技術士:建設部門「施工計画、施工設備及び積算」/過去問チャレンジ/R5_Ⅱ-2-2 (R6version)
R7年度技術士第二次試験の合格を目指すブログです。
受験部門と科目は・・・
建設部門「施工計画、施工設備及び積算」です。
今回の記事は、
建設部門「施工計画、施工設備及び積算」:R5年度「選択問題Ⅱ-2-2」の
過去問に向き合ってみます。
この問題の主題は「RC桁橋の上部工拡幅工事」です。
選択問題Ⅱ-2の問い(1)および(2)の問題文は、
R6年度より難度化しました。
したがって、本記事では
R5年度の問題文をR6年度バージョンに置き換えて
各問いに対する解答案メモを作成します。
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-2|問い(1)
⇩ 問い(1)をR6年度バージョンへに置き換えます ⇩
⇩ 解答案メモ
(1)安全管理上の重要課題に対する比較検討
a. 本工事の特性
本工事の特性として、以下の項目が挙げられる。
・供用中の高架道路上での施工
・高所作業による危険性
b. 安全管理上検討すべき事項及びその評価
次に、本工事の施工計画を立案するうえで、
安全管理上検討すべき事項は、以下の2つが挙げられる。
1) 本線規制時の第三者災害防止
2) 高所作業における墜落災害防止
これらの項目に対する特徴を、以下に記載する。
1) 本線規制時の第三者災害防止
この災害防止に対する評価軸として、以下の2つを挙げる。
① 作業の安全性
② 交通への影響度
本工事は「安全施設の設置」により
「① 作業の安全性」は確保される。
しかし、
「交通規制による渋滞発生」などにより
「② 交通への影響度」が大きい。
2) 高所作業における墜落災害防止
この災害防止に対する評価軸として、以下の2つを挙げる。
① 安全確実性
② 作業効率
本工事では「安全帯の使用」により
「① 安全確実性」を高めるが、
「② 作業効率」を低下させる側面がある。
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-1|問い(2)
⇩ 問い(2)をR6年度バージョンへに置き換えます ⇩
⇩ 解答案メモ
(2)構造的一体化の品質管理計画
a. 計画段階(P)で考慮すべき事項
この段階では
既設部と拡幅部の一体化を阻害する要因として、
以下の事項に着目する必要がある。
・コンクリートの収縮差
・打継目の付着力の低下
⇩
これらの要因を勘案することによって
「コンクリートの配合設計」に対し、以下の事項を計画する。
・単位水量の低減
・養生方法の選定
・接合面に対する処理方法の具体化
b. 検証段階(C)での具体的方策
この段階では
以下に示す方策を実施する。
・コンクリート打設時の接合面の状態確認
・打設後の収縮ひずみ計測
・接合部のはつり検査による付着強度確認
c. 是正段階(A)での具体的方策
この段階では
計画段階(P)での想定を超える収縮差が確認された場合、
以下に示す方策を実施する。
・既設部への補強材追加配置
・接合部への機械的結合材設置
◆ 問題文_R5_Ⅱ-2-1|問い(3)
⇩ 解答案メモ
(3)緊急事態への対応と関係者調整
a. 利害関係者
コンクリート打設中断という事態に対し、
以下に示す利害調整者との調整が必要となる。
① 発注者
② 施工業者
③ コンクリート製造業者
④ 交通管理者
⑤ 道路利用者
b. 各利害関係との具体的調整策
前記した各利害関係者に対する具体的調整策を、以下に述べる。
① 発注者
・打継処理方法の承認取得
・工程遅延に伴う工期延長
② 施工業者
・打継部の処理方法の指示
・追加費用の算定
③ コンクリート製造業者
・故障機械の修理期間確認
・代替工場の手配の要請
④ 交通管理者
・規制時間延長の協議
・迂回路設定の調整
⑤ 道路利用者
・工事延長に関する情報提供、理解促進
これら複数の利害関係者との「円滑な調整」を通じて
⇩
「品質確保」「工程回復」の両立を図ることが重要である。
◆ キーワード
▽ スラブ厚とは
スラブ厚とは、鉄筋コンクリート造の建築物において、床や屋根の厚さを指します。スラブは、大梁や小梁と一体化して作られており、内部には碁盤の目状に鉄筋が入れられています。
スラブ厚は、建築基準法では「8cm以上、かつ短辺方向の有効張り間の長さが40分の1以上」と定められています。遮音性や耐久性を考慮すると、最低でも150mm程度が一般的です。マンションや優良住宅では、遮音性を高める目的で180~250mm程度のスラブ厚が採用されています。
スラブ厚が大きくなるほど遮音性は向上しますが、自重も大きくなるため、単純に厚いほど良いとは言えません。また、スラブの面積が広くなると遮音効果が薄れるため、衝撃音に対する遮音等級も確認する必要があります。
スラブ厚は、分譲マンションのパンフレットなどに明記されていることが多いです。物件のデータに記載がない場合は、設計図や竣工図から確認することもできます
▽ 縦目地とは
縦目地とは、建築物や土木構造物の材料の間の隙間や継ぎ目部分のうち、垂直方向の目地を指します。水平方向の目地は横目地と呼ばれます。
目地には、次のような役割があります。
伸縮が原因で起こる亀裂やひび割れを防ぐ
コンクリート版に生じる膨張、収縮、そりなどをある程度自由に起こさせることにより、版に発生する応力を軽減する
目地には、次のような種類があります。
芋目地(いもめじ、化粧目地、底目地、糸目地、馬目地、わらい目地、 眠り目地。
目地に充填される建築材料は「目地材」や「目地剤」と呼ばれ、漆喰、セメント、モルタル、シーリングなどが挙げられます。
▽ コンクリートの収縮差とは
コンクリートの収縮差には、温度変化による収縮、乾燥収縮、自己収縮などがあります。
・温度変化による収縮:コンクリートの熱膨張係数は10×10-6/℃で、長さ10mのコンクリート部材の温度が10℃上昇(下降)するとコンクリートが約1㎜膨張(収縮)します。
・乾燥収縮:コンクリート中の水は、大気が乾燥状態にあると、時間の経過に伴って蒸発します。すると、コンクリートの体積は減少し、結果として収縮します。
・自己収縮:コンクリートの硬化の過程でセメントと水の水和反応の進行によりコンクリートの体積が減少し、収縮する現象です。水セメント比が小さいコンクリートほど、自己収縮ひび割れが発生しやすくなります。
コンクリートの収縮ひび割れは、コンクリート構造物の施工段階で発生しやすいひび割れです。収縮を低減させるには、コンクリート用収縮低減剤やコンクリート用化学混和剤、コンクリート用膨張材、石灰石骨材などを使用します
▽ コンクリートの打継ぎ処理とは
コンクリートの打継ぎ処理には、レイタンスの除去や打継目処理剤の塗布などがあります。
レイタンスの除去は、コンクリートの品質管理において欠かせない作業です。レイタンスとは、コンクリートの打設後に表面にできる脆弱な部分で、放置するとひび割れなどの不具合を引き起こす可能性があります。レイタンスの除去方法には、次のようなものがあります。
散水しながらワイヤーブラシで削り落とす
手動や電動のハンマー、ノミなどで脆弱部を除去する
高圧洗浄で削り落とす
コンクリート打継面処理剤を使用する
コンクリート打継面処理剤には「遅延タイプ」と「硬化タイプ」があり、それぞれ使い方が異なります。遅延タイプは表層部の硬化を遅らせることで高圧洗浄で除去しやすくする方法です。硬化タイプはレイタンス自体を硬化させてしまう方法です。
また、打ち継ぎ目には止水処理も必要です。止水処理には、勾配、伸縮目地、止水板などの方法があります
➡ 次回の記事では・・・
「R5年度・必須問題Ⅲ-1 」の解答案メモ
または「技術士「DX」/灘高伝説教師による国語の学び方を真似てみる」を作ってみます。
では、また後日!