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あんみつ姫の呪い"着物考"

着物が好きだ。大好きだ。愛していると言っても過言ではない。
好きなものには環境や知識からくる後天的なものと、DNAに組み込まれているかの如く先天的なものがあるように感じる。私にとって読書や料理、音楽の好みなどは前者で絵を描くことと観るとこ、インテリア、着物は後者だと思われる。自分で思い出せる最初の記憶には既に好きなものとして存在していた。
着物にフォーカスしてみると、これには両親も大変であったかと思う。七五三に正絹の煌びやかな着物を祖父母が与えてしまったことが運の尽きであった。
その日から私は毎日着物を着せてくれとせがんだ(らしい)。あんみつ姫の如く毎日着物を着、そのじゃじゃ馬加減まで憑依してしまったものだからあっという間にお尻あたりが擦り切れてしまった。この子に正絹の着物を与え続けていては家が潰れてしまう、そうだウールの着物を与えよう!…と思いたった母はウールの着物を彼女(私)に与えることにした。

組紐の美しさも着物の醍醐味である。


初めてウールの着物に袖を通したあんみつ姫、大号泣。これは今まで着ていた着物と違う!ちくちくする!と…。結局、母はまた正絹の着物を与えてあんみつはご満悦することとなった。めでたし、めでたし。
着物を好きな気持ちは変わらないものの、お正月や浴衣を着るくらいに治まり、あんみつ姫の呪いは解かれたかに思われた。
そして20年の時が流れた。ここにきて"おせん"(きくち正太先生の漫画です)という私のバイブルに出逢ってしまう。"母が買ってくれないなら自分で買えばいいじゃないの!"潜伏していたあんみつがささやいた。着付け教室に通い、オークションやリサイクルショップで着物を漁り、知識を増やすため本を読み漁った。私の手綱を引いていた両親は遥か遠い故郷の空の下、江戸に出たのが2度目の運の尽き。あんみつ、大暴れの大暴走。抑揚を繰り返しながら未だあんみつ姫は私に憑依し続けている。多分死ぬまでもう、呪いからは解放されることはあるまい。
(ちなみに私はあんみつ姫を観たことはございません。あんみつ姫って違うよ…と違和感を感じた方がいらっしゃってもご容赦いただけると幸いでございます。)


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