、説明から見出し語を当てるクイズをそういえばやっていた。
彼らの問題群を見て、新明解だわ、辞書だわー、と思ったところを挙げてみる。

①普段の生活で出会った事柄に対して、主観を交えてるまさに生き生きとした説明(問題)文

新明解国語辞典の編集部長の対談記事内に、こんな記載があった。

ある意味、国語辞典には、客観的で無味乾燥な事実の羅列のみではなく、人が生活の中で出会う事象を主観的にどう感じるか、という文化的な視点と記述があるべきだと思います。

https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/shinkaisan_01

そう、主観。一つの語句に対して、たくさんの関連語句や説明文が存在するわけだけど、どれを引っ張ってくるか。初っ端どんな言葉から始めるか。それがもう主観すぎると感じた。ニュートラルな問題文もあるけど、主張が強すぎる問題に引っ張られて影薄い。最後主観で笑いとりにいってる問題文もあるでしょこれ。
感情が入っている分、共感した時の感動もすごいのだ。なるほどそうそうわかる!と。
多分、これが新明解感の一つなのかな、と。

ちょうど先日、今年の新語 2024 が発表された。
新語・流行語大賞とは別物で、三省堂の辞書を編む人が選ぶ言葉。
今年の大賞は『言語化』だった。
上記リンク先ページでは、いろいろな辞典風味の『言語化』の語釈が並んでいる。(2024.12.17 辞書に載っている、と謝っていたのを訂正)

この言葉自体はかなり古くからあるものだけど、ここ数年日常語になったとのこと(すごく面白い話なので是非飯間先生のX等をおすすめ。サブカル界隈では普通に使われていた言葉なので、オタク的には感触として不思議な部分もあるけど…脱線だしその辺の疑問も解決する話がありました)。

上記のページにある、新明解国語辞典の言うところの『言語化』が、本当にちょうど東兄弟達主催のクイズ大会の(一部)問題文にまさに当てはまると私には感じられた。

折に触れて心のうちに去来し、曖昧にはとらえられるが、しかしその総体を明確にはとらえがたい模糊とした概念や思考、また湧き上がる自己の感情を、他人にも理解できるように、まとめ、整理し、言葉として表出すること

新明解国語辞典 第八版

クイズの問題文づくりは、言語化の一種なのかもな、と。
そんなわけで辞書と同じぐらい、とても面白い読み物のように感じた。
主観的にね!

②語句の選定

セレクトされた解答群自体が、彼らの時代いまを写す(三省堂国語辞典の帯から引用のフレーズ)ようにみえる。クイズトッププレイヤーとして、古今東西の知識にあふれた現役大学生がセレクトした問題群。限られた出題数にいったいどんな語を選ぶのか。
一部凄い偏ってるな!
王道の大会だと見なかった問題文・解答群。ありなの?ありなんだ!

③移ろう”今”をが組み込まれている

今まさに世の中で使われる中意味が変わってきている語、というのはたくさんある。『誤用が多い言葉』はよく聞くけど、言葉関係の人はそういうケースにおいて誤用という言葉をあまり使わないそうだ。そもそも言葉って移ろうものだから。

今回買った問題集の中に、とある食べ物を答える問題で、答えを一意に決められる部分はきちんとあるけど、追加ヒント的な部分で「~~な気がするのは何でしょう?」という作りの問題があった。
いわゆるTVで見るクイズにおいて、私はこの言い方を使っている問題文を見た記憶がない(後々草クイズではありなんだとわかったけど、この時点の感想)。
さらに内容も、私が昔TVで見たこの事柄に対する正しい定義として紹介されたものとも異なっていた。ただ、紹介の時に「市中ではごっちゃにされているケースが多い」と言っていたような記憶がある。
つまり、問題作成者が自分自身で体感した『今、世の中ではこの事柄が本来の意味とは違うあんな使われ方しているっぽい気がするんだけど、みんなもそう思わない?』が、短い問題文の中にギュッと入っているのだ。
面白い!


そんな感じで、彼らの『知ってたらえらい』『ねぇねぇ知ってる?』『知ってたら仲間!』がめいっぱい詰まってる問題集だった。なるほど、クイズ問題集って同人誌の一種だったのか。
加えて、早押し問題として出された時に、いったいどこで分かる人がいたのか知りたくなった。実際に押された場所をスラッシュで表記することが一般的だそうだ。
どこで分かったかで、読む側からしたらこれで分かるんだ!となるし、きっと作った人ならトモダチ!となったり、えらい!となったり。

その他の雑多な感想を述べると、いろいろな所に気も使ってるんだろうな、と思う部分もあった。例えば問題文中で『専業主「ふ」』と平仮名にしているところとかあった。こういうところに気をつかう所に今どきを感じたり。

と、以上全部問題を引用できないので曖昧な書き方をしてきた。
ちょっとでも興味出たけど認知されたくない諸兄姉におかれましては識別番号しか伝わらないのでぜひ安心して問題をDL購入いただきたいものである。推しの推し(クイズ大会運営)にかなり直接課金できる貴重な機会である。スパチャに投げるより割がいい。応援料追加課金もできるってさ。
新人王1 / 2
新人王2.5


さて、問題に限らず大会名や出題方法とかも総じて、オタク的な内輪ノリをとても感じた。クイズが自給自足の文化ということで、当然そうなんだろうけど、
それよりも前に見ていたQuizKnock主催のWHATという高校生向けクイズ大会やabcという大会など、もっと…お行儀がいい大会?を比較対象にしてしまったので、とてもそう感じた。
(後々『若気の至りオープン』、という会の例題を見てみたらクイズ的な内輪が極まっていた気がした。このノリが面白いと思う人が極めて高い濃度で集まる楽しさがきっと存在するんだろうな…みたいな遠い目になるレベル。よかったら検索してみてほしい。あえてリンクは貼らない。)

好きな漫画に、『勝手に改造』という作品がある。あまりにも鋭い名言が今でいうところのネットミーム的に闊歩していたため、アラフォーオタクならちらっとは触れた人の方が多いのではなかろうか。
この作品自体の骨子であり、屈指の有名なセリフに『だいたい笑いなんて狭けりゃ狭いほど、わかる人間には面白いんだよ!』というワードがある。
知識の範囲が広すぎる、クイズオタクのお祭り。とんでもなくうちわノリなんだけど、一般教養からネットミームまで、範囲広すぎて、クイズという狭さがありつつも、誰もがちょっと仲間にはいれるチャンスのある内輪ネタ遊び、それがクイズなのかもしれない。
さすがにこの濃度の会だとアラフォーな自分が初心者で行くには辛い、とも思ったのだがw


クイズの人は内輪ノリが大好き関連で思い出したのが、クイズ王系Youtubeチャンネル カプリティオチャンネルの10万人突破記念動画だ。
私、ここのチャンネルはコロナ前から一番よく見ているYoutubeチャンネルだったりする。別の記事で書くけど、よく考えると私、前からクイズ自体は大好きだったんだな、と。

伊沢さんが、豪華ゲスト出題者としてカプリティオメンバーのために準備した一問。一般人は誰もわからない、クイズ界の内輪有名人が答えになる問題を出していた。プロの伊沢さんがカプリティオメンバーがMax喜ぶ問題として選んだのが、内輪ネタ問題であった点からも、一番楽しいの一つのピークが内輪ノリなんだろうな、とおもう。うーん、オタク。


こんなふうに、クイズの問題自体に味があることに気が付いた私は、この後いろんな作問・クイズ大会について記事をあさったり、調べるようになったのだ。

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