カラーダイヤモンド初級・色相②ピンクダイヤモンドのカラーグレードの見方
前回はイエローダイヤについて書きましたので、これから少しずつ、人気のピンクダイヤモンドについて掘り下げていきます。
しかしながら、ピンクは書くべきことが実に多いため、ひとまず今回は基礎的なカラーグレードの見方を、ピンクダイヤモンドを例に進めます。
先ず、カラーダイヤモンドのカラーグレードにつく「fancy」とは?
これは「カラーダイヤモンド」の中で、肉眼でしっかりカラーを感じられるとされたダイヤモンドのみに付けられる名誉ある冠詞です。
よって、「fancy 」のつくダイヤモンドはvery light pinkやlight pinkに比べ「色ノリ」の良いダイヤな認識で間違いありません。
カラーダイヤモンドは「明度、彩度、色相」の三つでグレーディングされます。
明度は「色のトーン、明るさ」、彩度は「鮮やかさ」です。(faint 、light 、fancy、fancy vivid 等で表現します)
カラーダイヤモンドの色調の幅はたいへん広く、ピンクダイヤモンドのグレードは以下、
ほぼ無色なごく淡いランクに始まり、徐々に色がついていきます。
先ずは最も淡いfaint pinkを筆頭に、fancyの付かぬ淡目カラー三兄弟、
faint pink(フェイント=かすかなピンク)
very light pink(とても薄いピンク)
light pink(薄いピンク)
ここで、気を付けないといけないのは最も淡い「faint pink」です。
ぱっと見字面fancyぽく見えますが、その実、似て非なる「faint(フェイント)」。
直訳はかすかなピンク、ほぼ無色に近い。しかし、末尾が「pink」とあるため、間違いなく「ピンクダイヤモンド」です。
faint pinkは、ほぼほぼ無色に近いピンクであるため、それを理解したうえでの購入なら良いのですが、「ピンクダイヤ」を期待して購入すると、
「えっ、何コレ?無色じゃん」と痛い目に遭います。ご注意ください。
同様にvery light pinkや light pinkは、ごく淡いピンクなため、肉眼でピンクを感じるのはやや難しいかもしれません。
しかし、もし貴方が、一見ほぼ無色のvery light pinkを前に、時折、淡いピンクのヴェールをまとったかの愛らしさを感じ胸が高まるのであれば、それもご縁。ご購入GOでよろしいかと。
very lightやlightクラスの魅力は、fancyクラスに比べ、価格がお手頃かつ大粒を入手しやすい点。
しかし、石が大きくなればなるほどvery light やlightクラスも、傍目にピンクとうつる範囲が増えるため、大粒の淡いピンクダイヤモンドとして、それなりに高額で取引されます。
グレード等級の話に戻します。
先のlight pink の次に、以下、カラーを楽しみたい方にオススメ、誰の目にもピンクを感じられるfancyランクが続きます。
(画像 fancy pink )
fancy light pink(薄めだけどわりとピンク)
fancy pink(しっかりピンク)
fancy deep pink(濃く深いピンク)
fancy intense pink(鮮やかなピンク)
fancy vivid pink(とても鮮やかなピンク)
(*上記に記載しないfancy dark pinkというカラーもあります。その名のとおり「暗いピンク」です。しかし、そもそもピンクの絶対数が少ないうえ、色調の暗さゆえ不人気なためか全く市場に出回らないため、割愛します)
上記fancy の付くランクが、一般的に「美しい」と評価されるファンシーカラーダイヤモンドです。
しかし、fancyクラス以上のピンクダイヤは稀少性が高く、たいへん高価です。
数の少なさゆえ、大粒になるにつれ価格は天文学的な数字になります。1ctとなれば数百から数千万、vividなら億単位でもおかしくありません。
ゆえに、現実的な価格で選択できる石は必然的に小さなものになります。
上記、ピンクのカラーグレードについて私の言いたいことのまとめは
誰の目にもピンクとわかるピンクダイヤモンドが欲しい方は「fancy」クラスを。その代わり高価なため、選択肢は小粒に。
逆に、ご自身が気に入られ納得されたなら、fancyの付かない淡いlightやvery lightクラスも良いかと。比較的大粒がお手頃かつ現実的な価格。
最後に、少しだけカラーダイヤモンドの副次色についてご紹介します。
副次色とは、例えばfancy purplish pink の「purplish」のことです。
以下の二つの色相は、似ているようで異なります。
1.fancy purplish pink
2.fancy purple pink
【接頭句+色相1+色相2(より優勢な色相)】
(解説)
1は、紫がかったピンク
2は、紫とピンクが同等なくらい感じられるが、かろうじて強いのはピンク、です。
(画像 fancy purplish pink )
このように、カラーダイヤモンドの大半は副次色のあるグレーディングがなされます。
また、副次色は複数あるケースも珍しくありません。
例)fancy brownish purplish pink (直訳は、茶褐色がかった紫がかったピンクですが、実際は「やや暗めな落ち着いたトーンの紫がかったピンク」といった感じでしょうか)
そして、
GIA基準のピンクダイヤモンドの副次色は、purple , orange , brown, gray
この四つしかありません。
(副次色のないfancy pink は「ストレートピンク」とも呼びます)
そして、この副次色の違いにより、ピンクダイヤモンドは、実に大きな価値と価格差が生じます。
その辺りは、また別の機会に書かせて頂きます。