技術士:建設部門「施工計画、施工設備及び積算」/過去問チャレンジ/R5_Ⅱ-2-1 (R6version)
R7年度技術士第二次試験の合格を目指すブログです。
受験部門と科目は・・・
建設部門「施工計画、施工設備及び積算」です。
今回の記事は、
建設部門「施工計画、施工設備及び積算」:R5年度「選択問題Ⅱ-2-1」の
過去問に向き合ってみます。
この問題の主題は「護岸整備工事」です。
選択問題Ⅱ-2の問い(1)および(2)の問題文は、
R6年度より難度化しました。
したがって、本記事では
R5年度の問題文をR6年度バージョンに置き換えて
各問いに対する解答案メモを作成します。
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-1|問い(1)
⇩ 問い(1)をR6年度バージョンへに置き換えます ⇩
⇩ 解答案メモ
(1)住宅密集地における仮設工事の安全性検討
当河川の仮設工事において、
重要な検討事項は
1) 仮設締切工法の選定
2) 工事用道路の配置計画 が挙げられる。
これらを
① 施工の確実性
② 周辺環境への影響 の2つの評価軸で比較する。
1) 仮設締切工法の選定
仮設締切工法には
・二重矢板式
・片側矢板式 がある。
a. 二重矢板式
二重矢板式は
止水性が高いことから「① 施工の確実性」に優れているが、
施工期間が長く、振動・騒音による「② 周辺環境への影響」が大きい。
b. 片側矢板式
一方、
片側矢板式は
施工期間が短いため「② 周辺環境への影響」が小さいが、
河川水の影響を受けやすいため「① 施工の確実性」に劣る。
2) 工事用道路の配置計画
当計画については、
・河川内に常設する場合
・必要に応じて仮設道路を設置する場合
の2ケースで検討する。
a. 河川内に常設する場合
このケースでは「① 施工の確実性」に関して、
以下の状況の発生が想定される。
・砕石による十分な路体強度により、大型車両の走行が安定する。
・天候に左右されず、安定した資機材を搬入できる。
・工事期間中の重機移動がスムーズで、施工性が良い。
以上の状況により「① 施工の確実性」が高い。
また「② 周辺環境への影響」に関しては、以下の状況の発生が想定される。
・広範囲に砕石を敷設することから、
河川区域内の植生への影響が大きい。
・工事後の原状回復に多大な労力と費用を要する。
・降雨時の濁水対策など、環境保全措置が複雑である。
以上の状況により「② 周辺環境への影響」が大きい。
b. 必要に応じて仮設道路を設置する場合
このケースでは「① 施工の確実性」に関して、
以下の状況の発生が想定される。
・雨天時の地盤軟弱化により、重機の走行が困難である。
・搬入路の設置および撤去により、工程ロスが発生する。
・地盤支持力が不安定であるため、大型車両の通行に不安要素となる。
以上の状況により「① 施工の確実性」に劣る。
また「② 周辺環境への影響」に関しては、次の状況の発生が想定される。
・敷鉄板の使用により、植生への影響を最小限に抑制できる。
・必要時のみの設置により、環境負荷を低減できる。
・原状回復が容易で、環境への永続的な影響が小さい。
以上の状況により「② 周辺環境への影響」は比較的少ない。
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-1|問い(2)
⇩ 問い(2)をR6年度バージョンへに置き換えます ⇩
⇩ 解答案メモ
(2)工程遅延リスクのPDCA管理体制構築
1) 計画段階(P)で考慮すべき事項
① 降雨による作業中止基準の設定
② 地下水位変動による施工への影響予測
③ 近隣住民への振動・騒音による影響の定量的な把握
⇩
これらに基づき
・作業中止時の代替作業計画
・地下水位観測体制の構築
・振動計および騒音計の設置 などの
具体的な管理基準を設定する。
2) 検証段階(C)での具体的方策
① 日々の気象データと作業実績の相関分析
② 地下水位観測データの傾向把握
③ 騒音・振動測定値の管理基準との整合性
を確認する。
3) 是正段階(A)での具体的方策
計画段階での想定を超える事象が確認された場合
⇩
・作業中止基準値の見直し
・追加の地下水低下工法の採用
・防音パネルの増設
などの是正措置を講じる。
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-1|問い(3)
⇩ 解答案メモ
(3)油流出事故への迅速な対応と関係者調整
1) 利害関係者
当事故における利害関係者を以下に挙げる。
① 河川管理者
② 地域住民
③ 施工業者
④ 消防署
2) 利害の具体的調整内容
「① 河川管理者」に対しては
・事故発生後、速やかな状況の報告
・オイルフェンス設置などの応急措置の実施
・水質調査計画
について協議する。
「② 地域住民」に対しては
・事故の「経緯」「対応状況」の丁寧な説明
・必要に応じて消防水利としての代替案の提示 を行う。
「③ 施工業者」に対しては
・原因究明を指示
・再発防止策立案を指示
・作業手順の見直しを要求
・作業員への安全教育の徹底 を求める。
「④ 消防署」に対しては
・消防水利としての取水可否の判断を仰ぐ
・必要に応じ、代替水源の確保について協議する。
これらの調整を通じて、
・迅速な事故対応
・信頼関係の維持 に努める。
◆ キーワード
▽ 二重矢板式とは
二重矢板式とは、鋼矢板や鋼管矢板を2列に打ち込み、その間をタイロッドなどで連結して壁体を構成する構造形式です。タイロッド式とセル式の中間的な構造形式で、外力に対しては矢板根入れ部の受働土圧や中詰め土砂のせん断抵抗、矢板の曲げ剛性で抵抗します。
二重矢板式構造物は、次のような用途で使用されます。
仮設堤防の構築:鋼矢板を二重に打設して仮設堤防を構築し、陸側をドライな状態で構造物の築造・改築工事が可能にします。樋門や樋管の新設・改修、工事中の一般車両の迂回路などに使用されます。
防波堤の構築:港湾基準や漁港基準に準拠して矢板やタイ材、腹起こし材を検討し、複数の鋼矢板や鋼管矢板でトライアル計算を行い、断面を決定します。
係船岸の構築:港湾基準や漁港基準に準拠して矢板やタイ材、腹起こし材、壁体の中詰抵抗、滑動を検討し、複数の鋼矢板や鋼管矢板でトライアル計算を行い、断面を決定します。
▽ 片側矢板式とは
片側矢板式は、土留め工法の一種です。この工法では、片側のみに鋼矢板を打ち込んで土圧に対抗します。主に以下の特徴があります。
鋼矢板自体の剛性と土中根入れ部の地盤反力で外力に抵抗します。
最もシンプルな形状で、河川護岸・水路・擁壁・仮設土留めなど、幅広い用途で使用されます。
自立式構造とも呼ばれ、控え工や支保工を必要としません。
工事が簡単で、大がかりな施工設備を必要としません。
急速施工が可能で、工期を大幅に短縮できます。
地盤の状況に応じて鋼矢板の断面や長さを変えられるため、合理的で経済的な設計が可能です。
壁体が軽量なため、重力式構造物と比較して耐震設計が有利です。
片側矢板式は、その簡便さと経済性から、多くの土木工事で採用されている工法です。
➡ 次回の記事では・・・
R5年度・選択問題Ⅱ-2-2 の解答案メモを作ってみます。
では、また後日!