アパレル業界の構造~川上編~
こんにちは!FAnBRICのTTです!
今月は元体育会学生が、大手人材会社からアパレル業界に転職して学んだことをお話していきます。アパレル業界に興味を持っている方や、ファッションが好きな方の視野が広がるお話をしていければと思いますので、どうぞお付き合いください!
【元キャリアアドバイザーが教える、意外と知らないアパレル業界の構造ー川上編ー】
①意外と知らないアパレル業界の構造
ーアパレル業界とは?
アパレル業界と聞いて多くの方がデザイナーや店頭で働く販売員等、ブランド直結の仕事をイメージするのではないでしょうか。実はひとくちにアパレル業界といっても店頭で販売するまでには多くの人や企業が関わり、様々な製造工程を辿っています。この製造から販売までの流れを日本では川に例え『川上・川中・川下』と表現し、それぞれに分類される企業が役割分担をしています。
アパレル業界に興味はあるのに、「デザインが出来ないから」「土日休みじゃないから」「アルバイトでも経験できることはしたくない」等の理由で諦めてしまっている方、アパレルに携われる仕事はいくつもあります。中々フォーカスはされないけど、アパレル製品の土台を作っている素敵な企業は沢山ありますので、ぜひ、この機会に視野を広げてみてください!
ーアパレル業界の分担
①川上:原材料の生産、調達
②川中:原材料から製品の生産
③川下:消費者へ販売する小売りや流通
ー原料や材料を生産、調達する『川上』の仕事
川上には、繊維素材に関わる産業や企業が含まれます。こちらをさらに細分化すると、紡績(繊維を糸の状態にすること)や染色加工(糸や生地等の繊維素材を着色すること)等、繊維素材を加工し製造する【繊維素材産業】、繊維素材をテキスタイル(アパレル製品用生地)にする工程を扱う【テキスタイル産業】と分類します。また、製造したアパレル製品用生地の卸しを行う企業も川上に当てはまります。
このように、川上では自社でアパレル製品の販売を行うことはあまりなく、製造したアパレル製品用の原材料で洋服などを製造するアパレルメーカーに売るBtoBビジネスがメインとなります。
では、川上に分類される業種について、更に詳しくみていきましょう。
ー川上に属する業種
■繊維メーカー
テキスタイルを作るための糸など素材を生産する業種です。
繊維素材は綿や麻などの天然繊維と、石油や木材などから精製された化学繊維の大きく分けて2種類あります。扱う繊維素材に応じて、それぞれを専業として生産する企業も存在します。
ex)東レ、旭化成、帝人、ダイワボウ
■テキスタイルメーカー
アパレル商品に使われる生地(テキスタイル)の企画・生産を行います。主にテキスタイルコンバーターやアパレルメーカーなどと取引を行い、企業・ブランドの発注を受けて生地を製造します。
次にご紹介するテキスタイルコンバーターと混同されることがありますが、大きな違いとしてテキスタイルコンバーターは自社生産機能を持っていません。
テキスタイルメーカーはコンバーターの企画を受けて生地を製造することが多く、流通構造上の役割が異なります。また、テキスタイルメーカーは地域ごとに特徴の異なる生地を生産しており、特定の生地を生産するメーカーが集中するエリアを『産地』と呼びます。例えば今治タオルで有名な『今治産地』や倉敷デニムストリートがある『三備産地』等、国内外から高い評価を受ける産地が国内には多数存在します。
■テキスタイルコンバーター
テキスタイルメーカーとアパレルメーカーとの間に入る生地問屋の中で、服地製造卸業を専門とする業種です。自社での企画・生産のリスクを負って、紡績メーカーや織物メーカー、染色加工会社といった企業や工場とやり取りし、テキスタイルの生産工程をハンドリングします。併せてアパレルメーカーへの卸売も行うだけでなく、トレンドやアパレル業界の動向を分析したうえで具現化して納品するため、高い企画力が求められる業種です。
近年では、アパレルメーカーやブランドが直接テキスタイルメーカーに依頼することもありますが、前述でもあったようにテキスタイルメーカーは産地ごとに特徴が大きく異なるため、発注元が求めるテキスタイルを生産するには、糸や織り、染め、加工など各フェーズごとに適任な工場に依頼し、最適な生産背景を組む必要があります。これは各産地の特徴を熟知しているコンバーターだからこそできることであり、再現性の高さはもちろん、特徴を活かした色味や風合いなどの付加価値をつけていくことがテキスタイルコンバーターの役割になります。
ーおわりに
今回はアパレル業界の川上についてお話をさせていただきました。私自身、人材会社を経て現在はアパレル業界の川上にあたるテキスタイルコンバーターで働いています。全くの未経験の業界でしたが、働いてみると面白いことに立ち位置が人材会社に似ているなと感じています。
一見、間に入る必要ってあるのだろうかと思う方もいるかと思います。しかし専門性が高く、広いコネクションを持ち専業として行っているからこそできる提案や、クライアントのリスク回避等、私たちが間に入ることでできることが多々あります。この『間に入る』というところが人材会社と似ているなと思った理由です。ただ間に入るのではなく、双方の橋渡し役として寄り添った提案をすることは、コンバーターも人材会社も通ずるところがあると思いますので、自身の今までの経験を活かして、当業界でも成長していきたいと改めて思いました。
このような視点から、今後もアパレル業界の構造を紐解いていこうと思っておりますので、アパレル業界に興味のある方、ファッションが好きな方に業界内の役割を知っていただくきっかけになれると幸いです。
次回は川中の業種や特徴についてお話いたします。最後までお読みいただきありがとうございました!