特急車両指定席で飲むビール
実家へ帰る特急で指定席を取り、飲むビールが好きだ。普段飲まないようなちょっといい銘柄(モルツの黒ビールとか)をファミマでファミチキと共に買い列車に乗り込むのだ。
ここで飲むタイミングを誤ってはならない。名古屋から発車する時はまだまだ地下。地上に登り、周りの薄暗い景色がぼんやりと見えてからプルタブを引くべきだ。
心地よいカシュッという音ともに半分くらいを一息で飲み干す。本当にうまい。ビールが1番うまい瞬間だと思う。
ここでファミチキを服にこぼさないよう気をつけながらひとかじり。こぼすと油染みの阿鼻叫喚でこの後の処理ばかり気にかかるので絶対に絶対にかけらも落としてはならない。幸いファミチキは手を汚さぬよう出来ているのでこぼす確率はまあまあ低い。それでも私というやつはたまに“やる”。酔った時の私はそれくらい信用ならない。気をつけよう。
酔いが回るのが早い気がする。普段外で飲む時はここまで早く酔いが回らないはずだが、特急車両の指定席で飲んでいるとなんだかいい気分になる速度が違う。景色が変わるのさえ面白い。
上機嫌になった頃合いでそろそろ乗り換えだ。頬を突くような寒さは程よく酔いを覚まし、先ほどまでの酔っ払いは鳴りをひそめ、普段の私が帰省する。