モアナと伝説の海2 ネタバレ感想
はじめに
この記事はモアナと伝説の海2の重大なネタバレを含みます。読まれる際は先に映画本編を鑑賞することを強く推奨します。また、素人が感じたことをつらつら書き綴っただけの文章である為、解釈が間違っている箇所、文章がおかしい箇所などあるかと思います。ご容赦くださいませ。以上2点に了承頂ける方のみ先にお進み下さいませ。
それでは私の記念すべき初のnote、始まります〜‼︎
まず、前作のモアナ(無印)には「伝統も大事だが、状況に応じて形を変えてゆくべき」といったメッセージ性があり、“珊瑚礁の外に出てはいけない”だとか、“盗まれたままのティフティの心”だとか、そういった過去の出来事によってもたらされた現状を乗り越えて事態を改善するストーリーになっている。
だからといってこれらの謂わば“伝統”が悪として描かれているのかというとそうではなく、其々理由があって今の形を取っているに過ぎず、”状況が変われば改変・更新が求められるもの“として扱われる。“島民を守る為のルール“はそれが島民を守る上で枷になるなら改められ、”人々から愛される為の行い“が人々を害すなら改める。
その為「旧態依然的な伝統は人を縛る悪習!ぶっ壊して解体すべき」という革新的でストロングな主張ではなく、「伝統を守るということはみてくれの形に囚われず、状況に合わせて形を変えながら繋いでいくコト」という前向きで優しいメッセージがモアナ(無印)には込められている。
「形を変えながら繋いでいく」でいうと、モアナのおばあちゃんが死後エイとなって度々モアナを助けてくれるのはまさにこのテーマに即した展開と言えよう。
さて、以上がモアナ(無印)に込められていると私が感じたメッセージだが、モアナ2ではどうだろうか。結論からいうと2ではこれらのメッセージ性が少々ストロングを帯びてパワーアップしている。それをとりわけ強く感じたシーンが二つある。
まずはモアナがマタンギに勇気づけられるシーンだ。「迷え!」に乗せられたマタンギの主張を要約すると「既存の価値観に囚われず、勇気を出して、自由に、今までにないやり方で、挑戦してみろ」というもので、人間としてのやり方に拘っていたモアナはこの激励に看過されて神の道を通る決心をする。この一連は無印の伝統や現状との向き合い方より、パワフルで革新的な印象を受ける。
なお後々マタンギは囚われの身であるコトが分かり、彼女はモアナに自由を説く一方で自らはその自由を享受できる立場にないコトが明かされる。自分にできないコトを他人に望むのは一見アンフェアで無責任にも見えるが、私は自分にできないからこそ他者に自らの夢や理想を託す尊さを素敵だと感じる。因みににこの構造は無印のモアナとおばあちゃんとの関係性と重なるものがあり、エモい。
そしてもう一つはナロの嵐と戦うシーンの船についてだ。吹き荒れる嵐の中で動力を高める為に、ロトのアイデアで帆を切り離して凧のようにし、風を掴む効率を大幅に上げるという展開。劇中の文明では模型・実物含め全ての船が柱に帆立てるタイプであり(多分)、実際通常の天候では帆を立てるタイプが最も安定したモデルであると伺える。しかしロトは土壇場でその前提を壊し、“今の状況で最高の速度を出す”という目的において最適なモデルを体現して見せた。さらに、ソレをご先祖様の廃船から拝借した木材を用いた船でやるのだ。エモい。エモすぎる。先人の遺志を汲みながら、旧来にはない革新的な方法で問題解決に挑む。最高だ。
以上2つが私がモアナ2のメッセージ性を強く感じたシーンだ。あくまで主観に基づいた個人の感想であり、当記事はこの映画の意義を断定するものでは決してない。
以下は私が特に印象だったシーン・要素の紹介だ。
・珊瑚礁の外側でモアナを出迎えれくれるお父さん
冒頭モアナが離島の探検から帰った際、お父さんが海上で待ってくれている。彼はかつて冒険心や好奇心から友人と珊瑚礁の外側に出て、そこで海の厳しさを知り、友を亡くした。以来「珊瑚礁の外に出てはいけない」というルールを徹底するようになり、無印では外に出たいモアナとぶつかり合った。しかしそのルールは娘や島民の身を憂う気持ちと自身の経験に基づいたものであり、単なる悪習として切り捨てられるほど軽いものではなかった。しかしそんな彼が、娘の帰りを待っていたのだ。珊瑚礁の外側で。あぁ、彼は成長した娘を認めて、友人の死を乗り越えられたんだなぁ。と、感慨深かった。
・航海メンバーがみんなギークチックで協調性に欠ける
2では無印と異なり、モアナが人間の仲間を連れて海へ出る。3人ともなかなかクセモノで、最初はそれぞれ問題を抱えていた。しかし航海を共にする上で打ち解け、成長していく。そんな過程眺めるのが楽しくて、無印にはない楽しみを感じることが出来た。
・自らロープを切って敬礼するカカモラ
正直全編通してこのシーンが1番すき。カカモラの2番手?副船長?(こいつモアナのキャラで1番好き)が単身モアナの船に助太刀しに乗り込み、予定通り貝に毒を打ち込むも想定より毒の効きが鈍く、全滅するくらいならとやむを得ず本艦とモアナの船を繋いだロープを切断して自らを犠牲に仲間を守るシーン。ここ本当に情緒が乱される。カカモラは離れ離れになってしまった故郷の仲間と会う為に航海をしていることが直前のシーンで明かされており、ここから非常に仲間思いな種族であることが伺える。そんなカカモラの2番手が、仲間が貝に挟み殺されるのを防ぐ為に、自分から貝の体内へと飲み込まれるんだよ?やばいじゃん、そんなの。やばくない??でさ、カカモラって仲間思いだから本艦に乗ってる方も2番手を心配してるワケ。自分たちも危ないのに。で、そこで自分を見捨てられないリーダー向かって2番手が戦士の敬礼をすんのよ。俺のことは心配すんなって。敬礼ってさ、モアナ達を送り出すときは安全な本艦にいるカカモラ達が危険を冒してるモアナ達に向けて「頑張れ〜」ってニュアンスでしてたけど、ここではイチバン危険な立場にいる2番手が本艦やリーダーに向けて「頑張るから」ってニュアンスでやんだよ。も〜〜〜ォヤバくない⁉︎⁇‼︎⁇!ヤバいんですけど。カカモラは言葉を持たないし顔が隠れてるから動きで感情表現するんだけこの時の船長側の迷いとかが、言葉がないからこそダイレクトに伝わってきてェ………それに対する副船長?の応えもグッっっっと心にキてェ………‼︎ ヤバかったというお話。
・マウイのキメ台詞を被せるモニ
ナロの刺客が襲ってきた際、突然「日時計を見ろ」と言うマウイ。ロトや視聴者が「なになに??」と思っているとマウイとモニが「マウイの時間だ‼︎」と叫ぶシーン。
あっっっっ全然知らないけどマウイの伝説に出てくるキメ台詞なんだ‼︎と分かるヤツ。モニはマウイの大ファンだから即座に反応出来たんだ‼︎となるヤツ。応援上映やってくんないかな。モニとマウイと一緒にみんなで言いたい。「マウイの時間だ‼︎」って。
・植物を捨てるケレ
嵐の中で少しでも速度を高める為に、積んでるものを捨てて船体を軽くしようと言う時に、ケレが迷わず自分の育ててた植物を捨てるシーン。ケレは海が嫌いで、仲間に心を開くのも最後だったけど、それまでずっと心の支えだった植物を仲間の為に捨てるんだよね。自分で。
・ナロの雷で全身のタトゥーが消えるマウイ
マウイにとってのタトゥーってタマトアが背中に背負った財宝と同じで、釣り針の次に大切なもののハズなんだよね。人間に愛されたかったマウイが人の為にして感謝された出来事の数々を記したものなんだから、ソレを失うのは神としての力を失うのと同義なハズ。それなのに雷撃のショックから目覚めたマウイは消えたタトゥーのコトなんか気にも止めずにモアナを心配して助けに行くんだよね。それがもうたまんなくて、あぁ、マウイにとってモアナはとっくに、自分の功績や名声より大事なモノになってたんだなぁ……って。
他にも細かい好きなシーンたっくさんあるけどとりわけ心に残ってるのはこのあたり!もうほんとにね、大満足な視聴体験だった