氏神様②
そういえば、旧暦1日と15日の氏神様参りをしばらくしていない。
夏の間はあまりにも暑すぎて何度かご遠慮したので、少し遠のいてたのは事実だけど、ある時ようやく伺った時に神様から「来るな」と言われたのである。
その神社は近隣の人も知らない場所にあり、そこへ行くには、家と家の間を通る「私道かな?通って大丈夫?」と疑うような小道をまずは進んでいく。
その先にはどう見ても行き止まりに見える薮があるのだけど、そこをかき分けて少し歩くといきなり道が現れて鳥居が出てくるため、神社があるとわかる。
鳥居を抜けると古い階段が上へ上へ、森の中へと続いていき、登り詰めた頂上に竹林に囲まれた、朽ち果てそうな御本尊があるのだ。
その時私は薮をかき分けて進み、鳥居をくぐった辺りで「怖い!」と思った。
何度かひとりで来て階段をほうきで掃いたりしてたから、その感情に戸惑った。
でも猛烈に恐怖を感じるし、階段を見上げると「来るな!帰れ!」と言われてるのがわかった。とにかく怖かったから逃げるように帰宅した。
今までは「来てくれたの?ありがとねぇ」というホンワカした波動だったし、お気に入りの場所になっていたから少し悲しかった。
でもまぁそういうこともあるよな、と思ったし、とにかく理由はわからないけど拒絶されたことは受け入れることにした。
2日後、朝起きていつものように猫と一緒に縁側から外に出ると、見慣れないものがある。巨大な糞だった。
持たないけど、持つとしたら両手で持ってもはみ出るくらいのサイズで
「クマじゃない、これ」
と夫が言った。その糞は何の匂いもしなくて、それも不気味だった。
その後の画像検索と情報収集により、やはりクマの糞だと判明した。匂いがしないものはもう確実にクマらしい。サイズやビジュアルも間違いなかった。
一週間後、うちに届いた回覧板にクマのことが書かれていた。
隣のA町で発見されて動画に収められたクマは、我が町内を通過して、さらに隣のB町へ移動したことが判明している、と書いてあった。
さらに「今後は捕まえてみんなで食べることも検討している」という一文も添えてあったけど、温厚な高齢者ばかり暮らすうちの町内の誰が捕まえて、誰が捌くのだろう…と疑問に思いつつ、とにかくクマはうちの庭に立ち寄って、催したのちに去ったんだなと理解した。
その瞬間、あの時の神社での恐怖は、クマが潜んでいたのではないかと思った。町内のどこかに潜んでいたり、うちの庭に立ち寄ったりすることをイメージすると、あの薮や神社の奥はちょうどいい場所だったのではないか?
だからクマの気配や危険を察知して怖かったのかもしれないし、だから神様も
「来るな!」と教えてくれたのではないか…。
答え合わせはできないけれど、近所の友人の子供が町内のまた別の森の中でクマと遭ってしまったと聞いて、やっぱりそうだったんじゃないかと思った。
ちなみに子供たちは目を合わさず、ゆっくりゆっくり後退りして無事に逃げられたらしい。
そういうわけで、自然が深すぎる場所なため、氏神様参りはしばらくの間断念している。
その分、ご先祖様や守護霊チーム、家族や友達や自分の肉体、関わってくださる皆様には毎日感謝している。
今日も読みに来てくださってありがとうございました。
明日もいいことがありますように。