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特許文献を『企業のブログ』と捉えてみる
邪道かも知れないけど、IPランドスケープ(特許情報を使ったマーケティング)に取り組む際、僕は『特許を権利情報として見ない』ことを意識しています。
特許文献情報って、とっつきづらいですし、マーケティングに使いづらいなって思っている方も多いと思います。でも、大量に公開されている企業の先端技術情報ですし、使わなきゃ損です。
でも、特許文献は権利書ですし、もともとマーケティングに使うための情報ではありません。特許文献情報=権利範囲情報ですし、そもそも実績PRのための情報ではないので、マーケティングに使いづらいのは当然のことですよね。
でも、そんな当たり前の見方をしても新しいことは生み出せないし、ワクワクしないですよね。
僕は、特許文献情報に対して、もっとユニークな見方ができるはずだと感じています。そして、生成AIを活用すれば、それが現実になるのではないかと考えています。
<ちょこっと解説> 特許文献(公開公報・特許公報)とは?
特許出願して審査に通ると、独占権という「ご褒美」がもらえます。このご褒美欲しさに企業は特許出願をするわけですね。特許が認められると「特許公報」として公開されますし、出願内容も一年半後には公開されます。この公開情報が「特許文献情報」です。
特許文献は「パーソナル」な情報発信?
特許制度は、独占権というご褒美を与える代わりに技術内容を公開してもらうことで、産業の発展を促す仕組みです。この制度、本当によくできていますよね。企業がご褒美を目指して特許出願すれば、先端技術の情報がどんどん公開される。そして、その情報を元に新たな発明が生まれる。このサイクルが回ることで、どんどん技術が進歩していく、という仕掛けです。
特許文献情報には、技術内容だけでなく、過去の課題、発明の効果、利用可能な分野など、試行錯誤の痕跡が記されています。これって、なんだか「企業のブログ記事」のように感じませんか?
企業はホームページや株主向け資料(IR)を通じて、社会課題、自社商品がもたらす効果、事業展開する分野などをPRします。これはいわば『オフィシャル』な情報ですね。企業の動向をチェックするマーケティングにおいては、まずこのオフィシャル情報をチェックすると思います。
一方、特許文献情報は、技術者たちが考える課題解決の方法や、アイデアベースの取り組みも含まれています。いわば「パーソナル」な情報が垣間見えるのが特許文献の特徴だと思うんです。この情報公開の仕組みが、どことなくブログと似ているな~って感じます。(僕だけでしょうか?)
もちろん、公開される情報には「玉石混交」の部分もありますが、企業の考え方やカラーが滲み出ている部分もあるはずです。その滲み出た部分を拾い上げたい、というのが僕の目指すIPランドスケープです。
・特許文献情報を権利情報として捉えない。
・特許文献情報をブログ(企業の活動ログ情報)として捉える。
こんなふうに視点を変えるだけで、特許文献情報の活用方法が一気に広がる気がしませんか?
マーケティングにおいて、Web情報・ニュース・業界情報・IR情報をチェックするのは、コンサルタントであれば、皆やってることだと思います。そこに、特許文献情報っていう『企業のブログ情報』を加えてみたら良いスパイスになるんじゃないかなと思います。例えば、競合企業の面の顔(オフィシャル情報の分析結果)と、裏の顔(パーソナル情報の分析結果)を比較して、その違いを見るとか…。なにか面白いことができそうですよね。
特許情報の「ザラっと感」を大切に
従来の分析では、出願件数を企業別に集計してグラフ化することが一般的でした。でも、この手法では文献に記載されている内容が「1」という数字に丸め込まれてしまいます。どんな内容でも「特許1件」としてカウントされるのでは、特許文献の持つ「ザラっとした感触」が消えてしまうように思います。「試行錯誤の経緯や技術のアピールポイント、社会貢献の可能性まで、いろいろ書いてあったのに、それがどこかに行ってしまった!」と感じることもしばしばです。
最近では、テキストマイニングを使った手法も進化しています。文献内の単語を分析することで、個々の技術内容が想起できるようになりました。こうした方法には大きな可能性を感じますが、この分野には既に多くの先駆者がいらっしゃいます。テキストマイニングは先駆者の皆様から学ぶことにして、僕は、別の切り口から特許文献情報を切り刻んでみようと考えています。
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生成AIは僕たちにパワーをくれる
ここで話は生成AIに戻ります。詳しくは前回の記事を参照していただければと思いますが、僕は生成AIを「可能性の塊」だと信じています。
生成AIが僕達の能力を拡張するのはもちろんですが、こんなメリットもあります。
例えば、以下のプレゼン。皆さんが社長だとしたら、どちらを聞きたいですか?
A: 経験3年目のコンサルタントが語る、「競合企業の特許情報分析と、御社の今後の事業プランに関するご提案」
B: 大手コンサルティングファームに所属する経験3年目のコンサルタントが語る、「〇〇コンサルティングファームが培ったノウハウを駆使した競合競合の特許情報分析結果と、御社の今後の事業プランに関するご提案」
もちろんBですよね。
では、こちらはどうでしょう?
C: 経験3年目のコンサルタントが語る、「生成AIを用いた競合企業の特許情報分析結果と、生成AIが導き出した御社の事業プラン(モデルケース)のご紹介」
ちょっと聞いてみたくありませんか?CはBには及ばないかもしれませんが、Aよりは興味を引くのではないでしょうか?
僕は、生成AIは私たちの能力を拡張するだけでなく、発信力を後押ししてくれる存在でもあると感じています。
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僕のいる知財業界では、「生成AIって、どうやって業務に活用していったらいいだろう?」「生成AIの使い方のイメージが湧かない」なんていう話がチラホラ聞こえます。せっかくなら、「生成AIを使ってこんなことしてみたんだけどどうかな?」とか、「生成AIってこういう使い方をすると面白いよ」なんていう話題で盛り上がりたいですし、前向きな話題が多い方がワクワクしてきますよね!
そんな話題を沢山提供できるように、まずは活用、そして結果の発信を、これから地道に一つずつ積み重ねていこうと思います!
〈特許文献情報を読み解くヒント: まとめ〉
1. 特許文献の見方を変える
→ 特許文献を「企業のブログ」と捉える
2. 特許情報の新たな可能性を発見する
→ 切り口次第で、権利情報以外の側面が見え、興味深い結果を導ける
3. 特許情報の「ザラっと感」を重視
→ 試行錯誤や技術アピールを丁寧に読み取る
4. 生成AIを活用する
→ 分析の可能性を拡大し、効率的に深掘り
5. 生成AIが提供する魅力
→ 分析結果を「聞いてみたい」提案に進化させ、発信力を強化
記事内容、気に入ったら「スキ」やコメントをいただけると嬉しいです。
引き続き記事を作成して、IPランドスケープの新しい形を目指してチャレンジしていきたいと思います!