自己紹介(『IPランドスケープ2.0』を目指して)
はじめまして。元木尚と申します。企業の知財部で特許サーチャーをしています。
「特許サーチャーって何?」と思われる方も多いかもしれませんね。特許サーチャーとは、発明に関連する他社の特許を調べて、技術者に情報を提供する仕事です。
「なんだかニッチでマニアックな仕事だな」と思われたかもしれません。でも、これが『データサイエンス』や『ビッグデータ』『マーケティング』とつながっていると聞いたら、ちょっと興味が湧きませんか?
実は今、この特許サーチャーという仕事が大きく進化していて、新たな可能性に満ちた分野になっています。私はその面白さに惹かれて、40歳でキャリアチェンジを決意し、この世界に飛び込みました。
まだ駆け出しの3年目ですが、自分の経験やノウハウを発信して、少しでも特許調査のハードルを下げ、多くの人がこの分野に関心を持つきっかけを作れたら嬉しいです。
特許調査は専門家だけのものではありません。技術者や営業職の方でも、ノウハウさえあれば十分にできるものです。そして、特許調査がもっと気軽に行われるようになると、新たなデータ活用の可能性や意外な応用の仕方が次々に生まれるかもしれません。
そんな未来を夢見て、まずは自分から情報を発信していこうと決めました。
自己紹介(僕のこれまで)
僕の知財との出会いは大学時代に遡ります。法学部で知的財産権法のゼミに所属し、「将来は知財に関わる仕事がしたいな」と漠然と思っていました。しかし、当時は就職氷河期の真っ只中。なかなか思い通りにはいきませんでした。
それでもベンチャー企業に法務担当として拾っていただき、18年間勤めました。とてもありがたい経験でしたが、法務の仕事は「なんでも屋」のようなものでした。弁護士や弁理士、社労士といった専門家と社内をつなぐ役割が主な業務でした。
そんな中、「このままでいいのだろうか」という漠然とした不安を抱えながら、自分だけの専門スキルを身につけたいという思いが次第に強くなりました。
ある日、参加した法務系のセミナーで『IPランドスケープ』という言葉を耳にしました。「これだ!」と感じた僕は一念発起し、憧れていたメーカーの知財部に転職することを決意しました。
転職してからの3年
大学で知的財産権法を学んでいたとはいえ、特許調査はほぼ未経験。予想通り、最初は苦戦の連続でした。特許調査の世界は法律よりも技術を深く理解することが求められる、いわば「理系の領域」。明細書1件読むだけでも四苦八苦する日々が続きました。
それでも、考え方を少し変えたり、ちょっとしたコツを掴んだりすることで、明細書がスラスラ読めるようになり、技術への理解も深まりました。発明者との打ち合わせでも自信を持って質問できるようになり、大きな成長を実感しています。
こうした経験から学んだことや、初心者がつまずきやすいポイント、効率よく明細書を読むためのコツも、これから発信していけたらいいかなと思っています。
今思うこと(なぜ発信することにしたのか)
現在、僕は『IPランドスケープ』に取り組んでいます。そして、生成AIを活用して、従来の『パテントマップを使った提案活動』から一歩進んだ形に進化させたいと考えています。
生成AIを業務に積極的に取り入れたことで、特許文献とAIとの相性の良さを改めて実感しています。この技術を使えば、もっと多彩な分析や提案が可能になると確信しています。
このワクワク感を発信し、多くの人と共有することで、今の自分には思いもつかないような新しいアイデアや動きが生まれるのではないか、と期待しています。そして、そんな変化の最前線に立ちたいという思いから、情報発信を決意しました。
特許調査という分野が持つ可能性や面白さを、多くの人に知ってもらいたい。そして、同じように情報を発信し、新しいことに挑戦する仲間が増えれば、もっと面白い未来が広がるはずです。
『IPランドスケープ2.0』を目指して
現在、『IPランドスケープ』に取り組んでいます。セミナーをいくつか受講してみたものの、「これって自分が目指している方向性とは少し違うかも…」と感じることが多々ありました。
美しく、分かりやすいグラフ化には憧れます。でも、ふと「これってパテントマップと何が違うんだろう?」と思ってしまうんです。さらに、「経営陣への提案」とよく言われますが、現実にはそんな機会が簡単にあるわけでもありませんよね。
では、もっと独創的で身近、そして現実的に実践できる特許情報の活用方法はないのでしょうか?そう考えたときに、僕がたどり着いたのが生成AIの活用です。
いくつか試してみた結果、個人的に「これは可能性の塊だ!」と感じています。
この可能性を、まずは多くの人と共有してみたいと思いました。同じようなことを考えている人とつながり、意見を交わすことで、さらに発展させられるはずです。
幸いなことに、特許文献は公開情報ですし、生成AIとも相性が良いので、さまざまな実験が可能です。その結果を公表し、フィードバックを受けながらブラッシュアップを繰り返せば、新しい形の『IPランドスケープ』が生み出せるのではないかと期待しています。
それが本当に『IPランドスケープ』と呼べるものになるかは分かりません。でも、どんな形になるにせよ、新たな地平を切り開くことができると思うと、今からワクワクしています!
魅力あふれる変化の真っ只中にあるこの業界を、同じ考えを持つ方々と、一緒に楽しんでいけたら嬉しいです!