アーガイルピンク①~美しく、魅惑のピンクダイヤモンド~
女性に人気のピンクダイヤモンドの産地は
ロシア、アフリカ、ブラジル、インド、、、、
そして、最も有名な産地がオーストラリア、キンバリー地方にあるアーガイル鉱山です。
「ピンクダイヤモンドといえば、アーガイル」というイメージは、皆さんのなかにも根強くあるのでないでしょうか。
実際に、現在のピンクダイヤモンドの供給の8~9割は、アーガイル鉱山のものと言われています。
今回は、カラーダイヤモンドの女王であるピンクダイヤモンドのなかで、とりわけ有名な
「アーガイルのピンクダイヤモンド」について、数回に分けてお話しさせて頂きます。
ちなみに、アーガイルのピンクダイヤモンドに纏わる話は、正直なところ、
マニアックであまり一般向け内容でないかもしれません。コレクターや上級者向けに思いますが、ご興味のある方は目を通して頂けると幸いです。
それでは
先ず「アーガイルのピンクダイヤモンド」の特徴とは?
どの産地にも共通ですが、ピンクダイヤモンドは大粒がなかな採れず大半が小粒は、アーガイルも然り。
アーガイル産ピンクダイヤモンドの色の特徴は主に以下、
しっかりとした鮮やかな色味、purplish,brownish,orangy等、やや内包物は多めで蛍光色は青色を有するものが多いです。
以前、私はTwitterのフォロワーさんより「アーガイルのピンクダイヤモンドが欲しい」とのご相談を受けたことがあります。
しかしながら、現在(※2020年7月現在)、残念なことにピンクダイヤモンドの産地鑑別は行われておりません。
ゆえに、世に出る「アーガイル産」と言われる石は、「アーガイルから仕入れた」という仕入れ先の言葉によるものであったり、それ以外に証拠も根拠も特段なく、本当にアーガイル産かはわからないのが実情です。
ピンクダイヤモンドは、その色や特徴から「~産であろう」と推測はできても、確定することは不可能。
では、現実問題、確実に「アーガイル産ピンクダイヤモンド」を入手するには、どうしたら良いか。
それはもう、端的に「アーガイルの産地証明書(レポート)」付きのピンクダイヤもしくは、ガードルに「アーガイル刻印」の入ったピンクダイヤモンドを購入するほかありません。
とは言え、欲しくとも、おいそれと簡単に手には入るシロモノでないのですが・・・。(めちゃくちゃ高額です)
では「アーガイルレポート?アーガイル刻印って、何?」という皆様へ
これは、アーガイル社発行の「アーガイル鉱山で産出された」という産地証明付きレポートです。(レポートには、アーガイル独自のカラーグレードが記されます)
また、その石と同一性を保つため「ピンクダイヤモンドのガードル部分にレポ-トのシリアルNOがアーガイル社のマークとともに、レーザー刻印されます。(※アーガイル刻印)
※これは、GIAレポートのシリアルNO刻印とは全く別のものですが、美しいアーガイルピンクのダイヤモンドには、「アーガイル刻印」と「GIA刻印」ダブルソーティングのものも多いです。(GIA以外とのダブルソーティングも勿論有ります。尚、GIAはアーガイル刻印のシリアルNOをレポートに記載しますが、CGLは「ガードルに刻印有り」のみ表記でNOを記載しません)
(画像アーガイルピンク GIA付)
そして、この「アーガイルもの(今後、便宜上こう呼びます)」は、現在べらぼうに稀少かつプレミア化し、一般市場には、なかなか出回らない幻の逸品となっております。
ちなみに、超プレミアムな「アーガイルもの」は、以下2パターン
1)ダイヤにアーガイル刻印、レポートも揃った完品
2)ダイヤにアーガイル刻印(レポート無し)
レポート完品ものとは、レポート(アーガイル産である証明書)と、レポートのシリアルナンバーが刻印されたダイヤモンドがセットであるもの。
本来、アーガイルもの全てがそうであれば良いのですが、取引業者によっては、経費削減のためレポートを最初から不要とするケースもあります。
(何故なら、レポートがつくと高くなるから?レポートがあるほうが高く売れるのに勿体ない話。おそらく、アーガイルがレポートを付けだした初期のエピソードと私は推測します)
また、アーガイルのピンクダイヤが様々な人の手を介していくなかで、本来あったレポートを紛失することもあるに違いありません。
こうした理由で、必ずしも「アーガイルもの」に、レポートが付属しているわけではありません。
(注 現時点(※2020年7月)、アーガイル刻印のシリアルナンバーから、レポート再発行は残念ながら不可)
無論、レポートの揃ったものが、最もプレミアで価値は高くなりますが
、前述のよう、レポートはなくとも「アーガイル刻印入りの石」いわゆるアーガイルものは、ピンクダイヤモンドの超プレミア品となっております。
(注)ちなみに、この「アーガイル刻印」、悪い人たちは偽造刻印した石を「偽アーガイル」として販売している噂もありますので、くれぐれもご注意を。(見分け方はありますので、また別の機会に)
以前からアーガイル鉱山の閉山についてはちょくちょくお話してまいりましたが、閉山によりもう二度と産出されないというその稀少性ゆえ、これら「アーガイルの遺産」とも言える「アーガイルもの」は異常なまでの価格高騰を続けています。
そして、現在、もはや業者ですら全く手の出せない超高額品となっています。。
(たまに某オクで数百万~一千万以上で出品見かけたりもします)
そのため、もし、現在貴方が、確実に「アーガイルもの」が欲しいとなった場合、潤沢な資金があり、尚且つ、どれだけ時間が掛かることをも厭わないという方を除き、「アーガイルレポート付き、刻印入り」を手に入れることは、ひじょうに困難であると言わざるを得ません。
そもそも世界に於けるピンクダイヤモンド人気は、日本はまださほど高くないのが実情であり、ジュエリー先進国である欧米諸国他、ピンクダイヤモンドの人気は凄まじく、主に名だたるピンクダイヤモンドはじめ大きなカラーダイヤモンドの大半は、海外で流通しています。
また、「カラーダイヤモンド」に強い海外業者というのは「アーガイルもの」を持っていたとしても、そう簡単には放出せず、じっと「寝かせて」いたりします。
寝かせれば寝かせるほど、アーガイルの稀少価値は高まりプレミア化し、価格は高騰を続け、放出した際の利益が大きくなるためです。
(とは言え、この不安定な世界情勢、先のことはよくわかりませんが・・)
これは、アーガイルの閉山により今後、新たにアーガイルで採掘される石はないのですから、至極当然の流れ・・・。
アーガイルものは今後そうした海外業者の超プレミア高額品の放出を待つか、もしくは市場に還流でまわってくる石などしかないのです。
古の時代から、稀少な宝石は人の手から手へ、その所有者を変えてきました。そのように、おそらく今後、稀少なアーガイルのピンクダイヤモンドも、還流していくことでしょう。
こうした時流のなか、もしも、貴方が偶然にも「アーガイルもの」に出会えたとしたら、それは、奇跡に近い出会いかもしれません。
(次は、アーガイルのカラーグレードの見方について等、できれば、、、書きたいと思います。)