キングセイコーの復活に思うこと
セイコーからキングセイコーの復活が告知された。
今回発表されたモデルは2022年2月に発売、価格は税込198,000円となる。
ただ、このモデルが「復刻」されただけにとどまらず、キングセイコーというシリーズが「復活」となるようだ。
外観や性能は一旦おいて、ここでセイコーがキングセイコーを復活させた意図について考えてみたい。
それは私が思うに、グランドセイコーの高級路線化を考えてのことだろう。
廃盤になる前のキングセイコーは、グランドセイコーのセカンドブランド的存在であったが、価格帯と性能的には今回もそのような立ち位置に思える。
世界的にコロナ禍で高級腕時計の人気は高まっており、需要は高くても供給が限られているため、店に行っても売られていないモデルが数多くあるほどだ。
"良い"腕時計であることが前提だが、高級品を作ればそれだけ売れやすい市況がある。そうなるとセイコーが高級価格帯のラインナップを増やす方針を取るのは当然だろう。
しかしながら、(クレドールを除けば)セイコーで最高級とされるグランドセイコーの価格帯はまちまちで、20万円台のクオーツから、最近はステンレスで100万円を超えるメカニカルやスプリングドライブまで幅広い。
そしてその下の価格帯にはプレサージュとプロスペックスがいる。
キングセイコーはその間を埋めるための存在ではなかろうか。
今回のキングセイコーの復活によって、10万円台の時計はプレサージュとプロスペックス、20万円台以上はキングセイコー、そして例えば60万円以上はグランドセイコーのように再編成されていくのではないだろうか。
セイコーはここ最近、家電量販店などでグランドセイコーの値引きをやめさせたり、モデルによって取り扱い店舗を制限したりと、ブランドとしてのグランドセイコーを育てていくマーケティングをしているように見える。
今回のキングセイコー復活も、価格帯によってブランドを細分化することで、グランドセイコーの高級路線を確立するためではないだろうかと思う。