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[癒し] PERFECT DAYS(あれ?まだ書くの?)

(あれ?劇薬っていってなかったっけ?)
以前、ヴィム•ヴェンダーズ監督作品、「PERFECT DAYS」がいかに癒し映画などではなく劇薬な(側面を持つ)のかということについて色々書いてきました。
まぁけれど癒し映画としてみることも間違ってはいないし、異なるそれぞれの視点に良さがあるので悪しからず。

主人公の平山氏や妹、姪に加えて、各所で登場するキャラクター、彼らの空気感も非常に良い味が出ています。素晴らしい俳優の方々を起用した監督には脱帽ですね。
たった数秒シーンですが豪華すぎる配役。研ナオコ氏、安藤玉恵氏や片桐はいり氏、あと個人的に長井短氏も良い演技をされるので好きです。もしかしたら数人は見つけられず観終わってしまうかもしれませんね。みなさんは見つけられましたか?今はAmazonプライムで無料、U-NEXTで有料ですが鑑賞可能なので、是非。

さて、癒されるポイントですが、なにより平山氏の趣味がどこか微笑ましい。神社の境内に生えていた小さな苗木をいただいて、家の中でたくさん育てているのです。毎朝霧吹きで水をあげて、大きくなったなら玄関の脇に移動しつつ、日々成長を見守っています。その様子がどこか心をほっこりとさせてくれます。

いつか彼の友達みたいに、大きくなるのかな

お昼ご飯を食べる時にも、見上げた木にまるで友人に微笑みかけるような表情を浮かべて、パしゃりと写真を撮るのです。都会の喧騒の中、吹く風と揺れる木々と、葉が掠れる音が耳に心地よくてついついハンモックでのお昼寝を誘発させてくるシーンですね。

平山氏といったらやはり、本を読む姿もイメージされますよね(映画のポスターにもなっていますし)。夜、薄暗い灯りの中で一人ページをめくる。そのワンシーンだけとっても、どこか惹きつけられるものがあります(きっと何か癒し成分がでてる)。

これはきっと、映画という虚像ではあるけれど、細部までリアリティを醸し出すことで現実にすり寄せることで、内部の人格が感じる幸福感すらも共有している。そんな感じなんでしょうかね。
画的にリアリティを作り込むだけではできない芸当だと思うので、その点はやはり、各俳優達の素晴らしい演技がなせる技ですね。

三浦友和氏演じる、行きつけのお店のママの元夫との掛け合いも趣深い。少し涙が出てきました。うまく言葉がでない、既に出してしまった言葉すら正しく感情を表せていないような気がする。そんな、みんながどこかで思ってるような当たり前をきちんと映してくれていましたね。二人の名俳優が、ほんとうに繊細なあのシーンを見事に演じ切っていたと思います。

リアルでは心を削るような、HPが少しずつ減らされる要素が生活の中に散在しています。平山氏の中にもそれはあって、だけどそれを救う何かも同様に存在している。そして自分で見つけている。それこそが、巧く生きるということなのかもしれませんね。

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葉桐
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